マタイ筆・福音書

救世主キリストの家系図

1 イエス・救世主キリストの家系図からつづろう。

信仰の父アブラハムを祖先とする、ダビデ大王の家系から誕生した。

2 アブラハム

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 イサク

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 ヤコブ

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ユダとその他の兄弟

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3 パレスとザラ、彼らの母はタマル

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エスロン

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 アラム

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4 アミナダブ

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ナアソン

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ラハブの夫サルモン

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5 ルツの夫ボアズ

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 オベデ

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エッサイ

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6 ダビデ大王、妻は元ウリヤの妻

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ソロモン

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7 レハブアム

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 アビヤ

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 アサ

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8 ヨサパテ

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 ヨラム

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 ウジヤ

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9 ヨタム

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 アハズ

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ヒゼキヤ

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10 マナセ

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 アモン

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 ヨシヤ

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11 エホヤキン、別名エコニアとその兄弟

古代都市バビロンに捕虜とされた時代に生まれた――【聖書:1歴代志3:15-16、実際にはヨシヤの孫だが、当時は祖父も父と呼ばれた】

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12 サラテル

エホヤキンが古代都市バビロンに移った後に生まれた――【聖書:1歴代史3:19、エズラ書3:2、ハガイ書1:1より引用】

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ゾロバベル

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13 アビウデ

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エリヤキム

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 アゾル

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14 サドク

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 アキム

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エリウデ

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15 エレアザル

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 マタン

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 ヤコブ

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16 マリヤの夫ヨセフ

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イエス・救世主キリスト

17 信仰の父アブラハムからダビデ大王までが14代、ダビデ大王から古代都市バビロンへの移住までが14代、古代都市バビロンへの移住から救世主キリストの誕生まで14代であった。

イエスの誕生

18 これはイエス・救世主キリスト誕生のお話である――

彼の母マリヤにはヨセフという許婚いいなずけがいた。

ある日、ヨセフはとんでもないことを知った――

マリヤが身ごもったというのだ!――【ヨセフは、マリヤと性的関係を持ったことがなかったため、浮気ととらえた】

しかし、浮気ではなく、神の霊ホーリースピリットの力によってマリヤは身ごもっていた。

19 そんなことは知るよしもないヨセフ。普通ならおおやけにこれを責め立てるところだが、根っからの善人だったヨセフは、彼女に一生の恥を負ってほしくないが故に、内密に婚約破棄を進めることにした――【掟で結婚前のセックスは姦淫罪かんいんざいとみなされるだけでなく、一家の一生の恥になるほど重いものだったのだ】

20 そんなことを考えながら、ウトウトするヨセフ・・・zzZ

「――ダビデの子、ヨセフよ。恐れずにマリヤをめとるんだ。安心して。彼女は神の霊ホーリースピリットによって身ごもった。 21 男の子が生まれるから、イエスと名付けるんだ。彼は人類を過ちから救い出す!!!――」

夢に現れたのは、天使であった!

22 これらすべては、主君が預言者を通して伝えたことばが成就じょうじゅするためだった――

23 処女が身ごもり、男児を生む。

人はその子を神が共にいるインマヌエルと呼ぶ――【聖書:イザヤ書7:14より引用】

24 「ハッ!」

眠りから覚めたヨセフは、天使に言われたとおりにマリヤと結婚した。 25 しかし、結婚後もお腹の子が生まれるまで、マリヤとセックスはしなかった。

そして、生まれた子を――イエス――と名付けた。

ユダヤ王の誕生星たんじょうぼし

1 ヘロデ大王がユダヤ地方を統治していた時代、ベツレヘム町にその方は生まれた。

――イエス――だ。

すると、東の地から神殿のみやこエルサレムへ、賢者たちが集まってきた。

2 どこだ・・・

ユダヤ人の王になるべく生まれおちた子はどこだ・・・

王の誕生を知らせる星は上がった・・・

我々はそのお方を拝みに来た・・・

さあどこだ・・・

3 この知らせは、ヘロデ大王をはじめ、神殿のみやこエルサレム中を動揺させた――【新たな王には、反乱と戦争がつきものだからだ】

4 ヘロデ大王は、宗教指導者全員を緊急招集した。

「この王はどこで生まれると預言されているのかね?」

5 「ユダヤ地方ベツレヘム町でございます。

預言者はこうつづっております。

6 ユダヤのベツレヘムよ 。たとえ小さくとも、おまえはユダヤの権力者に勝る重要な町だ。 そう、おまえから統治者が誕生する。彼はわたしの民、イスラエルを治める」――【聖書:ミカ書5:2より引用】

7 これで場所が分かったヘロデ大王は、日付を聞き出すために賢者たちと密会を開いた。こうして、賢者が星を初めて目にした正確な時期を割り出せたヘロデ大王。

8 「その子をよくよく探し、見つけたら知らせてくれ!余もその子を拝みたいのだ!」・・・

こう言って賢者の背中を見送ったヘロデ大王は、不気味な笑みを浮かべた。

9 こうしてヘロデ大王のもとを後にした賢者たち。すると!

ピッカーン!

「あれはあの時の・・・!」

最初に見たあの星がまた姿を現したのだ!

その星に導かれるままに進んでいると、その子がいる場所を指して星が止まったではないか!

10 きたぁぁぁぁぁぁ!!!

星が止まったのを見た賢者は、興奮のあまり身震いし、喜びの声をあげた。

11 そして牧舎の中に入った――

母マリヤといたを前にした瞬間、賢者たちは全員土下座して讃えた!

パカッ

そして、献上のための宝箱を開く。

金、乳香にゅうこう没薬ミルラといった王家へ献上けんじょうする財宝が詰まっているではないか。

12 その後――

――ヘロデのもとへ戻るでない――

ハッ!

夢を通して神にこう忠告された彼らは、それぞれの国へ、それぞれの道のりで帰ったのだった。

エジプトへ、イエス一家の夜逃げ

13 賢者が去った後だった――

――起きて!ママと一緒に子どもを連れてエジプトへ逃げるんだ。ヘロデがその子を殺そうとじきに探しまわる。僕が帰れと言うまでは、エジプトにいるんだ――

今度はヨセフの夢にあらわれた、神様に送られし天使。

14 ヨセフは目を覚ますと、夜中であったにも関わらず、すぐにとその母マリヤを連れてエジプトへ出発した。 15 それからヨセフは、ヘロデ大王が死ぬまでの間、エジプトに住んだのだった。

――私の息子をエジプトから呼び戻した――【聖書:ホセア書11:1より引用】

こうして、預言者を通して語った主君のことばは実現した。

ベツレヘム町の2歳以下男児大虐殺

16 賢者にあざむかれたことを知ったヘロデ大王は大激怒。

「皆殺しだ!!!」

ヘロデ大王は、ベツレヘム町とその近辺の2歳以下の男児殺害命令を下した。初めて、その誕生星たんじょうぼしを賢者たちが見たのは、2年前だと聞いていたがゆえの判断だった。

17 預言者エレミヤを通して告げられた神のことばは実現された。

18 ラマ町から聞こえる――

悲劇と苦痛の叫びが。

それは我が子のためになくラケルの声だ。

なぐさめは無用、息子はもういない――【聖書:エレミヤ書31:15より引用】

ヘロデ王の死、預言の成就

19 ヨセフ一家がエジプトにいる間にヘロデ大王は帰らぬ人となった。

すると、天使がヨセフの夢に現れた――

20 ――子どもとその母を連れてイスラエルの地に戻るんだ。子どもを殺そうとしていた男は死んだ――

21 そこで、ヨセフは子どもとその母マリヤを連れてイスラエルに向かった――

22 ところが、ヘロデ大王から息子・アケラオに王位が継承された。彼がユダヤ地方を治めることになったのを耳にした途端に恐れをなしたヨセフは、戻ることを躊躇ちゅうちょした。しかし、夢で注意され、ガリラヤ地方へ行ったのだった。

23 ヨセフは、丘の上のナザレ村に住みついた。

――彼はと呼ばれる――

預言者たちを通して告げた神のことばは実現したのだった――【聖書:イザヤ書11:1、エレミヤ書23:5、33:15、ゼカリヤ書3:8、6:12より引用】

道を備えし者

1 数年後――

ユダヤ地方の荒地からきて、神のメッセージを伝え始めた預言者がいた。

洗礼者バプティストヨハネだ。

2 「生き方を改め、心を入れ替えなされ。神の国キングダムはすぐそこまで来てやす・・・!!!」

3 このヨハネこそが、預言者イザヤが話していた男――

荒地で叫ぶ声がする・・・

“神のお通りだ、道を整えろ・・・!”

神の為に道をまっすぐにするのだ――【聖書:イザヤ書40:3より引用】

4 ところで洗礼者バプティストヨハネは普通の人とはちょっと違っていた。いや、ちょっとどころではない。ラクダの毛から作った服に皮の帯を締め、それを着こなし、原始人のような格好をしていた彼の主食はというと、いなごとハチミツのみ・・・

5 神殿のみやこエルサレムやユダヤ地方、ヨルダン川周辺からぞくぞくと人が洗礼者バプティストヨハネのもとへ集まり、 6 それぞれの犯した過ちを告白した。そんな人たちに洗礼者バプティストヨハネはヨルダン川で洗礼バプテスマを授けた。

7 ヨハネに洗礼バプテスマを授けてもらおうと多くのパリサイ派やサドカイ派が集まってきた。

「このマムシどもめが!誰が神さんの裁きから逃れられると言いやした!

8 心を入れ替え、生き様で証明しなされ!!! 9 “でーもあっしたちはアブラハムの子孫”だなんて考えてござんしょうが、んなものに意味はありやせん。そこの石ッコロからですら、神さんはアブラハムの子孫を創れやす!

10 もう木を切り倒すおのは整ってやす・・・実のならねぇ木は切ってまきにして炎に放り込むんがお決まりでやんしょう・・・!!!

11 あっしは、心を入れ替え、生き方を改めたことをおおやけに示すため、水による洗礼バプテスマを授けてやす。ですが、あっしの後に来る方はあっしをはるかに超えたことを成す。あっしにゃあ、その方の靴ひもほどく価値すりゃ

その方は、神の霊ホーリースピリットとその炎によって洗礼バプテスマを授けられやす・・・!!! 12 彼にはだめなものから良い収穫物を取り出す準備ができておられやす。麦は白き粉になり、倉に納められやすが・・・いらねぇものはいた仕方がないでござんしょう。消せねぇ炎にポイと燃やされるがオチ・・・!!!」

一人子ひとりご洗礼バプテスマ

13 ある日のこと――

ガラリヤ地方からヨルダン川へやって来たのは・・・イエスだ!

洗礼者バプティストヨハネのもとに、洗礼バプテスマを受けにきたのだ。

14 「どわッ!あっしから洗礼バプテスマなんてそんな!!!あっしがあなたさんに洗礼バプテスマを授けてもらうべきでござんしょう!!!」

尻込みする洗礼者バプティストヨハネ。

15 こうすべきなんだ。俺たちのせいは、神の望みどおりを成す・・・だろ?」

イエスのこの答えに洗礼者バプティストヨハネはうなずいた。

16 ――ざぶんッ・・・

イエスが水から上がった瞬間。

カッ!

空が引き裂かれたように明るくなり、神の霊ホーリースピリットが自分の上に舞い降りてくるのがイエスの目には見えた。それはパタパタとまるでハトのように・・・

17 ――むすこよ・・・愛しているぞ・・・おまえは私の誇りだ――!!!

その声は天から響き渡った。

悪魔王サタンの挑戦

1 神の霊ホーリースピリットと交わったイエスは、その導きにより、悪魔王サタンの誘惑がクモの巣のように張り巡らされた荒野へと送り出された。

2 グゥゥゥゥ・・・ゔッ・・・

40日間、何も口にしていないイエスはひどい空腹に襲われた。

3 すると、悪魔王サタンが誘惑を仕掛けてきた。

「おやおや、かわいそうに・・・キミが本当に神の息子なら、この石に“パンになーれ!”と命じたらいいさ」

4 「“人はめしだけでは生きていけない。神の与える全てのことばによって生きる”と聖書にある」――【聖書:申命記8:3より引用】

5 (ぬぅぅぅ・・・)

今度はイエスをエルサレムの神殿で最も高いところに連れて行き、みやこを一望させた。

6 「も〰し、カ・リ・ニ!キミが神の子なら、ここから飛び降りてごらん!だ〰いじょ〰ぶ♥キミが大好きな聖書にはこうあるよ・・・

𝄞神が命じ、守るは天使、

地に落ちて足を砕かぬよう、

彼らの手であなたを受け止めよう」――【聖書:詩篇91:11-12より引用】

7 「だが、“あなたの王たる神を試してはならぬ”ともある」――【聖書:申命記6:16より引用】

8 ビュン!

悪魔王サタンが次にイエスを導いた場所は高い山のいただき。そこで見せられたもの・・・

――娯楽ごらく・・・お城・・・財宝・・・美食・・・美女・・・音楽・・・♪――

世界のありとあらゆる栄華えいがを見せられた。

9 「ワタシにひざまずいておがむ“だけ”でこれをぜ〰んぶあ・げ・る♥」

10 「失せろ、悪魔王サタン

“天の王たる神に忠誠をつくし、讃えるべし”と聖書にある!!!」——【聖書:申命記6:13より引用】

11 (ぢ、ぢぐじょぉぉぉ、覚えておれぇぇぇ)

そして悪魔王サタンがイエスから逃げるように去ると、40日の誘惑を乗り越えたイエスの世話をしに天使たちが現れた。

イエスが動く

12 洗礼者バプティストヨハネが投獄された!?」

その知らせを聞いたイエスは、ガリラヤ地方へ引き返した。 13 しかし、その地方にあるナザレ村には滞在せず、ガリラヤ湖のほとり、ゼブルン町とナフタリ町の近くにあったカペナウム町に行った。

14 預言者イザヤが残した言葉を実現させるためだ。

15 ゼブルンとナフタリの地よ聞け

ヨルダン川をわたった沿岸の地、

外国人が住む

16 暗闇に住むあなたは、

偉大な光を見る。

死の淵にある地を

救いの光が照らした――【聖書:イザヤ書9:1-2より引用】

17 「心を入れ替え、生き方を改めろ!時は満ちた、神の王国キングダムはもうすぐだ・・・!!!」

この頃をさかいに、イエスは自身の言葉メッセージを伝え始めた。

イエスの仲間集め

18 ガリラヤ湖――

イエスがそのほとりを歩いていると、のちに岩のペテロとして知られる、漁師シモンとその弟アンデレを見つけた。

いよっ!バッシャーンッ!!

この日も2人は、あみを湖に投げて漁をしていた。

19 ――「シモン、アンデレ!俺についてこい!おまえたちをにする・・・!」

20 2人はすぐに網を置いてイエスについていった――【仕事を辞めてついていったのだ】

21 そのままガリラヤ湖のほとりを歩いていたイエス――

次に見つけたのはゼベダイの息子、兄ヤコブと弟ヨハネだ。彼らは父のゼベダイとともに小舟にのり、漁に使う網の準備をしていた。

「ヤコブ!ヨハネ!行くぞ!俺についてこい!」

22 「オヤジィ、仕事中にワリィ!俺たちゃ行くぜ!!」

2人は父を小舟に残し、イエスについていった。

広まる最高の知らせゴスペル

23 イエスはガリラヤ地方中をまわった。行く先々のユダヤ集会所シナゴグ神の王国キングダムが来たと最高の知らせゴスペルを伝えては、軽いのから重いやまいを負った人まで治してまわった。

24 イエスが伝える最高の知らせゴスペルはシリア地方全土へ広まった。その地方中から様々なやまいや痛みを抱えている人がイエスのもとへ運ばれた。悪魔にかれた人、発作に怯える人、体が麻痺まひした人などなど。どんな症状であろうと、イエスはごまんといた人たちを完治させた。

25 ガリラヤ地方、十の町デカポリス、神殿のみやこエルサレム、ユダヤ地方、そしてヨルダン川の向こう側からおびただしい数の群衆がイエスの後についていったのだった。

貧しさは裕福の始まり

1 トコトコ――

イエスは群れのように集まる人を見ると、仲間を連れて丘のいただきへ上がって腰をすえ、 2 教え始めた――

3 「心が貧しい人は喜べ!

神の国キングダムはあなたのためにあるからだ。

4 悲しみの中を生きる人は喜べ!

神のいやしはあなたのものだ。

5 謙虚に生きる者は喜べ!

世界はあなたのものとなる。

6 どんな時でも神の言う正しきことを行いたいと思う者は喜べ!

神があなたを満たしてくれる。

7 他人を思いやる人は喜べ!

神からの思いやりを得る。

8 純粋な考え、きれいな考えを持つものは喜べ!

神はあなたと共にいる。

9 平和のために働く人は喜べ!

神の息子、娘と呼ばれる!

10 正しいことを行うも、それにより批判を受ける者は喜べ!

神の国キングダムはあなたのものだ!

11 俺について来ることが理由で中傷され、ありもしないことを言われた人は幸せ者だ・・・ 12 喜べ、天で壮大な褒美が待つからだ!!伝説の預言者たちがくぐった道をくぐれることを本望とせよ!!!」

この世の塩と光

13 「あなたは、この世が必要とする塩だ!だが塩から塩気をとったら何のとりえがある?塩気をなくせば取り戻すことはできない。そんな塩は地に撒かれ、人に踏みつけられる以外なんのとりえもない。

14 あなたは世界の人が見るために輝く光だ。まるで隠せない丘の都市のように。

15 ランプに火を灯し、器をかぶせはしない。部屋中を照らせるようにランプスタンドの上に置く。 16 同じように周りを照らす光となれ!素晴らしさのあまり、際立つあなたの生き様を見た者が、天の父さん称賛しょうさんするからだ」

神のことばはすたれない

17 「俺は掟や預言者の教えを無効にするためにきたんじゃあない。むしろ、その本当の意味を完成しにきた。 18 保証する。天地がなくならない限り、聖書にあるどんな掟もすたれはしない。神の目的が完全に達成されるまで、一言一句として無効になるものはない。

19 些細に見える聖書のことばでさえ従うべきだ。

聖書のことばを拒み、従わなくてもいいと教える者は、神の王国キングダムでは小物。だが、神のことばに従い、従うことの重要さを教える者は、神の王国キングダムでは大物。

20 要はこうだ。細部まで守ると主張する掟の学者やパリサイ派よりも完全な意味で神のことばに従わなければならない。彼ら以上に神に認められる者でなければ、天国を楽しむ権限などとうていありはしない」

神の掟を言い換えるイエス―殺人―

21 「先祖に授けられたおきてはこうだ。

“人を殺すな、殺せば誰であれ罰せられる”とある――【聖書:出エジプト記20:13、申命記5:17より引用】

22 だが言い換えよう。

誰に対しても怒りを抱くな。怒りを抱くなら、罰せられる。

中傷するなら、最高裁判所で罰せられる。呪うなら、地獄の炎に投げ込まれる。

23 じゃあ供え物を捧げている時に自分の過ちが原因で敵意を持たれていることを思い出したらどうする? 24 供え物はあとあと!とっとと謝って仲直りしろ!供え物はそれからだ。

25 告訴こくそされたら、いち早く和解しろ!裁判まで時間がないなら裁判所へ向かう道中でさえ和解に努めろ!裁判が始まってからじゃあ遅い、裁判官に引わたされ、次に警察、それから牢屋へポイだ。 26 罰をつぐないきるまで、つまり、全財産を注ぎきるまでブタ箱入りだ」

神の掟を言い換えるイエス―姦淫かんいん

27 「また、神の掟には、

“姦淫してはならない”

つまり、結婚相手以外とセックスしてはならないとある――【聖書:出エジプト記20:14、申命記5:18より引用】

28 だが言い換えよう。

みだらな思いで女性を見るなら、その時点で姦淫かんいんだ!

29 利き目が過ちを犯すか?ならえぐりとれ!五体満足で地獄へ行くより、一部を失った方がましだ!!

30 利き手が過ちを犯すか?なら切り落とせ!五体満足で地獄へ行くより、一部を失った方がましだ!!!」

神の掟を言い換えるイエス―離婚―

31 「また、神の掟には、

離婚届りこんとどけを出せば、妻と離婚できる”とある――【聖書:申命記24:1より引用】

32 だが言い換えよう。

浮気以外の理由で妻と離婚する者は、妻を姦通罪かんつうざいに追い込む。そのため、彼女の犯した姦淫かんいんと、彼女とセックスをして姦淫かんいんを犯した人たちの罪もごっそり離婚した者に着せられる」――【多くのユダヤ人が簡単な理由で妻と離婚していた。当時、離婚された女性は、キズ者となり、生きていくためには、体を売る以外に道がないほどの厳しい時代だった。つまり、イエスは、離婚したせいで追い込まれた女性が罪を犯せば、そうさせた人のせいであり、そこから負の連鎖で生まれる罪の代償は、発信源に請求されることを意味した】

神の掟を言い換えるイエス―誓い―

33 「また、神の掟には、

いったん神に立てた誓いは、破ってはならない。必ず守らなければならない”とある――【聖書:レビ記19:2、民数記30:2、申命記23:1参照】

34 だが言い換えよう。

どんな約束だろうと誓いを立ててはいけない。

“天にかけて”誓うな、天は神の王座だぞ。

35 “地にかけて”誓うな、地は神の足台だぞ。

“エルサレムにかけて”誓うな、エルサレムは天地の王が治めるみやこだぞ。

36 “自分の首にかけて”誓うな、自分の力じゃあ頭髪とうはつ一本、白にも黒にも生やせないのだぞ。

37 ただ、ならなら。それ以上言って約束を信じてもらうのは、悪魔思考だ」

神の掟を言い換えるイエス―復讐―

38 「また、神の掟には、

“目には目を、歯には歯を”とある――【聖書:出エジプト記21:2、レビ記24:20、申命記19:21より引用】

39 だが言い換えよう。

ケンカは買うな。右ほほ殴られたら、左も差し出してやれ!

