ヨハネ筆・福音書

全ての源コトバ

1 全てが始まる前・・・それは、地球が出来るよりも前から・・・

全ての源コトバは存在した。

全ての源コトバ は神と共にあり、“彼”は神そのものであった。

2 “彼”は初めから、神と共に存在していた・・・

3 全てのものは、“彼”により創られ、

“彼”の手によらなかった物はなに1つとして存在しない。

4 “彼”は生命いのちの源だった。

そしてその生命いのちこそ、全人類の希望の光だった。

5 闇の中で燦然さんぜんと輝く光・・・

その光を覆い隠すことの出来る闇など存在しない・・・

6 ヨハネという神に遣わされた男がいた。

7 ヨハネの使命は、この希望の光を証言すること。

ヨハネをとおし、すべての人が光である“彼”を知り、信じるようにと。

8 ヨハネ自身は光ではなく、その光を伝えにきた。

9 しんの光・・・

全人類を照らす“光”は、この世にその姿を現そうとしていた。

10 この世に全ての源コトバはすでにあった。

“彼”によって創られたこの世は、“彼”の存在意義を認めなかった。

11 自分のものであるこの世に来ると、自分の民につっぱねられた。

12 しかし、中には“彼”を受け入れ、信じる人もいた。

そんな人に“彼”は、神の子どもとなる権利を与えた。

13 そう、彼らは神の子どもとなったのだ。

母の胎から生まれてではなく、

人の想いや、願いとも関係なく、

ただ神が自分の子としたのである。

14 全ての源コトバは人となり、私たちとともに生きた。

 私たちは目の当たりにした。

神がかった“彼”の偉大さを。

一人子ひとりごがまとった父の栄光を。 

神の恵みと真理で溢れた“彼”を。

15 洗礼者バプティストヨハネは“彼”を会衆の面前で公表した――

「“あっしの後に来る方はあっしよりもはるかに。あっしが生まれるずーっと前、と、あっしが常々話していたのはこのお方でやす!!!」

16 神の恵みと真理でいっぱいだった“彼”に私たちは次から次へと祝福された。

17 すなわち、私たちは預言者モーセをとおして掟を与えられ、

イエス・救世主キリストをとおして、恵みと真理を与えられた。

18 未だかつて、神を見た者はいない。

一人子ひとりごを残して。

彼自身が神であり、

神がどのような方かを示してくれた。

父さんうり二つがゆえ、

“彼”を目にした者は、神を見たのだ。

道を備えし者

19 神殿のみやこエルサレムにいたユダヤ指導者たちが、祭司、そしてレビ人たちを、洗礼者バプティストヨハネのもとに送りつけ、尋ねさせた。

「あなたはいったい何者で?」

ヨハネは彼らに真実を伝えた。 20 恥じらいやためらいもなく、簡素かんそおおやけで――

「あっしは救世主キリストじゃありやせん」

21 「では一体、あなたは?まさか預言者エリヤで?」

「エリヤでもありやせん」

「ならば、約束されし預言者で?」

「あの預言者でもありやせん」 ――【のちに送ると、神がモーセに約束した預言者を指している。聖書:申命記18:15-19、24より引用】

22 「一体どなたなのですか?貴殿きでんについてご教示ください。

これでは、私を遣わした者たちへ説明できませぬ。自己紹介を願います」

23 洗礼者バプティストヨハネは、預言者イザヤの言葉を引用して言った。

「あっしは、

“荒地で叫ぶ声がする・・・

神様のお通りだ、道を整えろ!神様のために道をまっすぐにせよ!!!”

とある者でやんす」 ――【聖書:イザヤ書40:3より引用】

24 しつこく尋ねるのは、パリサイ派のユダヤ人たちだった。

25 彼らは、続けざまに聞いた――

救世主キリストでもない、預言者エリヤでもあの預言者でもないのに、なぜ洗礼バプテスマを授けていらっしゃるので?」

26 「あっしは、水によって洗礼バプテスマを授ける権限をいただいておりやすが、みなさんの上に立ち、みなさんが知りやせんお方が、 27 あっしのあとに現れやす。あっしにゃあ、その方の靴ひもをほどく価値すりゃ、ありやせん・・・」

――!――

28 これらは、ヨルダン川対岸たいがんにあるベタニヤ地方での出来事だった。ここで洗礼者バプティストヨハネは洗礼バプテスマを授けていたのだ。

降り注ぐ神の霊ホーリースピリット

29 翌日――

洗礼者バプティストヨハネは、自分のもとへ向かってくるイエスを見ると言った――

「見よ!世の過ちをぬぐいさる神さんの子羊でやんす!!!

30 “あっしの後に来る方はあっしよりもはるかに。あっしが生まれるずーっと前、“初め”からいらっしゃった方”と、あっしが常々話していたのはこのお方でやす!!!

31 あっしも初めは、その方が誰か知りやせんでした。

だが、あっしが水で洗礼バプテスマを授けてきたのは、“彼”が救世主キリストさんであることを、神の国イスラエルのみなさんへ知らせるためでござんす」

32 そして、洗礼者バプティストヨハネは自分の見たことを証言した――

神の霊ホーリースピリットがハトのようにくだり、その方に止まりやした。

33 その方が誰だか知りやせんでしたが、水で洗礼バプテスマを授けるようにと、 あっしを遣わされた神さんは、

神の霊ホーリースピリットさんが男に下るのを見る!彼こそが神の霊ホーリースピリットさんによって洗礼バプテスマを授ける者”

と報告いただきやした!!

34 あっしの目はうそをつきやせん。

“彼”こそが神さんの一人子ひとりごでやす!!!」

洗礼者バプティストが指した子羊

35 翌日――

洗礼者バプティストヨハネは昨日と同じ場所に、2人の弟子といた。

36 すると、ヨハネの目にイエスが横切った。

「見よ!あの方こそ、神さんの子羊!!!」

37 洗礼者バプティストヨハネの言葉を聞いた2人の弟子は、すぐにイエスの後を追った。

38 「ん?何の用だ?」

イエスは振り返った。

先生ラビ、今夜はどちらにお泊まりで?」

39 「ついてくれば分かる!」

2人はイエスについていき、午後4時にイエスの宿泊先に着いた。

そして、その日はイエスとともに過ごしたのだった。

40 洗礼者バプティストヨハネに言われて、2人はイエスに従うことを決めた。

1人は、シモン・ペテロの弟アンデレ。

41 アンデレは真っ先に兄シモン・ペテロのもとへ行った――

「兄貴!救世主キリストを見つけたぞ!!!」

42 アンデレはさっそく兄シモンをイエスのもとへ連れて行った。

「ヨハネの子、シモン。あなたはペテロと呼ばれる・・・!!!」

シモンをみてイエスはそう言った。

43 翌日――

彼らにガリラヤ地方