40 訴えられて服さえ取り上げられそうになったら、上着もくれてやれ!

41 兵士に1km荷物運びを強いられたら、2km運んでやれ!

42 求められるなら、与え、貸してほしいなら、貸してやれ!!」

神の掟を言い換えるイエス―愛―

43 「また、神の掟には、

“周りの人間を愛し、敵を憎め”とある――【聖書:レビ記19:18より引用】

44 だが言い換えよう。

敵を愛せ!冷たい人のために祈れ!

45 これができるなら、天の父さんだ!

人の善悪へだてなく日の明かりで照らし、恵みの雨を降らすのが神だ!

46 愛してくれる人を愛したからといって、自慢になるか?ヤクザだってそのくらいしている。

47 友達によくしたって、他となにが違う?神を信じない人だってそのくらいしている。

48 いいか、俺は完璧である天のカミを見習えって言ってんだ!!!」

陰にある神の目―親切―

1 「気をつけろ!人にほめられようと、人前で善行を見せびらかさないように!そんなことをすれば、天の父から褒美をもらえない。

2 貧しい人にお金や物を恵む時には、偽善者のように宣伝するな。

彼らは、人目につくように、ユダヤ集会所シナゴグや街頭で人に見てもらうために慈善行為をする。称賛しょうさんの的になりたいからだ。いいか、彼らの報いはそこで終了。

3 だから人に親切にする時は、右手が何をしているか左手でさえ気づかないくらいに、 4 陰でこっそりと行なうんだ。

そうすれば、隠れたことはどんな小さなことでも知っている天の父が報いる!」

陰にある神の目―祈り―

5 「祈る時も、人目につく大通りやユダヤ集会所シナゴグで、さも信心深そうに祈って見せる偽善者になるな。いいか、彼らの報いはそこで終了。

6 だから父さんに祈る時は、一人で部屋に閉じこもってから。そうすれば、隠れたことはどんな小さなことでも知っている天の父が報いる!

7 本当の神を知らない人たちのように同じことを繰り返し唱えるんじゃない。彼らは、唱え続ければ祈りが聞かれると誤解している。

8 それじゃダメだ。父さんは、あなたたちに何が必要か、祈る前から知っている。

9 こう祈れ!

天の父さん

あなたの名がいつまでも誰よりも讃えられるように!

10 あなたの王国キングダムよ、来い!

あなたの思いどおりになる天のように、ここでも実現されよ!

11 毎日必要な食料の調達を!

12 俺たちが赦したように赦して!

13 どうか俺たちを誘惑から守り、

悪から救ってくれ!――【決して神に命令しているのではなく、親子の関係を表した祈りだった】

14 ああそうだ、あなたに過ちを犯した人を赦すのなら、天の父もあなたの過ちを赦す。

15 だがもし、あなたが人を赦さないなら、天の父もあなたを赦しはしない・・・!!!」

陰にある神の目―断食だんじき

16 断食だんじきの時も、偽善者たちのような人目につくやり方はやめろ。

彼らは、やつれた顔をわざと見せつけ、さも信心深そうに断食だんじきアピールをする。いいか、彼らの報いはそこで終了。

17 断食だんじきをする時は、むしろ一張羅いっちょうらをまとえ!

18 そうすれば、誰も断食だんじきしているとは思わないだろ?だが、隠れたことはどんな小さなことでも知っている天の父が報いる!!!」

宝のありかは心のありか

19 「財産を、この世にたくわえるな。この世じゃあ価値はなくなり、盗まれる。

20 財産は天にたくわえろ!天では、価値を失わず、盗まれる心配もない!

21 宝のありかは心のありか。

22 あなたの目があなたの正体。

人を損得なしで見る者の魂は光り輝く。

23 人を損得で見る者の魂は闇に覆われる。

その暗やみのなんと深いことか!

24 だれも、神とお金マモンの両方に仕えることはできない。必ず、どちらか一方を憎み、他方を愛すからだ!」――【マモンはお金で人を操る悪魔】

神の国キングダムを一番に

25 「だから、食べ物や飲み物、格好のことでいちいち心配するな!

人生には飲み食いする以上の価値があり、あなたには格好以上の価値がある。

26 鳥を見てみろ!種も蒔かず、刈り入れもせず、収穫をおさめるくらもないって言うのに、ゆうゆうとしていられるのは、神が養っているからだ。神にとっては、そんな鳥たちより、あなたたちのほうがはるかに大切だ。

27 それに心配したところで、寿命は1秒も伸びやしない。

28 なぜ格好の心配をする?野の花がどう成長するか見てみろ!働きもしなければ飾りもしない。

29 だがこの世の富、地位、名声のすべてをきわめた知恵の王ソロモンですら、この花ほど着飾ることはできなかった。

30 今日は咲き誇っていても、明日にはしぼんでしまう野草でさえ、神はこんなにも美しくしてくれる。だとしたら、なぜ神が必要を満たしてくれると信用できない?

31 何を食べて飲んで着るかなどと心配するな!

32 それは神を知らない人の考え方だ。

安心しろ。あなたたちがこれらを必要としていることくらい、天の父は知っている。

33 まず何よりも自分を神に制してもらう“神の王政”と神の望みが全うされる“神の義”について考考えろ!そうすれば必要なものはすべて与えられる!!!

34 だから明日のことを心配するな。明日のことは明日が心配する。労苦はその日その日に十分ある」

ブタに真珠、野良犬に聖書

1 「人を非難しなければ、神もあなたを非難しない。

2 あなたが接する態度で相手も神も接する。

他人の行動を非難するなら、自分も同じように非難される。自分が他人を扱うように、神もあなたを扱う。

3 なぜ友人の目にある小さなホコリはよく見えるのに、自分の目にあるおっきなゴミには気づかない?

4 それなのに、“その目についたホコリを取ってあげるよ”だと?

自分が先だ!自分の目におっきなゴミが入っていて他人に言える立場か。

5 この良い子ぶりっこが!人にあれこれ言う前に、自分の目にあるゴミくずを処理するのが筋だ。

6 野良犬に聖書をやっても振り返って噛みつく。

ブタに真珠をやっても踏みつぶされる」

求めろ、探せ、叩け!

7 「求めろ、そうすりゃ与えられる。

探せ、そうすりゃ見つかる。

叩け、そうすりゃ扉は開く。

8 そうだ、求め続ける者は、与えられ、探し続ける者は導かれ、叩き続ける者の扉は開かれる!!!

9 子持ちはいるか?子どもがパンを食べたいと言ったのに、石を与える奴はいるか? 10 魚が欲しいと言われて、蛇を出すか?んなことあるか!

11 自己中なあなたたちだって、子どもには良いものをあげるだろうよ!ならなおさら、天の父が、求める者に良いものを与えないなんてことがあるか!!!」

旧約聖書の要約

12 「人にされたいことを人にする。

これが、掟と預言者たちの教えの要約だ・・・!!!」――【旧約聖書のこと】

狭き門

13 「天国ってのは狭き門を通って初めてたどり着ける。

破滅への門は広い。部屋数も多くその道をたくさんの人が歩む。 14 しかし、天国は狭き門。通ずる道も生半可なまはんかなものじゃない。ごく少数の人しか見出せない」

良い木からる良い実

15 「詐欺師には要注意!たてまえは羊のように優しく振る舞うが、本性はまるでオオカミ。 16 そういうは行動を見れば分かる。悪い人から良い実は生まれない。イバラからぶどうがらず、毒を持つアザミの花からイチジクがならないように。

17 良い木は良い実を、腐った木は腐った実をらせる。

18 良い木が腐った実を実らせることはなければ、腐った木が良い実をならせることも無い。

19 良い実りをもたらさない木は切り倒され、まきとして火にくべられる。 20 人も、その実によって詐欺師かどうかを見極められる。

21 俺をと呼ぶのなら誰でも、神の王国キングダムに入れるかといったら、そうではない。天の父の心を受け継ぐものだけだ。

22 終わりの日、たくさんの人が俺を、我が王と呼ぶ。

“あなたの名によって、神のことばを語り、悪魔を追っ払い、キセキを起こした”と。

23 そんな彼らに俺はこう答える。

“帰れ!過ちを犯し続けた人間なんて俺は知らん!”」

不動の家か、木端微塵こっぱみじんの家か

24 「俺のことばを聞いて実行する人は、岩を土台として家を建てた賢い人。 25 大雨が降り、洪水や嵐が打ち付けようが岩を土台にしたおかげで崩れはしない。

26 反対に俺のことばを聞いても実行しない人は、砂の上に家を建てるような愚者おろかもの 27 大雨が降り、洪水や嵐に打ち付けられていとも簡単に崩れ落ち、木端微塵こっぱみじんになる」

28 す、すごい・・・

イエスの教えの素晴らしさであっけに取られた聴衆ちょうしゅう29 掟の学者が掟を教えるようにではなく、まるで権力者のようにその場を巻き込んで話すからだった。

重い皮膚病ツァラトの男

1 丘を下るイエスについて来る大きな群衆――

2 ドスッ!

「お願いです!どうか私の体を元通りに!先生のお気持ちひとつで治るのですから・・・!!!」

突然、重い皮膚病ツァラトにおかされた男がイエスの前にひざまずいた。

3 「ああ、治したいとも!さあ治れッ!」

そう言いながら、イエスが体に触れると、できものが嘘のように消え、やまいが治ったではないか!

4 「いいか、今起きたことを言いふらすんじゃない。まず、祭司に見てもらい、完治の診断書をもらうんだ。それが済んだら、掟どおり、神にお礼の供え物を捧げるんだ。そうすれば、誰もが完治したことを認める!」―― 【掟には皮膚病ツァラトが治ったかどうかは、“祭司が判断すべし”とあったのだ】

こう言ったのは、神が治癒してくれたことにみんなが気がつくかもしれないからであった。

権威権限の力

5 イエスがカペナウム町に向かっている時の事、ローマ隊の百人隊長がイエスの前に現れ、助けを懇願こんがんした。

6 「先生!私の召使いがやまいで寝込み、痛みでもだえ苦しんでいます!!」

7 「俺が治しに行こう」

8 「しかし先生!私は、あなたを招けるほどの身分ではありません。一言、命令を下せば、私の召使いは治りますっ!!!」

百人隊長が続ける・・・

9 「というのも私は“権威”に親しみがあり、理解があるからです。私には上がいますが、私の下にも部下がいます。こんな私でさえ、部下に“行け”と命じれば行き、“来い”と命じれば来ます。また、“あれやこれをしろ”と召使いに命じれば、実行するからです」

10 これを聞いたイエスは感心し、共にいた者たちを見た。

「俺はこれ以上の確信もった人をイスラエルの国民からでさえ見たことがない・・・!!! 11 たくさんの人が西から、そして東から集まり、我らが祖先アブラハム、イサク、ヤコブと共に神の王国キングダムで食卓を囲む。 12 そして神の王国キングダムに入るはずだった人たちは、闇に放り出され、その苦しみから歯ぎしりして泣き叫ぶ」

13 イエスは、百人隊長のほうに向きなおった。

「さあ帰れ!あなたが信じたとおりになった!」

イエスがそう口にした時、召使いの病気が治ったのだった・・・!

やまいを脱がせて羽織ったイエス

14 ゔッはぁはぁ・・・

イエスが岩のペテロの家へ行くと、彼の義理の母が高熱にうなされ、ベッドに横になっていた。

15 イエスは彼女の手に触れた。途端に熱が去ったように治ったではないか!彼女は立ち上がってイエスたちをもてなした。

16 その夜――

ヴギャァァァ!!!

町人がイエスのもとへ多くの悪魔にかれた患者を連れて来た。イエスがしゃべるだけで悪魔は尻尾を巻いて逃げた。また、イエスはやまいに苦しむすべての人を治したのだった。

17 こうして預言者イザヤの預言が叶った。

彼は人のやまいを取り、それを追い払った――【聖書:イザヤ書53:4より引用】

イエスに従う意味

18 イエスは、自分を取り巻く群衆の数がだんだんふくれ上がっていくのを見て、みずうみの向こう岸まで小舟をこぐように指示した。

19 すると、その間も与えず掟の学者が来た――

「先生!あなたが行くところだったら、どこへでもついて行きます!」

20 「キツネには穴があり、鳥には巣がある。には、横になる場所もないが?」――【イエスは、“物欲しさに近づいてきたところで、あげるものは何もない”という意味でこう言った】

21 するとイエスの連れである別の人が言った。

「師匠!私だって父親の葬式をあげてからついて行きます!」

22 「死んだ人は、死んだ人に任せりゃいい。おまえには、神の王国キングダムを伝える義務がある・・・!!!」――【ただ寿命をまつ人間のことを表現して“死んだ人”と言った】

湖上でのキセキ

23 いーよっと!

イエスは仲間たちと舟に乗りこんだ。

24 浅瀬から大分離れてからのこと――

ビュ――――・・・・・・

「風が強くなってきたな・・・」

「あぁ、これは荒れるぞ・・・」

風はみるみるうちに強くなり、波が高くなった・・・。

バッシャ――ンッ!!!ザッブゥ――ン!!!

みずうみがひどく荒れ狂いだした!

「ウ、ウワァ〰!沈没ちんぼつするぞぉ〰〰〰〰!!!」

波が勢いよく小舟を叩きつける。あっという間に小舟は水びたしになり、沈みかけた緊急事態の中イエスはというと・・・ん?ね、寝ている???しかも、頭をまくらにうずめて鼻ちょうちんをふくらませて熟睡中。

25 (・・・こ、こんな時に!!!) 慌てふためきながらイエスを起こす仲間たち。

「し、しょ――ッ!溺れじまいまず――ッ!!!」

26 「何が恐い?まだ信用できないか?」

イエスが起きてそう答えると、嵐に命令を下した。

ス――・・・・・・

突然、嵐はピタッと静まり、水面は穏やかになった。

27 あ゙、あ゙、あ゙・・・・・・仲間たちは頭を整理できずにいた。

「風も水も服従するこの方はいったい・・・」

2人にいて洞穴に住む悪魔

28 イエスと一味が乗った小舟はガリラヤ湖の反対岸にあるゲラサ人が住む地についた――

この地には、悪魔にかれた男が2人いた。墓である洞穴を住処すみかとしており、鬼のように凶暴な彼らのせいで誰も近くの道を通りたくても通れなかった。

29 そんな2人がイエスのもとにやってきた――

「・・・ヴゥオォォォォ!!!神ノ子ヨ!イッタイココヘ何ヲシニ来タ?ヲ前ニシテ、俺タチヲ懲ラシメニ来タノカ!?」

2人にいた悪魔がイエスに向かって吠える。

30 少し遠くに目をやると、そこには、餌をむさぼるブタの群れが・・・

31 そこで悪魔たちはイエスに頼んだ。

「コイツラカラ出テイケト言ウコトデシタラ、アソコニイルブタノ群レニ、取リツカサセテ下サイマセェェェ!!!」

32 「行け」

ズォォォ〰〰ドヒュ—ン!!!

イエスの命令どおり、男たちから勢いよく出た悪魔たちはブタの群れに次々と入って行った。

「ッ!!!ブ、ブヒィィィ――」

ドォゴゴゴゴ・・・・・・

ザバァン、ザバ、ザバババババーン・・・・・・

ブタの群れは気が狂ったかのように泣き叫びながら、丘を駆け下り、雪崩のように湖に突っ込んでいき、溺れていった。 33 ブタを飼育していた男たちは血相を変えて、一斉にその場から逃げ出した・・・・・・

町に着くと、住民に何が起きたのか、特にあの墓に住む悪魔にかれた2人の男について見たままに伝えた。 34 すると町中の人間がイエスを見ようと出てきた。イエスの姿を見るやいなや、町から出ていくようにすがった。

全身麻痺まひの男がふとんをたたんで帰る

1 イエスは小舟に乗り込み、みずうみをこえて地元カペナウム町へ戻った。

2 ――「はぁはぁ・・・あ、あそこだッ!」

「もうすぐでよくなれっぞッ!」

青年たちがからだの麻痺まひした男を担いできた。

彼らの確信の強さを見て、笑みを浮かべたイエスは体の麻痺まひした男を見た。

「よかったな青年、きみの過ちはゆるされた!!!」

3 「!」

(んな、今こいつ・・・罪は神にしか赦せないと言うのに何様だ?神様への冒涜だ!!!)

掟の学者たちの眉間にはしわが寄っていた。

4 彼らの考えを察したイエス――

「なぜそう悪くとらえる? 5 言うのは簡単だと思ったか?赦されたかどうかなど、分かりっこないと。それならこの男に立って歩けと命じたらどうだ? 6 その通りになれば、俺、つまりが、この世で過ちを赦す権利があると認めざるを得ない・・・!!!」

「立ち上がれ!布団ふとんをたたんだら、自分の足で帰るんだ!」

7 その瞬間、麻痺まひした男は群衆の前で立ち上がり、ふとんをたたんで帰った。

8 ・・・・・・ウ、ウォォォ・・・!バ、バンザーイ!バンザーイ!!バンザーイ!!!

これには見ていた人も大驚き、こんなにすごい力を人に与えた神を讃えたのだった。

ゴロツキとつく食卓

9 イエスが歩いていると、税務署の前に座っているマタイがいた――【別名レビ】

「俺についてこい!」

税金取りのマタイはすぐに腰をあげ、イエスについて行った。

10 その晩――

イエスはマタイの家で食事をしていた。イエスの一味以外にも多くの税金取りや悪評高い人たちが食卓についていた。

11 イエスがそんな人たちと食事をしたという噂が広まり、パリサイ一派がやって来た――

「きみ、なぜ彼はゴロツキたちと同じ釜の飯を食べるのですか?」

12 イエスの仲間に尋ねた声はイエスまで届いた。

「いいか、医者は健康な人ではなく、病人のためにいる。

13 この聖書箇所を勉強してこい。

“私がほしいのは供え物ではなく、人への親切心”――【聖書:ホセア書6:6より引用】

“俺は正しい”と主張する人間ではなく、を仲間に加えるために来た・・・!!!」

イエスが直々じきじきにパリサイ一派の苦情に対応した。

交わらない古きとあらた

14 すると、洗礼者バプテスマヨハネの仲間たちがイエスのもとにやって来た。

「我々とパリサイ一派はよく断食だんじきしますが、なぜあなたの弟子は私たち同様断食だんじきをしないのですか?」

15 花婿はなむこを祝う結婚式に招待された客が、こんなめでたい時に断食だんじきするか?だが、式も終われば花婿はなむこは友人の元を離れる。その時になれば彼らも涙を流して断食だんじきする。

16 古い上着にあいた穴をふさぐ為に新品の上着を切ってふさぐ人はいない。そんなことをしたら、新品の上着が台無しだ。そもそも新しいぬのと古いぬのの相性は最悪だ。

17 また、新しいワインを古い革袋に入れる人なんていない。

んな事したら、発酵はっこう時に発生する圧力に負けて袋が破裂してしまう。もったいない。ワインはこぼれ、革袋は台無しだ。

ワインの品質をたもち、破れないように新しいワインは新しい革袋に入れる。こりゃあ常識だ!」

お眠り少女と長血の女

18 す、すみません!!!

まだイエスが話し終わらないうちにイエスの足元に土下座したのはユダヤ集会所シナゴグ会堂長。

「私の娘が先ほど死んじまいまじだ・・・先生が触れてくれるなら彼女は生き返ります!!!」

19 イエスとその一味は、ユダヤ集会所シナゴグ会堂長の家に向かった。

20 道中――

そこには生理がとまらず、出血し続ける病気でかれこれ12年間苦しんでいた女がいた・・・

(えーぃっ!)女はこっそりとイエスの背後にまわり、やっとの思いで、イエスの着ている服のすそにかすかに触れた。 21 イエスの服に触れることさえできれば、病は治る!との思いからだった。

22 女が触れると、イエスは振り返り、女をまっすぐ見た。

「やったなー!きみが治ると信じたから治ったぞ!」

(え・・・・・・!!!) 女の病気は完治していた。

23 ――娘のもとへ足を進め、ユダヤ集会所シナゴグ会堂長の家に入った。そこでイエスが目にしたのは葬儀そうぎの音楽をかなでる音楽家や大声で泣きわめく人たち。

24 「帰れ!!!少女は眠っているが、死んじゃいない」

――【イエスの強い口調からも大声で泣きわめいていたのは、偽客さくらだろう。悲しんでいる人が多ければ多いほど、亡くなった人間が偉いと思われた。そのため、亡くなった人の株をあげるために葬儀用の偽客さくらを雇うことがしばしばあったのだ】

イエスの発言に彼らは笑いだした。

25 彼らを家から追い出した後、イエスは少女が寝ている部屋に入った。彼女の手をとると、彼女がなんなく立ち上がったではないか! 26 この事件は、またたくまにこの地方一帯に広まった。

キセキ3連ちゃん!

27 イエスがその場を後にすると――

「ダビデ王の子よ、憐れみを!!!」

2人の盲人が後をついてきたかと思うと、突然大声で叫んだ。

28 イエスが泊まっているところに入ると、2人も後に続いた。

「俺におまえたちの目が開けると思うか?」

「もちろんですとも先生!!!」

29 彼らの目に触れたイエス。

「おまえたちが信じたから目は開く」

30 ――ピカッ――

(ゔ・・・うわあああ)2人の目に突然景色が飛び込んだ!目が開いたのだ。

「どうやって起きたかは、絶対に言うな!」

イエスは強く忠告した。

31 ――その場を去ったあと、興奮を抑えられなかった彼らは、イエスがしてくれた事を地域一帯に言いふらした。

32 その2人の去り際に戻ろう――

すれ違うように連れてこられたのは、悪魔のせいで話せなくなった男。

33 イエスは悪魔を叩き出すと、男がペラペラと話し始めたではないか!

驚愕きょうがくした人たちは言った。

「こんなのイスラエルの歴史上見たことない」

34 これを聞いたパリサイ一派は――

「彼はきっと悪魔王サタンから力をもらっているに違いありません。手下の悪魔が言うことを聞くとすれば納得がいくではないですか」

働き手求ム!!!

35 町々、村々をくまなく回り、そのユダヤ集会所シナゴグ神の王国キングダムが来たと最高な知らせゴスペルを広めた。

そして、ありとあらゆる病人を治した。

36 このように、自分のところにやって来る群衆を見ていると、イエスの心は、深く痛んだ。彼らは、抱えている問題は深刻なのに、どうしたらよいか、どこへ助けを求めたらよいか、まるでわかっていないからだ。まるで、羊飼いのいない羊のように。

37 「たくさんの実がじゅくしているのに、収穫する働き手があまりにも足りない。 38 収穫の所有者である神に、もっと働き手を送るように頼むんだ!」――【救いを求めている者はごまんといるが、それと比べて彼らを救いに導く者があまりに少ないと言ったのだ】

動き出す十二使徒

1 イエスは12人の仲間を呼び集めて、すべての病を治す力、そして人から悪魔を追い払う力を授けた。

2 これが、十二使徒に選ばれし者たちだ。

――十二使徒――

岩を意味するペテロと呼ばれたシモン

ペテロの弟、アンデレ

漁師ゼベダイの息子、ヤコブ

そのヤコブの兄弟ヨハネ

3 ピリポ

バルトロマイ

トマス

取税人マタイ

アルパヨの息子ヤコブ

タダイ

4 右翼のシモン

後にイエスを裏切る男、イスカリオテ人のユダ

5 イエスは次の指示とともに十二使徒たちを送り出した。

「外国人やサマリヤ人のところには行かず、 6 神の民イスラエルのところへ行くのだ!彼らは、神のおりから出た迷える羊。

7 彼らに、神の王国軍キングダムが来たと伝えるんだ!

8 やまいを治し、死者を生き返らせろ!皮膚病ツァラトを治し、悪魔を追い払え。 無償でやった力だ。無償で助けろ!

9 金目かねめのものは、一円たりとも持ってはいけない。 10 予備の服やくつ、杖さえも。

働く者には食う権利がある!

11 町で宿として迎え入れてくれたら、他の家から誘いがあっても、泊めてもらっている家以外でお世話にならないこと。

12 家に入る前には、“この家にさちあれ”と祈るんだ。

13 もし、歓迎されるなら、その一家は祝福される。

つっぱねるなら、祝福撤回だ。

14 だが、入った町に厄介者扱いされ、話を聞いてもらえないなら、足のちりを払い落として去るんだ――【町のちりとさえ縁を切る警告のサイン】

15 言っておくが、彼らは最後の審判ファイナルジャッジメントの日、火の雨で滅ぼされた 無法都市ソドムとゴモラの民よりひどい目にあう・・・!!! 」――【聖書:創世記19章を参照】

攻撃に備える

16 「よーく聞け!俺がおまえたちを送るとき、それはオオカミの群れに羊が投げ込まれるようなものだ。

だからこそ!ヘビのように賢く、誰も傷つけないハトになれ!!

17 攻撃に備え、心の準備をしろ! 彼らは捕まえ、訴え、罰するからだ。

18 俺の仲間なら総理や王、権力者の前に突き出され、説明を要求されるが、それは、彼らから外国人まで、俺のことを証言するためだ!

19 逮捕されたら、弁明の心配をするな。その時その時に適切なことばを語れるからだ。

20 実際おまえではなく、父なる神の魂ホーリースピリットがおまえを通じて語る!

21 兄弟は兄弟と、父は子と、子どもは両親と敵対し、死に追いやる。

22 俺の味方をするから憎まれるが、最後まで忠誠を尽くすなら救われる!!!

23 行った街でつっぱねられたら、次の街だ。俺がとして、全地をべるよりも前に、おまえたちがイスラエルの街すべてをめぐりきることはない。

24 生徒が教師より、弟子が師匠より、よく扱われることはない。

25 生徒は教師と、弟子は師匠と、同等の扱いをされるなら本望。

一家ファミリー頭領とうりょうである俺が、である悪魔王サタン呼ばわりされるなら、その一員はどうなる!」

人ではなく神を恐れろ!

26 「人を恐れるな!どんな隠されたものもおおやけになり、秘密は全て公開される!! 27 俺がおまえたちに個人的に言ったことだが、おおやけに伝えろ!

耳にささやいた秘密も、公衆の面前で公開しろ!

28 人を恐れるな!体を殺せても、魂には指一本触れることはできない。

恐れるべき存在が誰かって? 体も魂も地獄に落とせる神だ!!!

29 2羽の鳥でも小銭程度の価値だが、1羽の鳥ですら見捨てないのが神!

30 おまえたちの髪の毛の本数すら知る神!

31 だから安心しろ、おまえたちは世界中のすずめを集めてもそれに勝るだけの価値がある!!!」

胸張って言う!“イエスを信じる”

32 「この俺を信じると、人前で胸を張れるなら、

俺は天の父に胸を張って言おう。彼は俺の仲間だ!!!

33 だが、人前で知らないふりをするなら、

俺は天の父に言おう。彼は俺の仲間ではない」

イエスにつく条件

34 「俺がこの世に平和をもたらすために来たと思ったか?違う、刀でこの世を真っ二つにしに来た!!!

35 息子は父に、娘は母に、嫁はしゅうとめと対立する。 36 家族内すら敵となる・・・!!!――【聖書:ミカ書7:6より引用】

37 俺を愛す以上に父や母、息子や娘を愛す者は、

俺の仲間にふさわしくねぇッ!!!

38 俺の後につくと差し出される“十字架”を、進んで背負わなければ、

俺の仲間にふさわしくねぇッ!!!」――【十字架は、恥、苦しみ、死を表している】

39 誰でも自分の人生を自分の為に生きようものなら

だが俺のために人生を捧げる者は、人生を!!!」≫

報酬を受ける者

40 「おまえを受け入れる者は、俺を受け入れ、俺を受け入れるなら、俺を送ったカミを受け入れる。

41 預言者が預言者だという理由だけで受け入れるのなら、その預言者と同じ褒美を受けとる。

神に義理堅い人を義理堅いという理由だけで受け入れるのなら、神に義理堅い人と同じ褒美を受けとる。

42 俺の仲間だという理由で身分の低い者を助けるなら、たとえ与えたのが水1杯であろうと、確実に褒美を受けとる!!!」

洗礼者バプティストに浮かぶ疑問

1 十二使徒に明確な指示を与えたイエスは、ガリラヤ地方の町や村で神のメッセージを伝え、教えてまわった。

2 ――そのころ、牢につながれていた洗礼者バプティストヨハネは、ちまたで起きている 救世主キリストの仕業であろうことを耳にしていた。

そこで、自分の弟子をイエスのもとへ送った。

3 ――「せ、先生・・・!」

イエスを見つけたのは伝言を頼まれたヨハネの弟子。

「あなたは本当に我々が待ち望む救世主キリストですか、それともまだ待つべきなのですか?」

4 「あなたが見聞きしたことをそっくりそのままヨハネに伝えてくれ・・・ 5 盲目の目が開き、足の不自由な人が歩き、重い皮膚病ツァラトは治り、聞こえない者の耳は聞き、死人が生き返り、貧しい人に最高の知らせゴスペルが伝えられていると!!!

6 また、俺を疑わずに受け入れるなら、最高の祝福があると」

7 ヨハネの仲間が帰っていくのを見送ると、イエスは仲間に問いかけた。

「おまえたちは一体誰を見に荒野へ出かけた?風に揺れる草花くさっぱなのように流されやすい男か? 8 それとも立派な服を着た男か?なわけないな!そんな人は王宮に行けばいくらでもいる。 9 じゃあ、どんな人を想像して荒野へ出かけた?

預言者か?

ああ、ヨハネは間違いなく預言者だ。いいや、それ以上の存在だ・・・!!!

10 彼について聖書にこうつづられている――

よく聞け。私はの前に使者を送る。その使者が道を整える・・・!“――【聖書:マラキ書3:1より引用】

11 ≪「この世に生まれた人の中で、ヨハネほど優れた人間はいない。だがなお、神の王国キングダムで最も身分が低い者でも、ヨハネ以上に祝福される。

12 ヨハネが現れてから今まで、神の王国キングダムは強く前進し、人は権力をふるって立ちはだかった。 13 これらは洗礼者バプティストヨハネが来る前から掟や預言者たちによって預言されてきた。 14 そして、聖書を信じるなら、ヨハネがいずれ来ると預言された、預言者エリヤだと分かる!

15 聞こえるなら聞け!

16 この時代の人たちをどう例える・・・まるで公園でお友達にめそめそ泣きごとを言う子どものようだな!

17 “笛を吹いたのに踊らないし!

悲しい歌を歌っても泣かないじゃん!”

18 なぜかって?洗礼者バプティストヨハネが来て、変わった食生活に、酒も飲まないから“悪魔にとり{憑|つ}かれていかれたんだ”と言い、 19 が飲み食いすると、“あの大食いの酒豪しゅごうは、税金取りや悪党と同類だ”と言いだす。だが、正しいか正しくないかはその実によって証明される!!!」

最後の審判ファイナルジャッジメントの警告

20 それからイエスは、多くのキセキを目のあたりにしながら、それでも、神に立ち返らず、生き方を改めなかった町々を批判した――

21 「ああコラジン町、ベツサイダ村。恐ろしい目にあうぞ!!俺が幾度となく起こしたキセキを見てなお、変わろうとしなかった・・・

滅ぼされた港のみやこツロやシドンのみやこでもし、同じキセキが行われていたなら、彼らでさえ、とうの昔に心を入れ替え、生き方を改めただろうに。

荒布あらぬのをまとい、灰をかぶってでも犯した罪を悔やんだだろうに。

22 断言しよう、おまえは最後の審判ファイナルジャッジメントの日、ユダヤ人の都ですらなく外国人の都であった、港のみやこツロとシドンの市民よりもひどい目にあう・・・!!!

23 カペナウム町はどうだ、天国へ行くのか。いな、死の谷へ突き落とされる! どれだけ多くのキセキを見せた?同じキセキをあの無法都市ソドムに見せたなら、滅ぼされていなかっただろうに。

24 断言しよう、おまえは最後の審判ファイナルジャッジメントの日、無法都市ソドムよりもひどい目にあう・・・!!! 」

休息はイエスにあり

25 「天地の王である父さん、ありがとう!!俺は感謝でいっぱいだー!!!こんな素晴らしい真理を、知ったかぶりの思い上がりには隠し、子どものように素直な人には明かしてくれた。 26 ああ!知ってるさ父さん!これがあなたの望んだこと。

27 俺の父さんは全てをくれた。一人子ひとりごの真の姿は、父さんのみぞ知る。父さんの真の姿も一人子のみぞ知る。そして、父さんについて唯一知ることができるは、一人子が伝えると決めた者のみだ・・・!!!」

28 イエスは続けた――

「世の中の重荷を背負わされて疲れたなら俺のもとに来いッ!

その重荷、俺が降ろしてやろう!!!

29 俺の荷を背負うなら心安らぐ。俺は優しく包み込むが、何かを押しつけるようなまねはしないからだ。

30 そう、俺が背負わせる荷は軽く、心にゆとりを与える」

神殿に勝る男

1 同じころ、とある休日サバス――

イエスは麦畑の中を歩いていた。

ぐぅぅぅ・・・

お腹が減ったイエスの仲間たちは、麦のをつんで食べ始めた。

2 「あなたの弟子をごらんなさい!休日サバスに働いておいでですぞ!!!」

イエスに物申したのは、パリサイ一派。

3 「あなたたちは、ダビデと彼の親衛隊が空腹だった時に何をしたか、読んだ事がないのですか? 4 ダビデは神殿に入り、お供え物のパンを食べた。それから、そのパンを一緒にいた仲間たちにも分け与えたじゃあないか。祭司以外の者が口にしてはいけないと掟にあるお供え物をだ」

(ゔッ・・・・・・)

5 休日サバスに神殿で働く祭司は、掟を破ることになるものの、それは間違いとは認められない。という事も読んだことあるだろう。 6 言っておくが、神殿に勝る者がここに立っている。 7 もしあなたがたが、

“私がほしいのは供え物ではなく、人への親切心”――【聖書:ホセア書6:6より引用】

という聖書の意味を理解しているなら、無実の人間を非難しないだろう。

8 いいか、休日サバスは王であるの権限の内にある!!!」

良いことが神の掟を犯すことはない

9 そこからイエスは彼らのユダヤ集会所シナゴグへ行った――

10 そこには、手が麻痺まひした男がいた。

休日サバスに治すことは正しいのでしょうか・・・?」

こう尋ねるは、ユダヤ人。

イエスを異端児いたんじとして見ていた彼らは、訴える口実を探っていたのだ。

11 「もし、休日サバスにあなたの羊が水路すいろに落っこちたらどうしますか?掴んで、救いあげるのではないか? 12 羊より人のほうが大切なのは当然。ならば善いことをして掟を害するわけがない」

13 それから、イエスは手が麻痺まひした男を見た。

「さぁ、手を伸ばせ!」

動かせない手が・・・の、のび、伸びた?!もう片方の手と変わらないほど力が入る。そう、物の見事に治癒ちゆしたのだ!

14 パリサイ一派は、何も言わずにそこを去ると、を練り始めたのだった・・・

神に選ばれししもべ

15 パリサイ一派の策略はイエスにつつぬけだった。

そこで、イエスはその場を去った。あとには、大勢の人がついていった。

イエスはすべてのどんな病人をも治した。

16 しかし誰が治したかは明かしてはいけないと忠告した。

17 全ては、預言者イザヤが述べた神のメッセージが実現するため。

18 私に仕える者

私が選びし者

私の愛する者

私の誇り。

私の魂で満たし、

彼は地上に正義をもたらす。

19 争うことも、叫ぶこともなく、

道端で彼の声を聞く者はいない。

20 弱いいねくきですら曲げることも無ければ、折りもせず

小さな火種を落とすことも無い。

正義が勝つまであきらめることはない。

21 彼は世の希望となる――【聖書:イザヤ書42:1-4より引用】

悪魔の力?神の力?

22 「おーい、いたぞー!」

イエスのもとに運ばれてきた男の目は見えず、口も利けない。

悪魔に{憑|と}りつかれていたのだ。

イエスが治すと、たちまち声を発し、目が見えるようになった!

23 圧倒された人々は言った。

「ひょっとすると約束されしじゃあないのかッ!!!」

24 この噂を聞いたパリサイ一派。

「あのイエスが悪魔を追い払える理由を専門家である我々がズバリ答えましょう!悪魔のかしらから力を借りているのですよ。考えても見てください・・・家来の悪魔がいう事を聞くだなんて当たり前ではないですか!!!」

25 パリサイ一派の考えなどお見通しのイエス。

「内戦をしている国は壊滅かいめつする。町や家庭も同様、もめ事が絶えないなら崩壊する。

26 悪魔王サタンの力で悪魔を従わせているだって?それが正しいなら、悪魔王サタンは自分の王国を攻めていることになるが・・・それじゃあ、自滅もいいところだ!

27 百歩譲って、俺が悪魔王サタンの力で悪魔を追い出しているとすれば、パリサイ派が悪魔を追いはらう時には、何の力を使っている?・・・俺が正すまでもなく自分の宗派に正されるバカなへりくつだ。自分でボケて、ツッコミ入れてるようなもんだなーおい!

28 俺は神の力によって悪魔を追っ払う。これは、神の王国キングダムが悪魔の陣地に攻め込んだことを意味する。

29 家の主が強者つわものであったとしよう。その者より強いものだけが唯一その家に入り、そこにあるものをうばうことができる。

屋敷やしきおさを縛り上げ、おさの財産を好きなだけ奪い去る強者つわもののように、俺は悪魔を追い払う必ず悪魔王サタンを縛り上げる・・・!!!

30 だれでも俺に味方しないなら、敵。俺と組まないなら邪魔だ。

31 いいか、人が犯す全ての過ちは、神の冒涜ぼうとくも含め、確かにゆるされる。だが、神の霊ホーリースピリットの働きに逆らうのなら、ゆるされることはない・・・!!!

32 に逆らう事でさえもゆるされる。だが、神の霊ホーリースピリットの働きに逆らうのなら、たとえ、この世界であっても、のちに来る世界であっても絶対にゆるされることはない・・・!!!」

良い木からる良い実

33 「良い実をらせたければ、良い木を育てなければならない。

あなたの木が腐っていれば、腐った実しかならない。

実った、その実を見て、なんの木か分かる。

34 マムシめ!その腐った心からでるそのことばといったら絶望的だ。

心に溜めたことが口からでる。

35 心に素敵なことを溜めるから、素敵な人が生まれ、

汚れたことを溜めるから、汚れた人間になる。

36 言っておくが、最後の審判ファイナルジャッジメントの日には、無意識の発言でさえ裁かれる。

37 あなたの口から出る言葉が、その時の判断基準。この世での発言は、すべて記録に残り、有罪か無罪かの判決が下る・・・!!!」

ニネベの町人と南の女王シェバとの比較

38 すると、何人かのパリサイ一派と掟の学者がイエスに答えた。

「先生、あなたが神のとして、キセキを起こすのを見せていただきたい」

39 「神に従わない自己中心的な時代だな。キセキがなければ信じられないのがその証拠だ。あなたに証明するのためにキセキは起きやしない。

今を生きるみなさんの神に対する態度は、反抗期の子どものようだ。

だからキセキを目の当たりにしなきゃ信じられないのだろう。だが言っておく、あなたに証明するのためにキセキは起きやしない。唯一得られると言ったらヨナの出来事くらいだ。

40 ヨナが巨大な魚の腹に3日3晩閉じ込められたように、

も3日3晩、墓に閉じ込められる。

41 最後の審判ファイナルジャッジメントの日、この時代の人はニネベの町人と比較される。

あなたがどれだけ罪深いか、彼らが証人となる。

ニネベの町人は、ヨナの言葉を聞いて、心を入れ替え、生き方を改めた。

なのにどうだ・・・ヨナよりもはるかに偉大な者をまえにして、変わろうともしない・・・

42 最後の審判ファイナルジャッジメントの日、この時代は、南の女王シェバと比較される。

あなたがどれだけ罪深いか、彼女本人が証人となる。

なぜかって?彼女は遥か彼方かなたから国宝級の贈り物を持ってやって来た。ソロモン大王の知恵を聞くためだけに。

なのにどうだ・・・知恵の王ソロモンよりはるかに偉大な者をまえにして、全く話を聞こうとしない・・・!!!」

何もないことの危険

43 「取り{憑|つ}いていた人から、悪魔が追い出されると、くつろげる場所を探して荒野をうろうろする。だが、優良物件を見つけることができない。 44 すると奴らはこう言う。

“とりあえず前の住処すみかへ戻ってみるか・・・”

そうして前の住処すみかに戻ってみるとそこは空部屋あきべやのまま綺麗きれい整理整頓せいりせいとんされているじゃあないか。

45 その悪魔は、よし、しめた!と言わんばかりに、自身より凶悪きょうあくな悪魔を7匹連れて住み込む・・・その人は以前よりも苦しい人生を送ることになるわけだ・・・

今の時代を生きる汚れた人間が変わらないなら、このとおりになる」

本当の家族とは

46 イエスが家で話し続けていると、イエスと話すために母と兄弟が外で待っていた。

47 「イエスさん、お話し中にすいやせん!お母さんや兄弟が外で待ってまっせ!なんでもお話がしたいんだとか・・・」

48 「俺の母と兄弟とは誰のことだ?」

49 イエスは仲間たちを指した。

「俺の母、兄弟はここにいるじゃあないか。 50 天にいる父さんの心を受けついで従う者は俺の兄弟姉妹、母だ!!!」

種を蒔く農夫の例え話

1 同じ日――

家を出たイエスは、湖畔こはんに腰かけた。

2 人だかりに囲まれたので今度は小舟に乗り込み、そこに座った。

岸辺きしべには先ほどの群衆が。

3 「あるところの農夫が作物の種をまくために出かけた時の話だ・・・!」

「おぉ始まったぞ!」

イエスはいろんな例え話を用いて人に教えていた。

この日も、とある話を語り出した。

4 「種蒔きをしている最中、ある種は道端に落ち、鳥に食べられてしまった。

5 また別の種は、土の浅い岩肌の地面に落ちた。

土が浅いせいですぐに芽を出したものの、 6 根をはれなかったために日が昇ると干からびてしまった。

7 また別の種は、いばらの生いしげる中に落ちた。

周りのいばらは育ったものの、肝心な蒔かれた種の成長を妨げた。

8 だが良い地に落ちた種はどうだ!グングン成長し実をつけた。

ある種からは100倍、別の種からは60倍、また別の種から30倍の実を結んだんだ!

9 耳があるなら、よく聞け!」

なぞかけ

10 「なんで、あの話を使って教えたの?」

イエスのお供たちが尋ねた。

11 神の王国キングダムの真理を知ることができるのは、おまえたちだけだ。他の者はみな、まだそれを理解できないからだ。 12 少しでも理解のあるものはもっと与えられ、必要以上にもらえる。しかし少しの理解も持たない者は、その少ない理解でさえも失うことになる。

13 俺がを用いて人を教えているワケか。

彼らは見るが、見えていない。

彼らは聴くが、聞こえていない。

14 神が預言者イザヤを通して人に語られた言葉が実現するためだ。

何度も聞こうとはするが、

理解ができない。

目を凝らして見ようとはするが、

見えない。

15 彼らには理解できない。

その耳はふさがれ、

その目は閉ざされている。

ゆえに、自分の目では見ることができず、

自分の耳で聞くこともできなければ、

更には自分の頭で理解もできない。

もし理解できるなら、私に心を向けるだろう

さすれば、私も彼らを治そう―― 【聖書:イザヤ書6:9-10より引用】

16 神に恵まれたおまえたちは、

目にすること、耳にすることが理解できる。

17 はっきり言うが、多くの預言者や神を愛す人たちは、今おまえたちが見聞きしていることを心底見たくとも、見れず、心底聞きたくとも、聞けず、叶わぬ夢だったのだ」

種蒔き農夫。その心は。

18 「種蒔き農夫の心はこうだ・・・

19 道端に落ちた種・・・それはまるで神の王国キングダムの真理を聞いても、悪魔がやってくると、いとも簡単に植えられた真理を奪われ、すぐに忘れてしまう人のようだ。

20 では岩肌の地に落ちた種は・・・?

真理を聞くとすぐに、しかも喜んで受け入れはするが、 21 その真理を深く人生に根付かせず、一時のとしかとらえないから長続きはしない。

受け入れた真理が理由で、浴びる非難の声や問題が訪れた時、いとも簡単にあきらめてしまう人だ。

22 そして、いばらの中に落ちた種はどうだ・・・?

彼らは、たとえ神の真理を聞いても、この世のことで頭を抱える人だ。将来への不安や金銭欲、また、その他に対する欲求不満。これらによって成長は遅れ、もたらす成功という実を結ばない。

23 しかし、良い地に落ちた種はどうだ・・・?

神の真理を聞くと、しっかり飲み込み、目を見張るように成長し、良い実をどんどん、どんどん結ぶ!ある人は30倍、ある人は60倍、ある人は100倍だ!!!」

麦と雑草のなぞかけ

24 神の王国キングダムは良い種を自分の農場に蒔く農夫に例えることができる!」

また別のなぞかけを用いて教え始めるイエス――

25 「その夜の事・・・

みんなが寝静まった頃、天敵がやって来て植えた麦の間に雑草を植えていった。

26 しばらく経ち、その麦は順調に育ち、実も見えはじめた。

しかし、一方で、雑草もグングン育っているではないか。

27 “確かにいい麦の種を蒔いたはずですよね?この雑草たちは一体どこから?”

労働者が農家の主人に尋ねると、

28 “我々の天敵がやったんじゃあ・・・”

答える農夫に対し、

“あの雑草、抜きましょうかね?”

と尋ねると、

29 “ダメだ!せっかく育った麦も一緒に抜きかねん! 30 収穫の時まで、雑草も麦も一緒に伸ばしておけ。その時に、雑草はいっしょくたにまとめ上げて燃やしてしまおう。

れた麦は全てくらに持っていくさ”

と農夫は答えた」

神の王国キングダムとかけまして、からし種と解く。その心は?

31 神の王国キングダムは誰かが庭に蒔いた小さな小さなのようなものだ」

別のなぞかけを話し始めるイエス――

32 「種の中でも最も小さい種だが、成長したときには庭にあるどの木よりも大きく育つ。鳥たちが枝に巣をつくるのに十分すぎるほどの大きさへ成長する」

33 さらに別のなぞかけ・・・

神の王国キングダムは、女がパンを作る時に小麦粉と混ぜ合わせる、イースト菌によく似ている。イースト菌を混ぜると、パン生地が膨らんでいく」

34 イエスが人に教える時はいつもこのように、なぞかけを用いていた。

35 これにより、神が預言者を通して語られた言葉が実現した。

𝄞たとえを用いて人に話そう

天地創造より隠されし真実を明かそう――【聖書:詩篇78:2より引用】

麦と雑草に隠された意味とは?

36 その場を後にし、家に入るイエス――

「農地に蒔かれた、麦と雑草のなぞかけの心について教えてください!」

イエスの仲間は好奇心いっぱいだ。

37 「農地に種を蒔いた“農家の主人”は、

38 “農地”はこの世界

“良い種”は神の王国キングダムの民

“雑草”は悪魔に属す民

39 悪い種を植えた“天敵”は悪魔王サタン

“収穫の時”は<この世が終わる日>

“農家のスタッフ”は天使たちだ。

40 雑草はいっしょくたにまとめ上げられ、燃やされる・・・

これと同じ事が<この世が終わる日>に起きる。

41 が天使を送りこみ、過ちや悪を犯す人を見つけ出したら、神の王国キングダムから追い出し、 42 燃える炎の中に投げ込む。

彼らは痛みにもがき、歯ぎしりをし、悲しみに打ちひしがれるのだ。

43 神を愛する人たちは太陽のように輝く。そして父さんの王国キングダムに住むのだ。耳があるなら、よく聞け!」

本当に欲しけりゃすべてを捧げろ!

44 神の王国キングダムは宝の隠された土地のようだ。

ある日、ある土地から宝を掘り出した男は、人目につかぬよう、胸の高鳴りを押さえながら、もう一度隠し、持っているモノを全てはたいてでも、その土地を買うだろう・・・

45 さらに、神の王国キングダムは最上の真珠を探す宝石商のようだ。

46 ある日、一級品の真珠を見つけたその男は、持ち物すべてをはたいてでも、それを手に入れようとする」

漁師の網

47 「また神の王国キングダムは漁師がみずうみに投げ込んだあみのようだ。いろんな種類の魚が獲れる!

48 大漁のあみきしにあげ、良い魚を選別する漁師。悪いものは水に返される。

49 それは、<この世が終わる日>のごとく。天使たちが現れ、神を心から愛す人と、自己中を選び分ける。

50 自己中は燃える炎の中に投げ込まれ、痛みにもがき、歯ぎしりをし、悲しみに打ちひしがれる」

51 「どうだ、分かったか?」

「ああ!」

イエスの仲間たちは、すっきりした表情。

52 神の王国キングダムについて飲み込んだ指導者は誰もが、古いワインと新しいワインを必要に応じて取り出す、一家の主人のようになる」

故郷に帰る

53 話を終えてそこを後にしたイエスは、 54 自分の生まれ育った町へ向かった――

昔からイエスの事を知っている地元民は、ユダヤ集会所シナゴグでイエスの教えを聞き、衝撃を受けた。

「おい、あんな奴が、どこであんな知恵たくわえてきたんだ?知恵だけじゃねえ、キセキを起こす力もだ!」

55 「どぉゆうこっちゃ、あいつぁあれだろ!マリヤんとこのせがれだろ?

こんなとこで教えてっけどよぉ、元々は大工じゃあねぇか・・・!」

「俺も良く知ってっぞ!兄弟はヤコブとヨセ、それにシモンとユダだぜ? 56 それに、妹たちだってまだこの村に住んでっしなぁ・・・いったいどうやったらあんなこと・・・?」

57 イエスの知恵にあふれた教えを目の当たりにした地元民は、目と耳を疑った。

「人から讃えられるほどの偉大な預言者でさえ、受け入れられない唯一の場所がある・・・故郷ふるさと、そして身内だ」

58 その町の人がイエスを信じなかったため、そこまで多くのキセキを起こせなかった。

噂の預言者について、ヘロデ総督の見解けんかい

1 その頃、イエスの噂がガリラヤ地方一帯を統括するヘロデ総督の耳に入った。

2洗礼者バプティストヨハネがよみがえったに違いない・・・!じゃなきゃあんなキセキを起こすことはできぬ!」

という彼の見解を召使いに話したのだった。

洗礼者バプティストヨハネの死にざま

3 これよりも少し前のこと――

ヘロデ総督は、洗礼者バプティストヨハネを捕まえ、鎖につなぎ監禁していた。

全てはヘロデ総督の兄弟ピリポの妻ヘロデヤが原因だった。

4 ――「王よ、恐れ入りやすが、あっしも神の使いですんではっきり申し上げさせてもらいやす・・・ヘロデヤとの結婚ですが・・・こいつぁ立派な不義でございやす・・・!!!」

洗礼者バプティストヨハネは、このように物申したのだ――【ヘロデ総督は、すでに自分に兄弟と結婚していたヘロデヤを妻にしたからだ】

5 (ヨハネを殺してしまいたい・・・しかしそんなことをしたら暴動が起きるだろう・・・)

ヘロデ総督の脳裏に、ヨハネを預言者と信じる人たちの顔がよぎった。

6 ヘロデ王の誕生日――

ヘロデ総督の妻ヘロデヤの娘が、誕生会に集まった人のために踊りを披露していた。これにはヘロデ総督も大喜び。

7 上機嫌のヘロデ総督は、勢いにまかせ、この娘の願いをなーんでも叶えると約束した。

8 ヘロデヤは不気味な笑みを浮かべながら、何を求めればいいか娘に伝えた――

洗礼者バプティストヨハネの首をください・・・“今すぐ”彼の首を大皿にのせて持って来てください・・・!」

「な゙!」

ヘロデヤの娘はそう願い出た・・・。

9 ヘロデ王は娘と交わした約束を心から後悔した。

しかし、共に食卓についた有力者たちも見ていた手前、今さら撤回するわけにもいかない・・・

「んぬぅ・・・んな、なにをグズグズしている!彼女の言うとおりヨハネの首を切り落として、ここに持ってごん゙かッ!!!」

ヘロデ王は部下に命じた――

10 ザシュンッッ!!!

ヘロデ総督に送られた部下は、ヨハネのいる牢で、その首を切り落とした。

11 無残むざんにも、ヨハネの首が大皿に載せられ、娘の前に運ばれてくると、娘は母にそれを渡した。

12 洗礼者バプティストヨハネの弟子は、その体を引き取り埋葬した――

「・・・・・・という訳なんだ」

イエスのもとに行った彼らは、ことの次第を伝えたのだった。

5000人の食卓

13 洗礼者バプティストヨハネの身に起きた事の一部始終を聞いたイエスは小舟に乗り、誰もいない場所へと向かった。しかし、イエスが町を離れたと聞くと、そこにいた人たちも陸つたいにイエスを追いかけた。

14 小舟を降りたイエスが目の当たりにしたもの、それは・・・

――大群衆!!!

心打たれたイエスは、病人たちをそこで治した。

15 夕方ごろ――

仲間がイエスのもとに来ていった。

「ここら一帯には、だれも住んじゃあいない。今のうちにみんなを町に帰してあげるってのはどうだ?そうすりゃあ各自、買うなり、なんなりして食事にありつける」

16 「いや、帰らせる必要はない。おまえたちが食べさせてあげたらどうだ!」

17 「ちょ、ちょっとご冗談を!ここには5つのパンと2匹の魚しかない・・・」

18 「それらをここに・・・」

19 そして群衆を芝生しばふに座らせると、5つのパンと2匹の魚を手に取った。

(ありがとう・・・)

天を見上げ神に感謝を捧げると、ちぎり分けたパンを仲間に渡し、それを群衆へ配らせた。

20 ――「ぷはー無理!もー食べらんない!!」

みんな満腹、イエスの仲間が手つかずの余った食べ物を集めると・・・何と12のかごが一杯に!

21 その場には、男でも5000人以上、それに加えて女と子どももいたというのにだ!!!

水の上を歩く幽霊?

22 「俺は後から追いかける・・・」

イエスはそう仲間たちに言うと、彼らを先に小舟でみずうみの反対側に向かわせた。

そこに残ったイエスは、周りにいた人にも、家へ帰るように伝えた。

23 みんなにサヨナラすると1人で祈るために、丘に登った。

時刻は遅く、ここにいるのはイエスのみ・・・

24 この頃になると、仲間を乗せた小舟は岸から大分離れた場所まできていた。

湖上にいた一行は、向かい風にあおられ大波と闘っていた。

25 午前3時から6時ごろのこと――

小舟の上にいる仲間たちの前に、イエスが現れた。

ん?

ちょっと待て、水の上を歩いているではないか!!!

26 「お、おい・・・」

「ん?」

「ヒ、ヒィ〰〰〰〰〰〰〰〰!!!」

目ん玉が飛び出るほど驚いたイエスの一味は湖の上に幽霊がいるのだと思った。

27 「おいおい、恐がるな!俺だよ、俺!」

イエスが仲間たちに声を掛けた。

28 「せ、先生!もし本当にそうなら、お、俺に“水の上を歩いてここまで来い”と言ってくれえ!!!」

そう言ったのは岩のペテロ。

29 「来い!ペテロ!!!」

それを聞くと、船べりから一歩を踏み出し、水の上を歩いてイエスのもとへ向かった。

30 (イエス・・・ん?)

「!」

水面を歩く岩のペテロは押し寄せる波と吹き荒れる風に目を向けてしまった。

その途端・・・心によぎる、不安。水に沈むんじゃないかという疑いに襲われた。

「先生!た、たすけてぇ〰〰」

31 叫ぶペテロを掴むと、

「なぜ疑った?まだ信頼できないのか?」

32 小舟に乗り込んだ途端・・・

ピタッ――

吹き荒れていた嵐がうそのように止んだ。

33 「やっぱり、イエス、あなたは神の子だ!!!」

乗っていたイエスの仲間たちは船上でイエスを讃え、口々に言った。

ゲネサレ平原の住民

34 湖を渡りきった一行は対岸にある、ゲネサレ平原にいた――

35 そこにいた人たちはイエスを一目見るやいなや、それが何者かを察した。

「おいイエスが来たぞ!」

「本物だ!」

噂はたちまち、地域一帯に広がった。そして、病人を全員イエスのもとに連れてきた。

36 「あなたのすそだけでもいい、触らせてください!!!」

イエスに頼み込み、触れた人間は誰でも、その病が治されたのだった。

掟と伝統

1 ある日の事――

パリサイ一派と掟の学者たちが、はるばる神殿のみやこエルサレムからイエスのもとにやって来た。

2 「はて、あなたの弟子たちは、私たちが先祖代々受け継いだ伝統的なしきたりを守らないので?食事の前に手を洗う伝統儀式・・・これは常識でございますが?」

3 「あなたたちは自分たちの伝統に従うためなら、神に従わなくてもよいと思っているのですか?

4 “両親を敬いなさい”――【聖書:出エジプト記20:12、申命記5:16より引用】

“両親に対して、悪口を叩く者は死刑”――【聖書:出エジプト記21:17より引用】

これは神の教えだ。

5 にもかかわらず、あなたがたはもし、誓った時とは状況が変わって父と母が助けを求めてきたとしても、

“神に捧げると誓った額を捧げきるまでは、たとえそれが両親を助けるためであってもいけない”

と教えている。

6 両親を敬わなくてもいい。これがあなたたちの教えていることになる。

つまり、あなたたちの教えは、神の言うことをするのは重要ではないとしている。

むしろ伝統に従うことの方が重要だと考えている・・・

7 この偽善者め!預言者イザヤがあなた方についてした神のお告げのとおりだ。

8 彼らは口先だけで、

その心は、わたしと縁がない。

9 人の価値観を教えといて彼らは、無意味にわたしを拝む」――【聖書:イザヤ書29:13より引用】

10 イエスはそこにいた人たちを呼び集めた。

「いいか、俺のことばをしっかり聞いて悟れ!

11 人は口に入れるモノで汚れるのではなく、内側から出るモノによって汚れる!」

12 ――「イエス、さっきの発言でパリサイ派はかんかんだよ」

そう伝えるのはイエスの仲間・・・

13 「天の父さんが植えたのでなければ、どんなものであれ、根こそぎ引っこ抜かれるのさ。 14 パリサイ派には気をつけろよ。確かに人を導く指導者たちだ。

でも、それはまるで、盲人が盲人の手を引くようなもんだ。

2人ともみぞにはまるのがオチだ」

15 「さっきみんなに言ったことだが、もう少し説明してもらえるか?」

尋ねるのは岩のペテロ。

16 「まだ、分からないのか?」

17 「食べたものは口から入り、腹を通って出ることは知っているだろう。

18 だが、人の口から出る悪口は、悪い思いによって生まれ、そのせいで人は汚れる。

19 悪い考え、人を殺すこと、結婚した人以外とのセックス、盗み、嘘、そして他人への悪口・・・といった悪事は、悪い思いから生まれてくるのだ。

20 人を汚す。食べる前に手を洗わないからといって、神に背を向けられることは絶対にない」

おこぼれを食べる犬

21 そこからイエスは、港のみやこツロとシドンへ向かった。

22 すると、カナン人の女がイエスのもとへやって来て大きな声で叫びだすではないか。

「ダビデ王の子!主君よ!助けてください!娘が、娘が悪魔に犯されています!苦しんでるんです・・・!!!」

23 「・・・・・・」

イエスは彼女に応答しなかった。そこで仲間たちはイエスのもとにきた。

「追っ払ってください!泣きながらついてまわるんでかないませんよ!」

24 神の国イスラエルの迷子の人たちのために神は俺を送った・・・」

25 「イエス様!どうかお助けをッ!!!」

イエスのもとに来て深く頭を下げて頼み込む女。

26 「子どものパンを取り上げてまで、犬に与えるなんて。犬よりも先に子どもが食べるべきだろう?」

27 「先生おっしゃる通りです!でも食卓の下にいる犬にも飼い主の食べこぼしたパンくずを食べる権利はあります・・・!!!」

28 「女よ、よく信じた!!!願いは叶えられた」

ちょうどそのとき、女の娘は完全に治った。

ガリラヤ湖畔でのキセキ体験

29 舞台は再びガリラヤ湖畔こはん――

そこには丘に登り、座りこむイエスの姿が。

30 たくさんの人がそこへやって来た。

「もうすぐだ・・・!」

彼らは、病気を持った人たちをイエスの前に連れてきたのだ。連れてこられたのは、歩けない人、目の見えない人、体の不自由な人、耳の聞こえない人、そのほかにもいろいろな人がいた。イエスはどんな人であれ治してあげた。

31 声がでない人が話し、体の不自由だった人はよくなり、歩けなかった人はすいすい歩き、盲人は見えるようになった。それを見た群衆はびっくり仰天し、誰もがイスラエルの神に感謝をささげたのだった!

満腹4000人

32 「かわいそうだと思わないか。みんなかれこれ3日間ついてきているせいで食べもんがない。お腹を空かせたまま帰すのもこくだ。遠くから来た人たちもいる、途中で倒れちゃあいけないからな・・・」

イエスは仲間を呼びそう打ち明けた。

33 「そ、そうは言っても!町からだいぶ離れたし、こーんなにたくさんの人がいるのにどっから食料を調達するつもりで?」

34 「今パンはいくつある?」

「パンが7つと小さな魚数匹しか・・・」

35 それを聞いたイエスは群衆に座るよう伝えた。

36 7つのパンと小さな魚を手に取ると、神に感謝をささげた。そしてパンをちぎると、ほらっと仲間たちに渡し、群衆へと配らせた。

37 こうして全員、満腹になるまで食べた。イエスの仲間が残りを集めると、7つのかごがいっぱいになるほど残っている。

38 そこには男たちで軽く4000人、それ以外にも、女や子どももいるというのにだ・・・

39 お腹いっぱい食べ終わると、イエスは皆を家に帰した。

そして、自分は小舟に乗り込み、マガダン地方を目指した。

預言者ヨナ以外のしるしはない

1 「あなたが本当に神の力を持っているのなら、そのとして、キセキを起こしてみせなさい」

ある時、イエスが本当に神に送られた者なのかを試すべく、パリサイ一派と、サドカイ一派が突拍子とっぴょうしもないことを吹っかけにやって来た。

2 「夕焼け空を眺めて、翌日の天気を予測する。

空が赤ければ明日は晴れると言う。

3 朝起きて、空が赤暗いと、今日は雨だろうと言う。

天気のだ。空のを見て、それが何かを悟る。

同じように今の時代に起きていることも見る。

それもだ。でもその意味を理解しない・・・

4 神に従わない自己中心的な時代だな。信じる前にを見る必要があるのがその証拠。

しかし、あなたがたに証明するのためになどは起きやしない。唯一あなた方が得ると言ったらヨナの身に起ったことぐらいだ」――【ヨナ:旧約聖書に登場する預言者。大きな魚に食べられたが、3日目に生きて出てきた。聖書ヨナ書より引用】

そういうとイエスはその場から去って行った。

見ても理解しない一味

5 さぁ次だっ!

対岸たいがんを目指す一行――

あ!ッちゃー・・・・・・イエスの仲間たちは、肝心なパンを積み忘れていた。

6 「パリサイ派やサドカイ派のイースト菌には気をつけろ・・・」

イエスは仲間たちへ忠告した。

7 「?」となる仲間たち。

「たぶんあれだ、俺たちがパンを忘れたからじゃないか?」

「い゙ッ、違いねぇ・・・」

8 「なんでパンがないことを気にしてんだ?」

仲間たちが何について話しているのか、イエスは気づいていた。

「なぜそんなに信頼ができない? 9 まだ理解できないのか?5つのパンで5000人のお腹を満たし、さらにはたくさんのかごをいっぱいにした時のことを覚えていないのか? 10 同じく、7つのパンで4000人を食べさせ、余ったパンでたくさんのかごがいっぱいになったことも覚えてないのか?

11 それなのになぜ俺が、パンのことをいちいち気にすると思う?

俺は、ことばのとおり、パリサイ派とサドカイ派のイースト菌に気をつけろと言っているんだ」

12 ようやく、イエスの言葉の意味を理解する仲間たち。パンにつかうイースト菌について話していたのではなく、パリサイ派やサドカイ派の理屈に気をつけるように。という事をさとしていたのだった。

イエスの正体

13 イエスとその仲間は20kmほど北上したピリポ・カイザリヤの都とその周辺を訪れていた。

――「人は俺のことを誰だと言っている?」

14洗礼者バプティストヨハネだと思っている人たちがいたな!」

「ああ預言者エリヤだとか、エレミヤ、あるいはその他の預言者だと言う人も」

15 「おまえたちはどうだ?」

16 「あなたこそ生きる神の子、選ばれし王だ!!!」

岩のペテロが答えた。

17 「恵まれたなヨナの子シモン・・・だれにも教わらなかったことを言い当てたのは、天にいる俺の父さんが明かしてくれたからだ。 ――【ヨナの子シモン:ヨナはシモンの父親の名前。ユダヤ人の間では父親の名前の後にその人の名前を呼ぶというのが、フルネームであった】

18 だから、岩であるペテロ。俺はこのに教会を建ちあげよう!!!

死の力でさえも、俺の教会を倒すことはできない。

19 おまえに神の王国キングダムへのカギを与えよう。この地で人を裁くなら、神も裁き、ゆるしを与えるなら、天で神もゆるす」 ――【ペテロとは岩という意味があり、イスラエルの岩とされたアブラハムのような男になるとイエスに預言されたのだ。聖書:イザヤ書51:1-2参照】

20 そして、イエスが救世主キリストであることはまだ、誰にも言ってはいけないと口止めした。

下がれサタン!

21 「俺はこれからエルサレムへ行かなくてはならない」

それいらいイエスはこれから起こることを仲間に打ち明け始めた――

「ユダヤ指導者、祭司たち、そして掟の学者たちによって多くの苦しみの中をくぐらされ、俺は彼らに殺されなければならない。そして3日目に死からよみがえる!」

22 ――ちょっと、ちょっとイエス・・・

道中、岩のペテロがイエスを連れてグループから少し離れた。

「ダメだよイエス・・・神がそんな苦しみから救ってくれるさ!師匠、そんなことは起きやしないって!」

23 「下がれ!悪魔王サタン!!!そんな言葉など気休めにもならん!神の思いはそっちのけで、人間の欲につけ込みやがって・・・!」

24 そして仲間に対してイエスは続けた。

「誰でも俺についてきたいなら、自分勝手な考えや欲を捨てろ!俺の後に続く代わりに渡される十字架を進んで背負え!

25 誰でも自分の人生を自分で救おうものなら。だが俺のために人生を捧げる者は、人生を

26 例え世界を手に入れようとも、自分を失えば元も子もない。どれだけお金を積もうが、失った人生を買い戻すことはできないからだ・・・!

27 俺、すなわち父さんの栄光をおび、天使の軍勢を従えて戻る。

そのとき、俺は、人が行ってきたことに応じて褒美ほうびを授ける。

28 今から言うことを信じろ・・・この中にはがすべてを統べる王として戻って来るのを目にする者がいる!」――【聖書:ダニエル書7:13より引用】

伝説の預言者モーセとエリヤ現る

1 6日後の事だった――

イエスは十二使徒のうち、岩のペテロ、ヤコブ・ヨハネの3人を連れて高い山に登った。そこには彼ら以外誰もいない。

2 ・・・ドヒュンッ!

「ゔわぁぁぁーっ!!!」

使徒たちの前で一瞬にしてイエスが変身したではないか!

その顔は光り輝く太陽のように眩しく、服はまぶしくて見ていられないほどの純白!

3 そして突然2人の男が現れた、かと思うとイエスと親しそうに話し始める・・・誰だ?と使徒たちが目を凝らしてみると・・・な、なんとそれは、あーの伝説の預言者エリヤとモーセではないか!!!

4 「ししょ〰!光栄ですっ!ほんと光栄ですっ!なんというか、この場に居合わせることができるなんて・・・そ、そうだ!みなさまが神を讃えるための幕屋テントを3つ、作りましょうか!ひ、ひとつはイエスの名誉、それとモーセ様とエリヤ様の名誉のた、た、た、ために!!!」――【紀元前、神殿が建てられる前のユダヤ人は幕屋テントの中に神を礼拝する場所を設けていた】

5 ――ぐおぉぉぉ・・・

岩のペテロが言葉を言い切る前に、天をおおう眩しい雲から、声が響いた。

――これはわたしの愛する子。この子こそわたしの誇り。いいか、に従うのだ!!!――

6 声を聞いたイエスの仲間たちは、おそれのあまり、気を失いそうになり、地面に倒れた。

7 「立て!恐れるな」

倒れている仲間に触れ、声をかけたイエス。

8 使徒たちが、ふと我に返って辺りを見回すと、元通り、イエスただ1人になっていた。

9 なんだかんだ起きた後、イエスと使徒たちは山を降り始めた――

「いいか、が死からよみがえるそのときまで、ここで見たことは心にしまっておくんだ・・・!

10 ――「なぁイエス、なんで掟の学者たちは、“神に選ばれし王が来る前に預言者エリヤが来なければならない”なんて言ってんだ?」 ――【聖書:マラキ書4:5-6より引用】

11 「まず、エリヤが来なければならないのは確かだ。彼が全ての人間を本来あるべき心に整える。 12 だが、エリヤはすでに来た。ただ、人はそれが誰なのかに気付かず粗末に扱い、好き勝手やった・・・エリヤを苦しめた人がのことをも苦しめる」

13 ――!――

イエスの話す預言者エリヤについて理解する使徒たち。そう、エリヤとは洗礼者ヨハネのことだとわかったのだ。

からし種サイズの信頼

14 イエスとその仲間たちが群衆のもとへ戻ると、男がやってきて深々とイエスの前で頭を下げた。

15 「主君よ、息子に情けを・・・病がゆえに、時には炎、時には水の中に倒れ込むのです。 16 先生のお弟子さんに診てもらいましたが、彼らには治せませんでした」

17 「まったく神への信頼が薄い時代だ・・・人生過ちだらけだ!いつまで俺が一緒じゃなきゃいけない?いつまで待てばいいんだ・・・その子をここに」

18 ――今すぐそこから立ち去れ・・・!!――

男の子の中に住み着く悪魔に命じるイエス。すると直ちに悪魔はその体から去り、男の子は治ったのだった。

19 使徒たちはイエスのもとに集まった。

「俺たちも同じように悪魔を追い出そうとしたんだ・・・だが、どうして俺たちには、追い出すことができなかったんだい・・・?」

20 「悪魔を追い出せないのは、神に抱く信頼の薄さのせいだ。俺が言うことを信じろ。もし、おまえがからし種ほど小さな信頼があるなら、あの山に向かって“ここからあっちへ動け”と信じて命じるならその通りになる。おまえにだってなんでもできる」 21

イエスの死にざま

22 その後――

使徒たちはガリラヤ地方に集まった。

は人の手に落ち、 23 彼らに殺される。しかし3日目に死からよみがえる・・・!!!」

(そんな・・・)

イエスが殺されなければならないという知らせに心から悲しむ使徒たち。

払う?払わない?神殿税

24 カペナウム町にて――

「あなたのところの先生は神殿税をお支払いで?」

イエスとその仲間たちがカペナウム町に着くと、2枚の銀貨分の神殿税を徴収する税金取りが岩のペテロのもとにやってきた。

25 「えぇ、払ってますが」

と答えると、岩のペテロはイエスがいた家へと向かった――

「イエス!」

「世の中の王は人からいろんな税金を徴収ちょうしゅうするが、その金はいったい誰が払っている?王家、それとも他の人か?」

岩のペテロが口を開くよりも先にイエスが言った。

26 「他の人が払っている」

「ということは、王家に属する俺たちが神殿税を支払う必要はないよな。

27 だが、税金取りを怒らせるのはよくない。

だからペテロ、みずうみにいって釣りをしてこい。

最初に獲った魚の口を開ければ、俺とおまえの分になる大きな銀貨が入っているから、それで税金取りに支払ってきてくれ」 ――【ギリシャ銀貨の1枚は、当時の日当に値した】

最も偉大な者

1 同じころ――

「この中で神の王国キングダムにおいて最も偉い者は?」

イエスのもとにやって来た仲間が尋ねた。

2 こっちに来てごらん――

イエスは子どもを呼ぶと、仲間の前に立たせた。

3 「おまえたちが考え方を改め、子どものように考えることだ。でなければ、神の王国キングダムには入れない・・・ 4 神の国キングダムで最も偉大な者・・・それは、おのれを子どものように小さくする、謙虚な人だ・・・!!!」

5 「この子どものように小さいものをおまえたちが受け入れるなら、俺を受け入れたことと変わらない」

誘惑を断つ警告

6 話を続けるイエス――

「流されやすい人の道を踏み外させた人はかわいそうだ。コンクリート詰めにされて、海に投げ込まれた方がよっぽどましだ。

7 世の中に洗脳されて過ちを犯す人たちは、なんてかわいそうなんだ。

誘惑は避けられぬとしても、誘惑の主となる者の未来を考えるとぞっとする。

8 もし、その手、あるいはその足が過ちを犯すのなら、それを切り捨てればいい。五体満足で永遠の地獄に落とされるより、身体の一部を失ってでも永遠の命エターナルライフを得たほうがましだ!

9 利き目が過ちを犯すなら、えぐりだせ!両目そろったまま地獄の業火ごうかに放り込まれるより、片目ででも永遠の命エターナルライフを得た方がましだ!」

小さな子と迷子に対する父の想い

10 「この子たちをなめるなよ。この子たちには天使がついている。

天の父さんのそばに四六時中いる天使がだ! 11

12 100匹の羊を飼育する羊飼いがいたとする。

しかし、1匹が迷っていなくなってしまったらどうだ?

99匹を丘に放っておいてでも、その迷った1匹を探しだしにいくのが羊飼いだろ!

13 そしてその1匹が見つかったあかつきには、迷わなかった99匹以上にその1匹に起きたことを喜ぶだろう。 14 同じように、天の父さんは、小さなこの子たちが誰一人として人生という路頭に迷って欲しくないのだ」

過ちの矯正

15 「もし、神の家族の兄弟姉妹によくないことをされたなら、2人きりになって何がいけなかったのかを教えてあげるんだ。相手が聞き入れるなら、本当の兄弟姉妹を取り戻したことになる!

16 だが、相手が聞きいれないのなら、1人、2人の信仰の仲間を証人として連れていき、あなたが正しいことを証明してもらうのだ――【聖書:申命記19:15より引用】

17 過ちを犯した人が、その忠告を聞きいれないのなら、教会に伝えろ。教会が忠告をしても聞きいれないのなら、神を信じない人や、税金取りと同じように扱うのだ。

18 おまえたちがこの地で裁きの言葉を与える時は、天の裁きとなる。同じく、この地で人をゆるす時は天の神のゆるしでもあるのだ。

19 おまえたちが2人で心を1つにして祈る時、天の父さんはそれを叶えてくれる。 20 そう、もし、2人あるいは3人が共に俺のことを信じるのなら、俺はそこにいる!!!」

7×70

21 「師匠、もし、仲間が俺に対して過ちを犯すことを止めない時はいったい何回ゆるしたらいいんだ?7回か?」

尋ねたのは岩のペテロ。

22 「いや7回以上だ。仮に77回の過ちを犯し続けてきたとしてもゆるし続けるんだ。 23 こう言うのにはワケがある。神の王国キングダムってのは、王が家来の借金を清算させるようなものだ。 24 そこへ、王から30億円ほどの銀を借りた召使いが連れてこられた。

25 しかし、召使いは、それだけの大金を返すだけの財産が無いと言うので、王は、その者の持つものを全て売り払うように命じた。子ども、大人、さらに妻までをも。

26 しかし、その召使いは土下座して頼み込んだ。

“勘弁してください!必ず!必ずや返しますから!”

27 かわいそうに思った王は、借金を免除してやる、もう行っても良いと命じた。

28 しかし、その召使いがそこを離れると、60万円の銀貨を貸してあった召使いに出くわした。

“おい!貸してる金を今すぐ返せ!!!”

首を腕で抱え込みそう言うと、

29 “お借りした物は全てお返しいたします!ど、どうか、もうしばらくご勘弁を!”

土下座してお願いする召使い。

30 しかし、貸主かしぬしは聞く耳を持たず・・・裁判官のもとへ行き、事情を説明すると、その召使いは完済かんさいするまで牢屋に入れられてしまった。

31 それを見ていたまた別の召使いは牢にいる召使いのことを気の毒に思い、事の全容を王に伝えた。

32 王はすぐに30億円免除した召使いを呼び出した――

“この外道め!借金を赦してくれと言うから免除してやったのだぞ!

33 だったら、おまえも俺が情けをかけたように、おまえに貸しがある召使いに情けをかけるのが筋ではないか!”

34 カンカンに怒った王は、罰として貸した金を全て返済しきるまで、その召使いを牢屋に放り込んだ。 35 この王がしたことは、天にいる俺の父さんがすることだ。

おまえも、心から兄弟姉妹をゆるすんだ。さもなくば、天の父さんはおまえをゆるしちゃあくれないぞ!」

離婚の権利

1 話を終えたイエスはガリラヤ地方を去り、ヨルダン川の向こうにあるユダヤ地方へ向かった――

2 たくさんの人がついて来る中で、イエスは病人を治し続けた。

3 おや?パリサイ一派もイエスの後をついて来ている。

イエスを訴える理由となる発言をさせようという魂胆こんたんだ・・・

「いかなる理由であれ、夫が妻と離婚をすることは正しい事で?」

さっそくイエスにしかけたパリサイ一派。

4 「“神がこの世を創った時、男と女を創った”という聖書箇所を読んだことはあるでしょう」――【聖書:創世記1:27、5:2より引用】

5 「だから男は両親のもとを離れ、妻のもとへ来るのだ。こうして2人の人が1つになる――【聖書:創世記2:24より引用】

6 だから結ばれた人たちは、もはや2人ではなく、1人となる。その関係は神によって結ばれた以上、誰もその関係を引きはなすべきではない」

7 「ではなぜ、掟では男が妻と離婚をする時に、離婚証明書を出さないといけない。なんて書かれているのでしょうか?」 ――【聖書:申命記24:1より引用】

8 「神の教えを受け入れない人がいるから、モーセは妻との離婚を認めたのだ。はなっから離婚が認められていたわけではない。

9 言っておくが、だれでも、姦淫かんいん以外の理由で妻と離婚し、別の女と結婚するのなら、それは姦淫かんいんを犯しているのと同じ事になる」――【ここでの姦淫とは、結婚した相手以外との性行為を意味している】

10 「もし妻と離婚できる理由がそれしかないなら、いっそ結婚しない方がいい」

と発言したのはイエスの仲間。

11 「一理あるが、すべての人間が結婚しないでいられるという訳ではない。

それができるのは、神からその力をもらった人だけだ。

12 結婚しない男にはそれぞれ理由がある。生まれつき子どもをつくる能力のない人もいれば、人の手によってそうなった人もいる。あるいは、神の王国キングダムのために、結婚をしない人もいる。

だが、これはできるならの話で、そうする必要はない」

神の王国キングダムは子どもの場所

13 すると、どこからともなく子どもを連れてイエスのもとへやって来る人が――

「しっし、だめだめぇー先生は忙しいのッ!」

イエスに手を置いてもらい、神からの祝福を祈ってもらおうとしたが、イエスの一味がそれを止めた。

14 「止めるな。子どもたちをここへ通せ!神の王国キングダムってのはなぁ、子どもたちのような人のためにある!」

15 イエスは子どもたちに手を置いて祝福を祈ったあと、その場を去った。

裕福な男が求める永遠の命エターナルライフ

16 ある男がイエスに尋ねにきた――

「先生、永遠の命エターナルライフを得るためにはどんなよいことをしたらいいでしょうか?」

17 「よいことについて、なぜ俺に聞く?

よいかたはただ神だけだ。

だが、永遠の命エターナルライフが欲しければ掟に従え」――【イエスがこう答えたのは、この男がイエス以外にも褒められたい一心で言ったことだったからだろう】

18 「どの掟でしょう?」

「殺さない。結婚した相手以外とセックスしない。盗まない。他人に嘘をつかない。 19 両親を敬う。そして周りの人間を自分事のように愛す」――【聖書:出エジプト記20:12-16、申命記5:16-20、レビ記19:18からの引用】

20 「それならぜんぶ守ってきました!!他に何か?」

21 「完全になりたいか?なら、持ち物を全部売り払い、そのお金で貧しい人に施してこい。そうすれば、天に富を築ける!それが終わったら俺についてこい!」

22 (持っているものを売り払う・・・?て?え?)

男の顔は突然曇った。

この男、相当な金持ちだったのだ。結局お金だけは諦められないと、背中を丸くして帰っていった。

23 「実際のところ、裕福な者が神の王国キングダムに入るのは、至難のわざだ・・・ 24 それなら、ラクダが針の穴を通る方がまだ楽だ」

25 「じゃあいったい誰が救われると言うんだよ・・・」

イエスの言葉に失望する仲間たち。

26 「人間には不可能なことも、神には可能だ。神に不可能という文字は無い!!!」

27 「俺たちゃ、すべてを置いてあなたについてきた!俺たちの先には何がある?」

28 「新しい世界がおとずれるとき、栄誉ある天の玉座に腰かけているが約束する!俺についてきたお前たちは、12の玉座につき、イスラエルの12部族を裁くのだ。

29 誰でも俺について来るために、家、兄弟、姉妹、父、母、仕事を置いてきたものは、犠牲にしたすべてをはるかに超えた財宝で報われる。

そして、なにより永遠の命エターナルライフを手にいれるのだ!

30 鼻の高い者は、召使いとなり、腰の低い者と立場が逆転する」

銀貨1枚の日当

1 神の王国キングダムは農園を所有するオーナーのようなもんだ。

とある朝早く、オーナーは、自分のブドウ園で働く者を探すために出ていった。

2 日給6000円で契約し、労働者たちをブドウ園へと送った。

3 午前9時ごろ、市場いちばへ出かけたオーナーは、特に何もせず、市場いちばの前に突っ立っている人たちを見た。

4 “もし私の畑に来て働くなら、その働きに見合った報酬を支払うぞ”

5 そこで、男たちはブドウ園へ向かった。

オーナーは、12時にも、午後3時にも出かけていき、両時刻共に、何人かを雇いブドウ園へ送った。

6 午後5時頃のこと、オーナーはまた市場いちばへ出向いた。同じように突っ立っている男を見たので、

“ここで1日中突っ立って何をしているんだ?”

と尋ねると、

7 “別に・・・誰も、俺たちに仕事をくれやしないからよぉ”

と言うではないか。

“だったら、うちのブドウ園で働いたらいい”

とオーナーは言った。

8 オーナーは1日の終わりに、みんなを召集するようにと園長に伝えた。

“今日の給料を各自へ支払っておくれ。

最後に来た人から順に約束の額を。最初に来た人は最後に支払いなさい”

9 午後5時に雇われ、働いた者たちはみんな、日当分の銀貨1枚を手にした。

10 そして、朝から働いていた人たちの番。

彼らは、だれよりもながく働いたので、だれよりも多くもらえると期待していた。

しかし、与えられたのは同じく銀貨1枚。

11 すると、朝から働いていた人たちは、オーナーに文句を言った。

12 “アイツらは、最後に来て、1時間しか働いてないにもかかわらず、あんたは俺たちに支払った額と同じ給料を払うってのかよぉ!

俺たちゃ炎天下の中一生懸命働いてたんだぞ!”

13 すると、オーナーは。

“ちょっと待っておくれ。契約通り銀貨1枚を支払ったではないか?

14 だから、給料を持っていきなさい。私は、最後に働いてくれたものにも、同じ額を支払ってやりたいのだ。 15 私のお金だ。どう使おうが、私の勝手ではないか!

なぜ私の気前のよさにいちゃもんをつけ、他の人たちの分をとりあげようとする?”

16 鼻の高い者は、召使いとなり、腰の低い者と立場が逆転する」

死に場所へ

17 神殿のみやこエルサレムを目指すイエス――

十二使徒たちも共につづいた。歩きながら、十二使徒たちを近くに寄せ、周りには聞こえないように話し始めた。

18 「俺たちは、これからエルサレムへ行くが、まずは、祭司たちや掟の学者たちの手に渡り、彼らに死刑の判決を下される。

19 そして、を外国人の手に渡される。彼らは、を笑い、ムチで打ち、そして・・・

で殺す!!!

・・・だが3日目によみがえる」

苦しみの杯サカズキ

20 漁師ゼベダイの妻が息子たちを連れて、イエスのもとへやって来てお辞儀した――

21 「何のようだい?」

「あなたが神の王国キングダムの王座に君臨するとき、私の息子をあなたの左の座に、もう1人をあなたの右の座に座らせてはいただけないでしょうか・・・?」

22 イエスはその息子たちを見た。

「自分で自分が“何を”お願いしているか分かっていない。

俺が飲まなくてはいけない苦しみの杯サカズキを味わえるか?」

「も、もちろんッ!!!」

2人は答えた。

23 「ああ、確かにおまえたちは、俺と同じ苦しみの杯サカズキを飲む。

だとしてもだ、俺の左右に誰が座るかは俺じゃあなく、父さんが決め、その場所は備えられている・・・!!!」

24 ――俺たちを出し抜こうってのかッ!

この兄弟がこんなお願いをしたと残りの使徒10人の耳に入り、彼らはひどく腹を立てた。

25 それを知ったイエスは、みんなを呼び集めた――

「ユダヤ人を支配する外国人たちは権力をふりかざすのが好きだろう?

彼らに仕える指導者たちもまた、その権力を存分に振るい、人にその足をなめさせる。

26 おまえたちは決してこうなってはならない。

誰でも上に立ちたければ、彼らに仕えなくてはならない。

27 1番になりたいなら、召使いのように仕えろ。

28 のように。

は仕えられるためではなく、!!!

その命と引き換えに多くの人を救うために!!!」

盲人たちの開眼

29 イエスとその仲間たちが城壁の町エリコを発つと、その背後につづく長蛇の列。

30 道端には、座りこんだ盲人が通りがかりの人に物乞いものごいをしていた。

(ん?今日はやたら騒がしいな・・・)

目の見えない彼らの耳に、“イエス”が来るという情報が入った。

「イエスさまぁー!ダビデの子よー!!どうぞお助けを!!!」

彼らは興奮して叫んだ!

31 「おい、静かにしやがれ!」

「やかましいぞ!」

周りにいた人たちが2人の盲人に言った。しかし、それとは裏腹に、

「天の王!!ダビデ王の息子やあああ!たぁすけておくれえええ!!!」

より大きな声で叫び求めるではないか。

32 ピタッ

「どうしてほしいんだ?」

2人に気がついたイエスは尋ねた。

33 「イエス様、俺はもう一度・・・もう一度、見えるようになりだい゙ッ!!」

34 2人を見て心打たれたイエス。それぞれの目に触れた・・・・・・

カッ!!!

一瞬にしてその目が開かれ、見えるようになった!

2人はイエスのあとに続いた。

勝利の凱旋がいせん

1 イエスと一味は、神殿のみやこエルサレムまであと少しのところまで来ていた。その途中一行が足を止めた場所、そこはオリーブ山のふもとにあるベテパゲ村付近。

イエスは、仲間を2人だけその村へ送りだした。

2 「あそこにある村だが、入るとロバとその子ロバが繋がれている。見つけたら、縄をほどいて、2匹ともここに連れてきてくれ。

3 もしも誰かが、なんでロバを持っていくのか尋ねてきたら、

“主君の入用で。使い終わったら返します”とだけ伝えればいい」

4 この出来事を通して、預言者の言葉が実現した。

5 シオンのみやこに伝えよ

おまえの王が来た

謙虚けんきょなその方は、ロバをまたぎ、

荷運びの子ロバとともにやってくる――【聖書:ゼカリヤ書9:9より引用】

6 イエスに言われた通り行動する仲間たちは、

7 ロバと子ロバを連れてきた。自分たちの上着をロバの背中にかけ、その上にイエスが座った。

8 エルサレムまですぐという通りを進んでいると――

バサっ!バサッ!――

たくさんの人が、イエスの進む道に上着を広げ、地面に敷いた。

また別の人はえだを行く手に敷いた。

9 イエスの前を歩く人もいれば、後につく人もいる。

みな大声で歌いながら進んだ。

𝄞バンザ~イ!神に栄光あれェ~♪

我が君の名によって来られる方にさちあれェ~♪!――【聖書:詩篇118:25-26】

今こそ、その王国が建ちあがる!天の神に栄光あれェ~! えい、そら、わっしょい!!

10 神殿のみやこエルサレムにイエスが足を踏み入れると、ガヤガヤと大騒ぎに――

「誰だあの男は?」

尋ねるのはエルサレムの住民。

11 「この方こそ、ガリラヤ地方のナザレ村から来た預言者イエスよ!」

イエスにつづく群衆が答えた。

泥棒の巣と化した神殿

12 イエスが神殿の敷地内に入るやいなや――

「!!!」

そこにいた商売人から、買い物客まで、すべてを追い払った。

バンッ!バタンッ!チャリリリーンッ!!!

両替人のつくえも、ハト売りのベンチもひっくり返した。

13 「“私の神殿はすべての国の祈りの家と呼ばれる”と聖書にあるにもかかわらず、神殿を泥棒の巣にするとはどういう事だッ!!!」――【聖書:イザヤ書56:7、エレミヤ書7:11より引用】

14 そして、盲人や足の不自由な人たちが、神殿の敷地に入って来ると、イエスは彼らを治した。

15 イエスが行った素晴らしい出来事を目の当たりにし、さらには子どもたちが、大声で叫ぶ。

「ダビデ大王の子!バンザ――イ!!!」

イエスを讃える光景を見た祭司や掟の学者たちは顔を真っ赤にして怒った。

16 「キミ!あんの゙子どもたちが何と言っているか、聞こえぬか!!!」

「ああ、聖書にこうある――

𝄞あなたは赤子や子どもに讃えるようにと教えた――【聖書:詩篇8:2より引用】

読んだことなかったか?」――

17 イエスはベタニヤ村へと進み、その晩をそこで過ごしたのだった。

呪われたイチジクの木

18 翌日の早朝――

グゥ〰〰〰・・・

町へ戻ろうとしていたイエスは、お腹の虫がなるほど、おなかが減っていた。

19 「!」

道のわきに目をやると、そこには、イチジクの木が・・・

そばまで行くと肝心の実はなく、葉がしげっているのみ。

「二度とおまえが実をつけることはない・・・」

イエスがそう言葉を掛けると、瞬く間に木は渇いて枯れた。

20 「ど、どうやったら木がこんな早く枯れて死ぬんだ・・・?」

イチジクの木を見た使徒たちは目を疑った。

21 「信じて疑わないなら、おまえたちにも俺がこの木にしたことができるさ。

いや、もっとすごいことができる。

この山に向かって

“海に入ってこい!”

と確信を持って命じるなら、そうなるさ。

22 信じて祈るなら、なんでも手にはいる!」

神?それとも人の権限?

23 イエスは再び神殿の敷地に入って行った。

まだイエスが教えている最中に、祭司たちや、年配の指導者たちがイエスのもとに来た。

「答えなさい、あなたにどんな権限があると言うのですか。誰の権限でこれらのことをしているのかと聞いているのですよッ!!!」

24 「・・・その前に質問がある。答えるなら、誰の権限で動いているか、私も教えましょう。

25 洗礼者バプティストヨハネが人に洗礼バプテスマを授けていたが、彼の権限は神から来たのか、それとも人から来たのですか?」

祭司、掟の学者、長老たちはイエスの質問についてヒソヒソ相談し始めた――

「もし“ヨハネの洗礼バプテスマは神から来たもの”だなんて答えてみなさい、やつはきっと“ではなぜ、ヨハネを信じなかった?”なんてほざくに違いありません・・・

26 くっ、しかし、ヨハネの洗礼バプテスマが人によるものだなんて、言ってもみなさい・・・民衆に何をされるか分かったもんじゃない・・・彼らはヨハネが預言者だと信じているのですからね・・・・・・」――

27 「ゴホッ、ゴホン。えぇ、我々は存じておりませぬ」

悩んだあげくにそう答えると、

「そうですか!じゃあ、私も答えるまい!」

イエスはそう告げた。

従順なのはどっち?

28 「この話についてどう思う?

あるところに2人の息子を持つ父親がいた。

まず長男に声をかけた。

“息子、今日ブドウ園で働いてきてくれ”

29 答えは“いいえ”だった。

だが、後になって考えを改めた長男は仕事に行くことにした。

30 次に、次男に声をかけた。

“息子よ、今日ブドウ園で働いてきてくれ”

答えは、“はい!”だったが、結局働きに行かなかった。

31 さて、父親に従ったのはどっちの息子だ?」

「1人目」

ユダヤ指導者が答える。

「実際のところ、あなたがたは、税金取りや売春婦ばいしゅんふたち以下です!!!

彼らは間違いなくあなたがたよりも先に神の王国キングダムに入る。

32 洗礼者バプティストヨハネは、正しい生き方を示しに来たが、あなたがたは信じませんでした。

だが、税金取りや売春婦たちはどうだ?

ヨハネを信じたではないですか。

あなたがたはそれを目にしたのに一向に変わろうとせず、いまだに彼を信じていない!!!」

遣わされた一人息子

33 「この物語に耳を傾けてください――

ある人がぶどう園を造り、ビジネスを始めた。

まず園の周りに垣根かきねを造り、ワインを作るための穴を掘り、その上に見張り用のやぐらを建てた。

そして彼は何人かの農夫を雇い、そのブドウ園を任せてから、旅に出た。

34 やがて収穫の時期がやって来ると、園長は自分の分け前を回収するために雇われ農夫たちのところに遣いをやった。

35 雇われ農夫たちは、遣いたちが到着するやいなや、1人目を袋叩きに、2人目を殺し、そして3人目には石を投げつけて殺した。

36 そこで、園長は初めに送った時よりもたくさんの遣いを雇われ農夫たちの元へ送った。

しかし、結果は変わらず・・・雇われ農夫たちは初めに送って来た遣いにした事と同じ仕打ちを行った。

37 そこで園長は、自分の息子を送ることにした。

“私の息子なら敬意を払うだろう・・・”との考えからだった。

38 しかし、雇われ農夫たちが園長の息子を見ると、

“こいつぁ驚いた、園長んとこのガキじゃねぇか!いずれはこの農園もこのガキのもんになる。だったら今のうちに殺しちまおう!そうすりゃ、いずれは俺らのもんだ!”

39 そこで、雇われ農夫たちは、園長の息子をつかみ、ぶどう園の外へ引きずり、そこで殺した。

40 さぁ、この状況で、園長は農夫たちをどうすると思いますか?」

41 「そんな悪人たちは皆殺しでしょうね。それから収穫になれば、きちんと分け前をくれる、別の農夫を雇うでしょう」

答えるユダヤ指導者たち。

42 「この聖書箇所を読んだことがあるでしょう。

≪「𝄞大工が捨てたはしらが大黒柱に

これぞ神業!

神のなされし偉業、我々人間には信じ難き素晴らしさ――【聖書:詩篇118:22-23より引用】

43 だから言っておきますが、神の王国キングダムは、あなたがたの手から取りあげられ、神の望むとおりに生きる人へ渡される!!!

44 このはしらの上に落ちれば粉々に、下敷きになればぺちゃんこになる」

45 この話を聞いていた祭司やパリサイ一派は、イエスが自分たちのことを言っているのだと察した。

46 (ぬぅぅぅ・・・)

イエスを捕まえるために、なにかいい手段はないかと考えたが、群衆がイエスを預言者だと信じていたために、手も足も出なかった。群衆が暴徒と化すことを恐れたからだ。

パーティーへの招待状

1 ユダヤ指導者に対し、話を続けるイエス――

2 神の王国キングダムは、王がその息子のためにもよおした結婚披露宴ひろうえんのようなものだとも言える。

3 王は何人かを披露宴ひろうえんへ招待した。準備も整った。さっそく主催者は、招待客の元へ使いを送りだした。

“ささっ、お待ちかねのパーティーが始まりましたよ!どうぞ、お越し下さい!”

ところがどっこい、招待客は誰1人行けないと言うじゃあないか!

4 そこで、王は何人か別の家来を招集し、

“さぁ!披露宴ひろうえんはもう準備万端です!極上の牛肉もいい具合に焼けて食べごろですよ!ね、披露宴ひろうえんへ一緒に行きましょう!”

と言うように伝えた。

5 しかし家来の者など見向きもせず、別の用事のために出かけていく者も出るほど・・・ある人は、自分の農園へ、またある人は自分の仕事へ向かった。 6 また中には、呼びに来た家来をとっ捕まえ殺してしまう者もいた。

7 これに怒った王は、自分の軍隊を発動し、家来を殺した人を殺しに行かせた。そして軍隊は町中を焼け野原とした。

8 王はその家来に言った。

披露宴ひろうえんは準備万端だ!あいつらを招待してやったが、来るに値しない奴らだ。

9 それなら、あらゆる地域や通りに出て行き、目につく者全てを招待するんだ!

さあ急げ!

10 そこで、家来は道へ出ていき、目につく限りの悪い人も良い人もそこに集め、結婚披露宴ひろうえんの会場へ連れて行くと、会場はあっという間に客人で溢れかえった。

11 王が席へ着くと、そこには結婚披露宴ひろうえんの席らしからぬ身なりの男が目に入った。

12 “友よ、いったいどうやって入った?式にふさわしくない格好ではないか”

これには言葉がつまる男――【当時、客には着ていく婚礼の服が与えられた。その服を拒むのは考えられない事であり主人に対する侮辱ぶじょくだったのだ】

13 “この男の手足を縛り、闇へ放り込め。こやつもまた、痛みで歯をきしませるのだ!”

と食事をとり分ける家来に命じた。

14 そう。招待される者は多いが、選ばれる人はわずかなのだ・・・!」

納付の義務

15 イエスが教えていた場所から去るパリサイ一派。

イエス逮捕のきっかけになるような失言をさせる罠におとしいれる方法を探った。

16 彼らはパリサイ一派やヘロデ党から数人、差し金をイエスのもとへ送り込んだ。

「先生、あなたの教えと言葉は、真実極まりないと存じ上げております。誰がいようが、顔色をうかがうことなく、真っ直ぐに神の道を教えていらっしゃる。

17 ここで1つお尋ねしますが・・・我々ユダヤ人は、ローマ帝王カイザルに税金を納めるべきでしょうか?」

18 「この偽善者め!なぜ俺の口から失言を引き出そうとなんかしてるんだ?! 19 税金の支払いに使われる銀貨を見せてみろ」

彼らはイエスに銀貨を見せた。

20 「この銀貨に描かれているのは誰の肖像だ?また、刻まれている名は誰だ?」

21 「カイザル様とその名前でございます」

「じゃあカイザルのものはカイザルに返し、神のものは神に返せ・・・!!!」

22 「おぉ・・・」

イエスの答えは、使者の想像をいっしていた。あまりに立派な答えであったがゆえ、驚きを隠せなかった。失言させるところが逆転し、感心して帰ったのだった。

生きた者の神

23 同じ日――

死んで、のち復活することなどないと信じる、サドカイ一派がイエスのもとに来て質問した。

24 「先生、掟の中で、夫が子どもを残さずに亡くなった場合、子孫を残すためにも、夫の弟が取り残された妻と結婚しなくてはならないと教えていますよね――【聖書:申命記25:5-6より引用】

25 そこで質問なのですが、とある7人の兄弟がいました。1人目は、結婚したものの、子を持たずして亡くなってしまったため、次男が長男の嫁と結婚しました。 26 しかし、次男も同じく亡くなってしまいました。三男、そしてそれ以降の兄弟にも同じ事が起こりました。 27 最終的にその女も亡くなってしまいました。 28 さて、結果、兄弟全員が結婚したことになるこの女は、人が死から復活するとき、いったい誰の妻となるのでしょうか?」

29 「聖書で言っていることも、神の本当の力も、なにも分かっちゃいないな! 30 人が死から復活するとき、そこに結婚という概念はない。人が互いに結婚することはなく、みんな天国の天使のようになる。 31 神が言う、人の復活について本当に読んだことがあるのか? 32 “私はアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である”――【聖書:出エジプト記3:6より引用】と神は言った。神は生ける人の神なのだ。つまり、あの男たちは実際、死んではいなかったのだ」

33 これを聞いた人たちは、その教えの素晴らしさに空いた口がふさがらなかった。

最も重要な掟

34 「何?サドカイ派がか・・・?」――

イエスと論ずれば論ずるほど、己の間抜けさがあらわになると感じたサドカイ派が、それ以上の議論を止めた。と聞いたパリサイ派が会議を開いた。

35 そして、パリサイ一派の中の熟練掟の学者がイエスを試す質問を仕掛けた。

36 「先生、神の掟で、最も重要なものは何なのでしょうか?」

37 「心、魂、思い、ちからを尽くしてあなたの王である神を愛すんだ――【聖書:申命記6:5より引用】

38 これこそ、最も重要な掟だ! 39 次に!周りの人間を自分の事のように愛すんだ!!!――【聖書:レビ記19:18より引用】

これも同じく重要だ!

40 全ての掟、そして預言者の言葉も、すべてはこの2つの掟から来ている」

救世主キリストはダビデの子か?

41 パリサイ派が周りにいる間に質問をするイエス。

42 救世主キリストについては誰の息子だと考えてるんですか?」

「それはもちろんダビデ大王の子でしょう」

43 「ではなぜ、ダビデ自身が救世主キリストの事をと呼んだのでしょう?ダビデ王は神の霊ホーリースピリットによって、こう言った、

44 𝄞王なる神より我が王へ

座れ、私の右の座へ

なんじの敵、なんじ足下あしもとへひれ伏す日まで――【聖書:詩篇110:1より引用】

45 ダビデ王自身が救世主キリストのことをと呼ぶのに、どうして救世主キリストがダビデ王の子になりえる・・・?」

46 パリサイ一派の誰も、この質問に答えることができなかった。それ以降、誰一人としてイエスに質問する勇気のある者はいなかった。

宗教家の正体

1 一味、そして周りにいる人へ向け話し始めるイエス――

2 「掟の学者や、パリサイ派はモーセの言ったことを教える権限を持っている。 3 教えていることは素晴らしい。無論しっかり守るべきだ。

だが、となれば、話は別だ。

口先だけで、行動しない彼らを手本にしちゃあいけない。

4 長々とつづられた難しい掟を守るようにと強く押す。

だが、まるで1人じゃとうてい運べるはずのない荷物を運べと言うようなもの。

そのくせ彼らは指一本貸そうとはせず、運びやすくしてあげない。

5 いつもに行動する。

聖書箇所を入れた小さな革箱かわばこをつくり、大きなものを誇らしげに身につけ、祈りの服には、人目につくよう、羊毛ようもうで作った大きな房の装飾そうしょくをほどこす――【聖書の言葉を入れた革箱かわばこはユダヤ人の神に対する献身の象徴として身に付けていた。パリサイ派の中には他人よりも宗教心があることを見せつけるためだけに大きなものを身に付けている者もいた】

6 パーティー会場やユダヤ集会所シナゴグでは上座かみざに座りたがる。 7 人が集まるところに行っても、頭を下げて挨拶され、と呼ばれたがる。

8 だが、先生などと呼ばれてはいけない。兄妹はみんな平等に扱われなければならない・・・だからだ!!

9 そしてこの地の人間を父と呼んではいけない。

なぜか?

父はだからだ!!

10 そして、などと称されるべきでもない。

あなたの指導者はただ1人、救世主キリストだからだ!!

11 誰でも、召使いのように人に仕える者こそが最も偉い。

12 天狗になって伸びきったその鼻はへし折られるが、自ら腰を曲げ、一生懸命働く者の背は誰よりも高くなる!

13 いまわしき掟の学者やパリサイ派の偽善者どもめ!!

神の王国キングダムへの門をせばめ、自分自身をはじき出すだけでなく、入ろうとする人間の機会までも取り上げるのかッ!!!

14 夫に先立たれた貧しい女の家をだまし取る・・・。長々と祈り、表面上は自分がいかに強い信仰を持った者なのかを見せびらかすが、そんな八方美人は神によって滅多打ちにされる――【この節は著者本人によってつづられたものではなく、後のギリシャ語の写本によって付け加えられたものである】

15 気の毒な掟の学者やパリサイ派の偽善者ども!

自分の道に染まる弟子を1人でも作るために海をまたぎ国境を越え、その1人を見つけたら、自分よりも悪く育てあげる・・・この地獄の子め!

16 気の毒な掟の学者やパリサイ派の偽善者ども!

盲目のおまえがだれを導く?

神殿の名を使って誓っても、何の意味もないというが、神殿の黄金を指して誓う人は、その誓いを果たさなくてはならないと言う。

17 盲目の愚か者めが!神殿はそこにある黄金よりも重要なことが分からないのか?神殿がその黄金をきよくすることが分からないのか!

18 それだけじゃあない。祭壇さいだんを指して誓っても何の意味もないが、祭壇さいだんに出される捧げものを指して誓う時は、それを果たさなければならないと言う。

19 おまえの目は節穴ふしあなか?

祭壇さいだんに置かれる捧げものが、祭壇さいだんよりも重要だと?

祭壇さいだんがその捧げものをきよくするのにか!

20 祭壇さいだんにかけて誓う者は、祭壇さいだんとその上にあるすべてのものを指して誓ったのだ。

21 そして、神殿にかけて誓う者は誰であれ、神殿とその神をさして誓った事になる。

22 誰でも天国を指して誓う者は、神の玉座とそこに君臨くんりんする方を指して誓ったことになるのだ。

23 気の毒な掟の学者やパリサイ派の偽善者ども!

確かに、ミントや、ディル、クミンなど、収穫の十分の一は神に捧げているかもしれない。だが、本当に重要なことはないがしろにする。

平等びょうどうに扱い、情け深く、忠実であることこそ守り続けるべき掟だ。

24 盲人なのに道案内するおまえたちは、まるでコップに落ちた小バエを注意深く取り除き、大きなラクダを飲み込む人のように滑稽こっけいだ!

25 気の毒な掟の学者やパリサイ派の偽善者ども!

見た目は気にしてきれいにするが、内側といったら、犯してきた数々のだましや我欲の汚れでいっぱいじゃあないか。

26 盲目のパリサイ派め!まず、コップのなかの汚れをきれいにすれば、外側もきれいになるのが分からねぇか!

27 気の毒な掟の学者やパリサイ派の偽善者ども!

まるで白塗りされた、墓の石だな!外見はきれいな墓だが、中をのぞけば大量の遺骨いこつ腐敗ふはいした汚物おぶつでいっぱいだ。

28 人がおまえたちを見る時のようじゃあないか!

神を敬う聖人に見えても、肝心の中身は偽善と悪で腐っている。

29 気の毒な掟の学者やパリサイ派の偽善者ども!

預言者のために墓を建て、殺された人を敬いながら、

30 “もし、私が我々の先祖の時代を生きていたなら、このような預言者暗殺計画に手を貸すことはなかった・・・”と言う。

31 だが、それは同時に自らを、この預言者殺しの子孫だと認めているのだ。

32 そして、今のような殺気をかもしだして、あなたの先祖から始まった過ちを引き継ぐ準備にとりかかっている。

33 このマムシめ!毒蛇の家系に育ち、もはや罰から逃れることはできない。全員有罪と判決され地獄送りだ。

34 聖書を知り、知恵のある指導者や預言者をあなた方のもとへ送る。

でも、あなた方は、その中の何人かを殺し、何人かを十字架に架け、そしてまた別の何人かをユダヤ集会所シナゴグで袋叩きにする。そして、町から町へと逃げる者を追いかけまわすだろう。

35 こうしてあなた方は、この地で手にかけたすべての善人の殺人罪の責任を払わされる。

神を愛する男であったアベルを殺し、聖所と祭壇さいだんの間でバラキヤの子であるゼカリヤを殺し、アベルの時代からゼカリヤの時代まで数々の善人たちを殺してきた。ゆえに有罪となる!――【アベルとゼカリヤ:旧約聖書で殺された最初の人と最後の人】

36 疑おうが、疑わなかろうが、俺が言ったことはすべて、おまえたちが生きている間に起きる」

警告

37 「ああ、エルサレム、エルサレムッ!!!

神が送った預言者たちを石打ちにして殺すとは。

何度も何度も、エルサレムの民を救おうとした。

まるで雌鶏めんどりがそのひなを翼の下に抱き集めるように手を差し伸べたが、救わせてくれはしなかった。

38 あなたがたの神殿は荒れ果てたまま見捨てられる。

39 いいか・・・?

“ようこそ!神の名によって来られる救世主キリストに幸あれ!”

と言う時まで、俺に会うことはない」――【聖書:詩篇118:26より引用】

将来への警告

1 イエスが神殿から出ていくと――

「立派な建物だなあ!」

イエスにつづく仲間たちは、そびえる建物を見ながら、目をキラキラ輝かせていた。

2 「ああそうだな・・・みんなもあの立派な建物をよく見てくれ!こいつはいつか全壊するんだ。1つとして、重なったままにならないほどにな」

イエスは先を見越した表情で神殿を見つめていた。

3 ――それから、オリーブ山に行ったイエスが座っていると、一緒に来ていた一味が話しかけた。

「イエス、さっきの話だが、いつそんなことが起きるか教えてくれ!イエスがもう一度やって来るときや、この終わりの時に、なんか前兆とかってあるのか・・・?」

4 「誰からも騙されないように注意しろ・・・!

5 俺の名を語るヤカラが多く現われる。

“私こそが救世主キリスト!!” などと言って偽り、人を惑わす。 6 戦争だ、暴動だ、と耳にする。だが恐れるな。この世が終わる前に必ず起きることだが、その後すぐってわけじゃあない。

7 民族は民族に、国々は国々に敵対して立ち上がり、食糧は底をつき、人は飢えに苦しんだり、あらゆる場所で地震が起きたりするが、 8 それはまるで、陣痛のように、ほんの始まりでしかない。

9 それからおまえたちは捕まり、罰せられ、殺される。俺を信じていることが理由で世間に嫌われる。

10 その時代には、たくさんの人が、俺について来ることを諦めるだろう。

互いに裏切り、いがみ合い、仲間だった人も敵へと引き渡す。

11 たくさんの偽預言者が出てきては、間違ったものを信じさせる。

12 たくさんの悪が世にはびこり、の中にあった愛は冷めていく。

13 だが、最後まで忠実な者は救われる!

14 そして俺が伝えた、神の王国キングダムについての最高の知らせゴスペルが、全世界に広まる!

その時こそが<この世が終わる日>だ。

15 預言者ダニエルが話していた神のお告げにある――

“崩壊をもたらす、恐ろしいこと”をあなたは神殿で目の当たりにする<読者に告ぐ、これが誰を指しているのか、分かっていることを前提で記す>――【聖書:ダニエル書9:27; 11:31; 12:11より引用。福音書の筆者マタイは、読者にこの破壊をもたらす者がローマ軍であり、彼らがエルサレムを破壊すると遠回しに伝えている。しかし、それを一般に公開すれば、身が危うくなるため伏せたのだ】

16 その時、ユダヤ地方にいる人は山へ。

17 何があっても足を止め、時間をムダにしてはいけない。

たとえ屋上にいたとしても、家に荷物を取りに下りないように。

18 畑にいる人は上着を取りに戻らないように。

19 その日、妊婦や赤ん坊を持つ母にとっては特につらい時期になる・・・

20 冬や、休日サバスにそれが起き、逃げるはめにならないように祈れ!

21 その時が、世界誕生以来、最も悲惨な時期となるからだ・・・!!!

そして、これ以上の災難は二度と起きやしない。

22 だが、神が選んだ人たちの為に、神はこの過酷かこくな時期を短縮たんしゅくすることにした。でないと全滅するからだ・・・!!!

23 救世主キリストがいるぞ!”だとか、“彼がそうだ!”なんて声をあげる人が、続々出てくるが、相手にするな。

24 エセ預言者やエセ救世主が来て嘘を信じさせるために悪魔王サタンの力で魔術を行い、神に選ばれた人たちさえだまそうとする。

25 誰にもだまされないことを願う・・・」

終焉しゅうえんの季節

26 「“救世主キリストだ!砂漠に現れた!”

という声が聞こえても、砂漠まで探しに行くな。

“あの部屋です!そこに救世主キリストがいます”

と言われても鵜呑うのみにするな。

27 は空の端から端までをかけめぐる稲妻いなずまのように神々しい光を放ちながら来る。

そう、誰の目にも一目瞭然!!!

28 死体を探したけりゃ、はげたかが飛び回る場所を探せ――【誰の目にも明らかになることを意味している】

29 これらの苦難の日々のあと、

太陽は暗くなり、

月は輝きを失う。

星々は天から落ち、

天空の権威は揺れ動く――【聖書:イザヤ書13:10; 34:4より引用】

30 の訪れをあらわす前兆が空に起きると、その恐れから全地の人が嘆く。するとが雲に乗り、神の栄光と権威をまとって来るのを目の当たりにする!!!

31 角笛つのぶえを吹き鳴らし、地球のいたるところへ天使を送ると、彼らは神の選んだ人を集めてくる。

32 イチジクの木から学べ!そのえだが緑になり、やわらかくなると、新しい葉をしげらせる。

人はそれを見て夏が近づいていることを知る。

33 同じようにこれらの事がすべて起こったら、ついにその時が来たと察するのだ!

34 保証する。今この時代に生きている人たちの中には、これらすべてを体験する者がいる・・・! 35 やがてこの世は、天も地もひっくるめて滅びる。だが俺のコトバは永遠だ・・・!!!」

常時準備万端

36 「その日がいつになるか、父さんのみぞ知る。

や天使でさえも知るよしはない。

37 の再来時、世はまさにノアの時代のごとし!

38 ノアが船に乗り込み、洪水がおきる直前まで、いつものように飲み食いし、やれ結婚式だの、やれ子の結婚準備だのをしていた。

39 彼らは洪水が押し寄せ、すべてを破壊し、飲み尽くしてしまうなどと、微塵みじんも思っていなかったのだ。

が訪れる時もまさにこうだ!

40 畑仕事をする人間の2人のうち、1人は天に上げられ、1人はとり残される。

41 うすを引いて粉をつくっている2人の女のうち、1人は天に上げられ、1人はとり残される。

42 主君がいつ訪れるのか、おまえも知ることができないのだから、いつも万全の準備をしておくのだ!

43 最初から、泥棒が来ると分かっているのなら、家のあるじはどうする?

当然、泥棒に備え、警備を完備するだろう。 44 だから、準備万全をおこたるな。は不意をつくからだ!!!」

責任感ある召使いと、無責任な召使い

45 「主人の留守中、召使いたちをたばねるリーダーに任命された“召使い”を想像してくれ。

主人に頼りがいがあると認めてもらうには、どうすればいい?

46 主人が戻ってきたときに言われたことをしっかりやっている姿を見られたら、召使いにとってこれ以上の日はないだろう。 47 主人は間違いなく全財産の管理を任せるからだ!!!

48 だが、すぐには帰らないだろうとたかをくくった悪い召使いはどうだ?

49 他の召使いたちを叩きのめし、飲んだり、食べたりのどんちゃん騒ぎをしていたら。

50 不意をついて帰って来た主人は、この有様を見る。

51 まず、主人はその召使いを八つ裂きにして、主人をみくびったすべての召使いが収容された場所へ閉じ込める。そこで彼らは痛みに歯ぎしりすることになるのだ」

備えあればうれいなし

1 神の王国キングダムを待ち望むのは、ランプを持って花婿はなむこの到着を待つ10人の女のようだ。

2 10人の女はそれぞれ、愚かな5人と、賢い5人だった。

3 ランプはあるが、肝心の油が十分入っていなかったことに気付く愚かな女たちと、 4 ランプと予備の油をビンに入れて用意した、賢い女たち。

5 花婿はなむこの到着予定が大幅に遅れたことで、まぶたを支えきれなくなった女たちは、そのまま眠ってしまった。

6 深夜になり、

“花婿の到着よー!さぁっみんな集まって!!”

そんな声が聞こえると、 7 女たちは起き、ランプに明かりをともした。

8 が・・・、“少し、油を分けてください!油がもうなくなってしまいそうで・・・”

愚かな女たちは、賢い女たちへ頼んだ。

9 “わたしたちの油も十分かどうか・・・自分たちで、買ってきた方が早いわよ”

と、賢い女たち。

10 仕方なく、愚かな女たちは油を調達しに行った。

そのかん花婿はなむこは到着。

残っていた女たちはパーティーの為、中に入って行った。

そして扉は閉じられ、カギがかけられた。

11 しばらくして、帰ってきた女たち。

“殿方!殿方!ドアを開けて、入れてください!”

ドアを叩き、何とか入れてもらおうとする。

12 “ダメに決まっているだろう。そもそもどなたですか?”

とそっけなく答える花婿はなむこ

13 『備えあればうれいなし』・・・!

もいつ来るのかが定かではないのだから、いかなる場合にも備えておけ」

3人の召使いの話

14 神の王国キングダムは、長期間、家を留守にする主君ともにている。その理由はこうだ。

ある日、自分の召使いを呼び集めた主君は、その資産の管理をそれぞれに任せた。

15 1人目の召使いは銀貨5袋を、2人目には銀貨2袋、3人目には銀貨1袋を任せると、そのまま主君は出て行った。

16 銀貨5袋を預かった召使いは、それを元手に投資し、さらに銀貨5袋を稼いだ。

17 銀貨2袋の召使いも、それを資本に、倍にまで増やした。

18 でも3人目はどうだろうか?銀貨袋を渡されるとすぐにとんずら。地面に穴を掘ると、そこに袋を埋めた。

19 月日は流れ、主君が帰ってきた。資金を授けた召使いたちを呼び集め、経過報告をさせた。

20 “ご主人様、あなたは私を信用し、5袋を預けてくれましたので、それでさらに5袋稼ぎました”

と言って5袋預かった召使いは、さらに稼いだ分も含む10袋を持ってきた。

21 主人は――

“でかした!信頼に値するよき召使いだ!少額ですばらしい働きをしたおまえになら、もっと大きなものを任せよう!さあ私とうたげをしよう!”

22 次にやって来たのは銀貨2袋を預けた召使い。

“ご主人さまが預けてくれた2袋の銀貨でもう2袋稼ぎました”

23 主人は――

“でかした!信頼に値するよき召使いだ!!少額ですばらしい働きをしたおまえになら、もっと大きなものを任せよう!さあ私とうたげをしよう!”

24 最後にやって来たのは、1袋だけ預かった召使い。

“ご主人様!あなたが血も涙もない人なので、 25 私は恐くて預かったお金を地面に埋めておりました。ここに、そのお金が全て入ってます”

26 “へりくつをたれるなこのたわけ者!!!私が厳しく、他人の稼ぎや食料を横取りする人だと言ったか?! 27 仮にそうだとしたら、少なくとも銀行に預けて利息をえただろう!!

28 そこで主人は、

“こやつの銀貨1袋を10袋持っている召使いへ渡せ! 29 誰であれ、成果をあげる者は、さらに与えられるが、持てあます者は、持っているものさえ取り上げられる”

30 “あの役立たずの召使いは、人が嘆き、痛みのあまり歯ぎしりする暗闇にほっぽって来い”

と主人は命じた」

善のヒツジと悪のヤギ

31 「神の称賛しょうさんを浴びながら、天使と共に戻ってくるは、王座に座る。

32 世界中の人間が彼の周りに集まるとき、まるで羊飼いが自分のヒツジとヤギを選別するように、集まってきた人を2つに分ける。

33 ヒツジは右、ヤギは左へといった具合に――【イエスを信じる者をヒツジ、そうでない者をヤギとして例えている】

34 そして神を心底愛す右側の人に対し、

“こっちへおいで。父さんが究極の祝福を用意している。

王家の一員とすると約束したように、神の王国キングダムは今やあなたのもの。

この世界が創られた、1日目から、ずっと用意されてきた。

35 俺が空腹の時、飯を食わせてくれ、のどがかわいた時には水をくれた。

泊まる先が無いときには、寝床を与えてくれ、 36 着るものがない時は服を与えてくれた。

風邪の時は薬を、牢屋に繋がれている時には会いに来てくれた”

37 しかし、神を心底愛す人は口々に――

“王よ!空腹のあなたにいつほどこし、のどのかわきをうるおしたのでしょう?

38 泊まるとこが無い時、いつ寝床を提供し、服の無いあなたに着るものを与えたと言うのでしょう?

39 いつ病気のあなたを見舞いに行ったというのでしょう・・・”

40 “あなたが、困っている人、苦しむ人に差し伸べる助けの手は、どれだけ見下された人間にだったとしても、それは

!!!

と、王は答える。

41 そして王は左側の人たちに告げる。

“俺の前から失せろ!神がおまえたちを制裁することは決まった!

悪魔とその使いのために用意された地獄の業火ごうかに入れ!

42 俺が空腹の時、のどがかわききった時、何も助けてはくれなかった。

43 泊まるところがない時、着るもののない時、病気の時も、牢にいた時も、見て見ぬふりをつらぬいた”

44 その時、彼らは答える――

“王よ、私たちはいったいいつ、あなたが空腹でのどのかわいた時を目の当たりにしたと言うのですか?

宿が無く、着るものがない時、病気の時、牢屋にいた時、いつ会ったというのですか?”

45 “真実はこうだ。おまえたちがこの世界にいる人を見捨てたとき、それが身分が低い人間であったとしても、

!!!”

46 そして、この自己中な人たちは、永遠の制裁を受ける処刑場へ送られる。

しかし、神を心底愛す人たちは、永遠の命エターナルライフを存分に楽しむのだ!!!」

祭り前の企み

1 話終えたイエスは、一味だけに向かって口を開いた――

2 「明後日は過越すぎこしだ。その日は、十字架で殺されるために、敵の手にわたる・・・」 ――【ユダヤ人は毎年、種なしパン祭を行っていた。初日には過越すぎこしの祭典として、子羊を生け贄にし、1週間かけてイースト菌の入っていないパンを食べるのだ】

3 その頃――

「うまく殺す手立てはないのですか・・・?」

大祭司カヤパの家では祭司たちやユダヤ指導者たちが集まり、 4 人に見られることなくイエスを逮捕し、殺す方法はないもんかと話し合うミーティングを行っていた。

5 「ちっ、祭りの最中にイエスを捕まえることはできません。民衆の怒りを買い、暴動が起きるでしょうからね・・・」

注がれる香油

6 イエスはベタニア村に住む、重い皮膚病ツァラト患者シモンの家を訪れていた――

7 そこに女が入ってきた。手には石膏せっこうのつぼ。

そのつぼには、純粋なナルド油で作られた、非常に高価な香油こうゆが入っていた。

すると女は食事をするイエスの頭にツーと香油こうゆを注いだ――

8 女の大胆な行動に一味はカンカン――【招待も受けずに女が男の食卓中に割り込むことは当時の世間一般的には無礼だったこともあってだろう。女は男ほどの身分がないとされていたからだ】

「くぁーもったいない! 9 売れば、貧しい人たちを助けることもできたというのに・・・!!」

10 「やめろッ!!!俺のためによくしてくれたっていうのに、なぜ彼女を責める? 11 貧しい人たちはいつも身近にいる。彼らを助けることはいつだってできるが、俺はいつまでも一緒にいるわけじゃあない・・・

12 彼女は俺のために最善をつくし、俺の埋葬まいそうに備え、体に香油こうゆを注いでくれた。 13 約束する、最高な知らせゴスペルが世界中に広まるとともに、彼女がした事が世界に知らされる!彼女の行為は永遠に忘れられない・・・!!!」 ――【聖書:申命記15:11より引用】

陰謀いんぼうと裏切り

14 おやおや、十二使徒の1人であるイスカリオテ人のユダは、なぜか1人祭司たちのもとへ向かっている――

15 「イエスをあなたたちの手に引き渡しましょう・・・ただそれに対する報酬は・・・?」

銀貨30枚をユダに手渡した祭司たち。

16 それからのユダはイエスとともにいても、脳裏のうりではイエスを引き渡す機会を探っていた・・・。

過越すぎこしの食事

17 さて、種なしパン祭の初日――

イエスの仲間が何やら尋ねにきた。

「イエスのために過越すぎこしの食事を用意したいんだが、食事はどちらで?」

18 「町へ行って、俺の知人のもとを訪れろ。そしたら、“神が俺のために定めた時は近い。仲間と一緒にあなたのところで過越すぎこしの食事をとる”と伝えるんだ」

19 イエスに言われた通り行動した仲間たちは、過越すぎこしの食事の準備をした。

20 夕方になり、イエスは十二使徒と食事について、楽しく過越すぎこしの食事をしていた。

21 その最中のことだった――

「今、食事を共にしているうちの1人が、俺を敵の手に引き渡す・・・!!」

22 「なッ!!!」

イエスの言葉を聞いて、仲間たちに衝撃が走った。

「俺は絶対、あなたを裏切りませんッ!!!」

おのおのが矢継ぎ早に言った。

23 「俺と同じ器にパンをひたしている者・・・俺を裏切るのは、この男だ・・・ 24 は聖書にあるとおりこの世を去る。しかし、を裏切って敵の手に渡し、死に追いやられる者ほど無残な者はいない・・・彼はいっそのこと、生まれてこない方がましだった・・・」

25 「せ、先生!もちろん、私ではないですよね・・・?」

ユダが尋ねた。

「いや、おまえだ」

最後の晩餐ばんさん

26 それから、食事を続けるイエスはパンを取ると、神に感謝を捧げてからパンを裂き、仲間たちに配った――

「このパンは俺の体・・・さあ取って食べるんだ」

27 次に、ワインの入ったさかずきを取り、神に感謝を捧げると、同じように仲間たちに配った。

「みんな、このさかずきから飲んで、次へと回すんだ・・・ 28 このワインは、多くの人の過ちをゆるし、神と人が新しい条約を結ぶために流される俺の血だ。

29 神の王国キングダムで新しくなったワインを飲むその日まで、俺がワインを口にすることはない。その時はともに飲むぞ!」――【新しいワインとは、新しくされる天国と地球を意味している】

30 それから、神を讃えて声を大にして歌い、オリーブ山へ出ていった。

羊飼いを見捨てる羊

31 「今夜、おまえたちが俺に抱く信頼は崩れる。

聖書にこうある。

私が羊飼いを殺す

すると羊は逃げ惑う――【聖書:ゼカリヤ書13:7より引用】

32 だが、俺が殺されたあと、死からよみがえり、ガリラヤ地方へ行く。

そこでおまえたちを待つ!」

33 「たとえ、他の誰があなたを見限ろうとも、俺が持つあなたへの信頼は絶対だ!!!」

イエスの言葉に強く反応したのは岩のペテロ。

34 「真実はこうだ。今夜おまえは俺を知らないと言う。

雄鶏ニワトリが鳴く前に三度、俺を拒絶する」

35 「お、俺がイエスを拒絶するだと?んな、とんでもない!!俺はイエスの為なら死ぬ覚悟だってできてんだッ!!!」

他の仲間も続けざまに同じようなことを言ったのだった。

苦しみの杯サカズキ

36 イエスと仲間たちはゲツセマネ園に行った――

「祈ってくるから、ここに座っていてくれ」

37 イエスは使徒たちにそう告げたが、岩のペテロとゼベダイの息子2人だけ、一緒に来るようにと言った。

ゔッ・・・

イエスは苦しみのあまりもだえ始めた。

38 「俺は悲痛のあまり、心が張り裂けそうだ・・・。目を覚まして、ここで待っていてくれ・・・」

岩のペテロとゼベダイの息子2人にそう告げると、 39 イエスは少しだけ離れ、その場にひれ伏して祈り始めた。

「父さん・・・俺がこの苦しみの杯サカズキを飲まなくても、すむようにしてほしい・・・が、俺じゃあなく、父さんの思いのままにしてくれ・・・」――【苦しみの杯サカズキはこれから通る苦しみを象徴している】

40 そして、仲間たちのもとへ戻ると、

「zzZ」

寝ている・・・イエスはペテロを見て――

「おい、おまえたちは1時間たりとも共に起きていられないのか! 41 目を覚まして、誘惑におちいらない力を祈り求めるんだ。魂が正しくありたくとも、人間は弱い」

42 また2度目もその場を離れ、祈りへ向かった――

「父さん!この苦しみの杯サカズキが俺に与えられた逃げ道無き使命なら、どうか、あなたの思い通りに・・・!」

43 イエスが仲間たちのもとに戻ってくると、またも睡魔に負けた3人が寝ているではないか。

44 そのままにし、再びその場を離れ、同じことを祈った。

45 さぁ、3度目の正直・・・イエスが戻ってくると3人は、

くかーと寝息を立てている。

イエスは諦めのため息をついた。

「また寝てるのか・・・が罪人の手に落ちる時が来た。

46 立て、時は満ちた。裏切り者のご登場だ・・・」

口づけの挨拶

47 イエスが話し終わらないうちに、十二使徒の1人、イスカリオテ人のユダが、剣やこん棒を持った武装集団をしたがえてやって来た。彼らは祭司や掟の学者や長老たちに派遣されたのだ。

48 ――いいか、俺が口づけの挨拶をする人を捕まえるんだ――

このイエスを裏切った使徒は、あらかじめ武装集団にイエスを見分けるためのサインを伝えてあった。

49 「あ、先生!」

ユダは笑顔でイエスに近づき、口づけの挨拶をすると、心の中で不気味な笑みを浮かべた。

50 「友よ、目的を果たすがいい」

イエスが答えると、武装集団はイエスを捕え、押さえた。

51 っとその時!!

にゃろォォォ・・・スパっ・・・

イエスの仲間が剣を引き抜き、勢いよく振りかざした。

ぼとッ・・・地面に落ちたのは大祭司の遣いの者の耳だ。

52 「剣をしまえ!剣を抜く者は剣に死す!――【剣で人を傷つけるのなら、その罪により、自分が罪に定められ、殺されることを意味している】

53 俺が父さんに求めれば、何万という天使軍をよこすことくらいわかるだろう! 54 しかし、それでは聖書にあることが全うされない。つまり、

55 「なぜ犯罪者を捕まえるかのように、剣やこん棒を持ってきた?

俺は逃げも隠れもせず、毎日、神殿の境内けいだいで教えていたじゃあないか。なぜそのときに捕まえない? 56 まあいい、聖書で預言者が記したことがすべて全うさせるために起きたまでだ」

すでにイエス一味全員はとんずらをこいていた。

正当化を図るユダヤ指導者

57 イエスを捕えた武装集団は、イエスを大祭司カヤパの家に連行した――

そこには掟の学者、ユダヤ指導者などが集結していた。

58 そのころ――

岩のペテロはというと・・・距離を保ちながら、イエスの後をつけてきていた。そして大祭司の庭に入り、これから何が起こるかその目で見るために看守たちにこっそりと混ざった。

59 祭司や最高議会の議員たちはイエスの汚点をさっさと見つけて、死刑にする気満々だった。“イエスは過ちを犯していた!”とウソでもいい、そんな証言をする者を探しまわった・・・

60 しかし、ウソの証言を並べる者はたくさんいるものの、根拠は全くなく、最高議会はイエスを死刑に処すだけの理由を見つけられずにいた。

そんな中2人の者が現れ、 61 こう証言した。

、一度神殿を壊し、それを3日で建て直すと言っておりました!!!」――【イエスという名を口にするのも嫌だった彼らは、わざと名指ししなかった】

62 すると、大祭司が立ち上がった。

「彼らがあなたにとって不利な証言をしていますが。これらの訴えに対し、何か反論はございますか?それとも彼らの言っていることはまことですか?」

63 「・・・・・・」

イエスは黙ったまま、一向に口を開かない。

「いい?生ける神に誓って真実を述べなさい。あなたは神の子、選ばれし王なのですか?」

64 「そう呼びたければどうぞ・・・ですが言っておきましょう。あなたがたはいずれ、が全能なる神の右の座に腰をすえている姿を見る。そして天の雲に乗ってやって来るのを目の当たりにします」

65 「んなッ、なんでずどォォォ――!!!」

ビリビリビリィィィ――!

大祭司は怒り狂って、自分の服を引き裂いた!

「え゙――ぃ!!!もう十分です。これ以上の証言はいりません!みなさんも聞きましたね。今まさにこの耳で、この人が神を侮辱ぶじょくするのを!

66 これを聞いたみなさんの考えを述べなさい」

「間違いなく有罪!死刑です!!!」

ユダヤ指導者たちは答えた。

67 ペッ、ペッ!

そのうちの何人かがイエスの顔に向かってツバを吐きかけた。

ビシッ、ボコッ、ゴキ・・・!!

さらには拳で殴る者もいれば、平手でたたく者もいた。

68 「コノッ!預言者なら当ててごらんなさい、今殴ったのはだーれだ?ぷぷぷ」

雄鶏ニワトリの鳴くとき

69 そのころ――

岩のペテロは大祭司の庭に座っていた。そこへ召使いの少女がやって来ると、

「あなたは、あのガリラヤ地方から来たイエスといた人でしょう!?」

70 「うぉッ!な、なーにを意味の分からないことをッ!俺は

岩のペテロは彼女の言葉を否定した。

71 中庭を出るペテロ。しかし今度は別の女が彼を見つけた。

「あ、ねぇ!ナザレ村のイエスと一緒にいた人ですよね?!」

72 「か、神に誓って言うが、俺はそんな男知らん!」

再びペテロは、イエスと一緒にいたことなど無いと否定した。

73 その直後のこと。周りに立っていた者がペテロのもとに詰め寄る・・・

「間違いない!発音からしてあの男と一緒にいた男だ!」

74 「ざけんな!神に誓って言うが、あんなやろう俺は!!もし俺が嘘をついてるってんだったら、神の鉄槌てっついだって食らってやらあああ!」

コッケコッコォォォ・・・・・・「!」

ペテロがそう断言してすぐ、雄鶏ニワトリが鳴いた・・・

75 ――雄鶏ニワトリが鳴く前に俺を三度、知らないと言う・・・」――

「う、ゔわぁぁぁ〰〰〰〰〰〰!」

イエスに言われたことを思い出した岩のペテロは、外へ飛び出し、泣き崩れてしまった・・・・・・

ピラト総督に引き渡されるイエス

1 夜明け頃のことだった――

祭司たちや長老が一堂に会しイエス処刑の決議をとっていた。

2 ――「閣下、騒動を起こしているイエスを連れてまいりました!」

「うむ」

縄で結んだイエスを連れてきた祭司たちは、イエスをピラト総督の手に渡した。

散らばる銀貨

3 一方でイエスを裏切ったユダはというと・・・

イエスが死刑判決を言いわたされたことを知り、自分の犯したことの大きさに気づいて、ひどく後悔していた。

(クっ・・・!!こんな金!!)

イエスを裏切ったことで得た報酬、銀貨30枚を返すために祭司や長老たちのいる場所へと向かった。

4 ――「俺は罪人だ・・・無実の人を死に追いやってしまった・・・」

ユダは祭司たちに訴えた。

「そんな事、私たちの知ったことですか・・・私たちには関係ない、あなたの問題ですよ」

5 「・・・ッ!!こんな金!!!」

チャリンッチャリリリリンッ・・・

神殿の中へ銀貨を投げ捨て、そこを飛び出したユダ。

そのまま、首をつって自殺してしまったのだった・・・

6 ――神殿に散乱した銀貨を集める祭司たち。

「困った困った。人をあやめるために使われたお金を、神殿の資産に戻すのは我々の律法に反しますねぇ・・・」

7 そこで、彼らはそのお金を、<陶芸家とうげいかの地>と呼ばれる土地を買うための資金にまわした。その土地は、エルサレム訪問中に帰らぬ人となった者を埋葬するために使われた。

8 それが所以ゆえんとなって、今でも血の土地アケルダマと呼ばれている。 9 これは全て預言者エレミヤの神のお告げどおりである・・・

「30枚の銀貨。それがイスラエル国の民がの人生へ支払う代価。 10 その金は、主君が命じたとおり、<陶芸家とうげいかの地>を買うために使われる」――【聖書:ゼカリヤ書11:12-13、エレミヤ書32:6-9より引用】

黙秘もくひ

11 「ふむ、おぬしはユダヤ人の王なのか?」

目の前に立つイエスに問いかけるのはピラト総督。

「そうとも言える」

答えるイエス。

12 しかし、祭司や長老、ユダヤ指導者がする告発に対しては、断固として口を開かなかった。

13 「これだけ多くの者が訴えておるというのに、おぬしは黙っておるのか・・・?」

14 弁解どころか、気にもしてない様子になおさら驚いたピラト総督であった。

判決

15 毎年過越すぎこしの時期、総督は民衆の望む囚人を1人解放する。

16 ちょうどこのとき、牢屋に収監されていた、札付きの悪党がいた。その名も・・・

――囚人バラバ――

17 ピラト総督は集まった群衆に尋ねた――

「よし、今年もおぬしらの望む者を1人解放するとしよう!

バラバか?それとも救世主キリストと呼ばれるイエスか?」

18 こう問うのもピラト総督が察していたからだ。イエスが訴えているのは祭司たちの嫉妬しっとのみが原因だと。

19 裁判の真っ最中、ピラトの妻から伝言が届いた。

に何もしないで・・・何も悪いことなどしてません。

昨夜、聖なる夢ビジョンを見ました・・・今もその胸騒ぎがおさまりません・・・」

20 ――バラバと言いなさい――

――いい、バラバですよ――

祭司やユダヤ指導者たちは周りの群衆に、イエスではなく、バラバを解放するよう叫びなさいと。根回しをしていた。

21 「さぁ、バラバか?イエスか?どちらを解放したい?」

群衆に尋ねるピラト・・・

「バラバだ!」

「おぉバラバを解放しろ!!」

――バラバ、バラバ、バラバ!!!――

なんと、群衆はバラバの解放を求めてくるではないか。

22 「・・・な、ならおぬしらは、この救世主キリストと呼ばれるイエスをどうしてほしいというのだ?」

ピラトは尋ねた。

「十字架で殺せぇ〰〰〰〰!!!」

じゅ〰じ〰か!じゅ〰じ〰か!!じゅ〰じ〰か!!!

群衆は最も重い刑、十字架処刑を求めてきた。

23 「なにィ・・・?なぜだ?こやつが一体何をしたと言うのだ?!」

――十字架で殺せ〰〰〰!!!――

群衆から戻ってくる声はそれだけだった。

24 もはや、なすすべなし・・・その様子から悟ったピラト。

大暴動が起きてもおかしくないという状況に、水瓶みずがめをだし、みんなの前で手を洗った――【この出来事から、完全に手を引く、自分の判断ではないと言うことの象徴】

「俺は、この人を殺すという罪には一切関与しない!

すべての責任はおまえたちにある!」

と言うと、

25 「そう言われなくとも彼の死の責任はすべて私たちがとりますよ!

私たちとその子どもから子孫までのせいにどうぞしてください!」

26 バラバを解放するピラトは、

「イエスをムチで打て・・・」

そう兵士に命じた。そして、十字架刑にかけるべく、兵士たちに手渡したのだった。

見立てられる王

27 ――「来い!」

ピラトの兵士たちは総督邸そうとくていにイエスを連れて行くと、そこにいた兵士がイエスを取り囲んだ。

28 イエスの服をはぐと、ローマ兵の着ていたムラサキ色のガウンをイエスに着せ、王に見立てた。

29 そして、いばらでんだかんむりを頭にかぶせ、その手にはあしの棒を持たせた。

「おーこれは、これは!ユダヤ人の王殿ではございませんか!」

「コラッ!おまえたち!ユダヤ人の王に敬礼けいれいせんか!」

「ブ・・・ブワッハッハッハァー!」

イエスをバカにする兵士たち。

30 さらにつばを吐きかけると、その手の棒を奪い取り、それで頭を殴った。

31 散々侮辱ぶじょくしたあげく、着せたマントをイエスからはぎ取ると、もと着ていた服を着せ、十字架にかけるため、連行して行った・・・

打付けられる釘

32 町を出て処刑場にイエスを連行していた兵士たちだが、進むのに苦戦していた。

なんせ、ボロボロのイエスに重たい十字架を背負わせていたからだ。

「おい、そこのお前、コイツの十字架を一緒に背負え!」

「え!で、でもおいらこれから用が・・・」

「ええい、いいから手伝わんか!」

「ゔッ・・・」

そこにたまたまいたクレネ人・シモンもイエスの後ろからその十字架を背負わされるはめになった。

33 彼らはどくろの地ゴルゴダと呼ばれる地へ連行された。

34 「これを飲め!」

兵士が、痛みをやわらげるために苦い薬を混ぜ合わせたぶどう酒をイエスの口もとに出したが、少し口をつけただけで、飲むことはこばんだ。

35 ――カンッ、カンッ、カンッ、べチャッ・・・・・・

十字架に釘で打付けられたイエス。そのかたわらで・・・

「おーしサイコロで決めるぞ!」

「行くぞー。そーらよっ!」

「き、きたー!!もーらいっと!」

イエスの着ていた服を切り分け、誰がどの部分をもらうのか、兵士たちがサイコロを振っていた・・・ 36 そのまま見張りとしてそこに残った兵士たち。

37 ――トン、トン、トンッ

イエスが架けられた十字架の上の部分には罪状を記した板がかかげられた。

――罪人イエス・ユダヤ人の王――

38 2人の罪人も十字架に釘づけにされ、1人はイエスの右側に、1人は左側にといった具合に、イエスの両脇にかかげられた。

39 そこを通りかかる人も、罵声ばせいを浴びせ、大きな身振りで、 40 言った。

「そーこのごみクズさん!神殿壊して、3日で建て直すんですって?プッ!神殿の心配する暇があったら、ご自身を助けてみたらどーう?神の子なんでしょう?」

41 そこにいた祭司たちをはじめとする、掟の学者、長老、ユダヤ指導者たちも同じようにイエスをあざ笑った。

42 「彼は他人を救いはしたが、自分は救えやしない!みっともないったらありゃしない!もし仮にですよ。このかたがイスラエルの王ならば、今ここで十字架から降りて来ればよいではないですか。

そうすれば、この我々でさえ、きみを信じてあげますよ! 43 神を信頼し、自分がその息子だとまで言うのだから、本当に神が救うのかどうか、神にゆだねればいい」

44 同じように、イエスのわきの十字架にかかげられた罪人も、イエスを侮辱ぶじょくした。

イエスの死

45 ブオオオオオオ・・・・・・

真っ昼間にもかかわらず、見わたせるあたり一帯真っ暗になると、それが3時間続いた。

46 3時ごろ・・・

エロイわが神エロイわが神サバクタニどうして私を見捨てたのか〰〰!」

・・・・・・イエスは残りわずかな力をふりしぼって叫んだ――【それは、聖書の詩篇22:1の題名をアラム語にしたものであり、“見捨てた”と嘆いた訳ではなかった】

47 「お、おい・・・こいつ今、エリヤを呼んだぞ・・・!」――【イエスが言った“エロイ”が、遠くからは紀元前850年頃に活躍した偉大な預言者“エリヤ”のように人々は聞こえたのだ】

48 1人の男が慌てて走り出したかと思うと、スポンジを手に取り、水を混ぜた酸味さんみあるワインを吸わせて棒に結びつけた。そして十字架の上のイエスへその棒を伸ばし、飲ませようとした。

49 「放っておけ、預言者エリヤが現れ、助けるかどうか見てみようじゃあないか!」

50 「ぐ、ゔあ゙〰〰〰〰〰〰・・・・・・」

イエスは叫んだ!かと思うとそのままぐったりしてしまった・・・。息を引き取ったのだ。

51 バ、バリバリバリィ――!!!

それと同時に神の存在と人を分けへだてていた神殿の幕が上から下まで勢いよく真っ二つに裂け、大地震が起き、岩という岩が砕けた。

52 さらには墓が開き、生前に神を心底愛した人たちが死からよみがえった。

53 彼らはイエス復活後、聖なる都エルサレムにいるたくさんの人の前に姿を現した。

54 「この方は、ま゙ごどに゙神の子だった・・・・・・!!!」

百人隊長やイエスを見張っていた兵士たちは、一連の出来事に縮みあがった。

55 ガリラヤ地方からイエスを気にして後を追ってきた女たちも少し十字架から距離を置いたところからだったが、事の始終を見ていた。

56 マグダラのマリヤ、ヤコブとヨセフの母マリヤそして、ヤコブとヨハネの母がそこにいた。

埋葬されたイエス

57 その夜のこと――

アリマタヤ出身のヨセフが神殿のみやこエルサレムを訪れていた。

――アリマタヤのヨセフ――

彼は裕福なイエスの従者であり、アリマタヤからイエスを追って来ていた。

58 ピラト総督のもとへイエスの遺体引き取りを願い出ると、総督は許可をだした。

59 ヨセフは遺体を抱きかかえ、亜麻布に包んだ。 60 その遺体を自らが岩壁にほった、あたらしい墓室へ埋葬する。そして巨大な石を転がし、入り口を閉じると、その墓を去っていった。

61 マグダラのマリヤ、そして別のマリヤもその墓室の近くに座っていた。

監視される墓

62 その日は休日サバスに備える日。つまり、休日サバス前日だった。

――翌日。

祭司やパリサイ一派はピラト総督のもとへ行った。

63 「閣下!あのが生きていた時、“俺は3日目に復活する”と言っていたのを思い出しました! 64 そこで、墓へ3日間の見張りをつけてはどうかとおもいまして・・・奴の仲間が遺体を盗み出して、遺体が無いから、イエスがよみがえった!などうそをつくこともあの連中ならやりかねませぬ!そんな日にはあのについて言われたウソよりもたちの悪いウソが広まりまする!」

65 「では兵を連れて、墓室へ行きなさい。最善だと考える方法をとって構わん」

ピラト総督は許可した――

66 そこで彼らは墓へ行くと、石に封印をし、入り口をふさいで、兵士たちを墓の周りに配置して、盗人ぬすっとから守らせた。

よみがえりの知らせ

1 日が沈み休日サバスが終わった、週初めの日。

イエスの墓を見に行く、マグダラのマリヤと、もう1人のマリヤ。

2 すると突然――

グォォォォォォォ!!!

大地震が起きると同時に、空から天使が降りてきた。

墓室の入り口にある巨石をゴロゴロと転がし、入り口を開けた天使は、そのまま巨石の上に腰かけた。

3 まるでカミナリのようにまばゆい天使の服は雪のようにまっ白!

4 ヒぃ――!!!

墓の門番は天使を恐れ、恐ろしさのあまり固まったまま気を失った。

5 すると、天使は女たちに声をかけた――

「恐がらなくていいよッ☆!十字架に架けられたイエスを探してるんでしょ?

6 でも彼ならもうここにはいない!言ってた通り、死からよみがえったからね!疑うなら、自分の目で確かめてみな!

ほらッここ、ここ!遺体はここにあった。

7 いい?今からイエスの仲間たちのところへ行って。イエスは死から復活し、以前から言っていたとおり、ガリラヤ地方でみんなに会うのを待ってるから!そこでイエスに会うように伝えるんだ!

8 恐れを抱える反面、溢れる喜びを抑えきれずにいた女たちは、すぐに墓を出ると、イエスの仲間たちのもとへ急いだ。

9 すると、突然――!

「オッス!」

イエスが女たちの前に現れた。

イエスの前にひれ伏し、足に抱きつきながら、イエスを讃える女たち。

10 「安心しろ!さあ俺の兄弟たちのところへ行って、ガリラヤ地方へ行くように伝えてくれ。そこで会おう!」

イエスは女たちに言った。

ユダヤ人指導者への報告

11 女たちが、イエスの仲間を目指している一方で・・・墓を見張る数名の兵士がみやこへ帰り、祭司に事の全てを打ち明けた。

12 すると、祭司とそこにいた長老、ユダヤ指導者が策を講じはじめる・・・

「さあ、これで・・・」

――賄賂わいろだ!彼らは、墓を見張る兵士にお金を手渡した。

13 「いい、実際起きたのはこう・・・夜、あなたたちが寝ている間に、イエスの弟子がやって来て、遺体を盗まれてしまいました。以上・・・ 14 もしこのことが、総督の耳に入ったら、私たちのほうで話をつけておきます。あなたたちを問題には巻き込まないと約束しますから」

15 もらった金をふところへしまった見張りの兵士は、祭司の言う通り従った。

この話は今日に至るまで、ユダヤ人たちの間で語り継がれ、うそが信じられ続けている。

人生の使命ライフミッション

16 11人の使徒たちはイエスに言われた通りガリラヤ地方へ行った――

17 山のいただきにイエスを見つけると、使徒たちは彼を讃えた。

しかし、中にはまだ疑っている者もいた。

18 そして使徒たちの元へ来たイエスは――

「俺の手に天地すべての権限がゆだねられた!!!

19 だから行け!全世界のあるゆる人を俺の弟子とし、父と子と神の霊ホーリースピリットの名によって洗礼バプテスマを授け、 20 おまえたちに命じたいっさいのことに従うよう指導しろ!!!

忘れるな、俺は世の終わりまでおまえたちと共にいるのだ!!!」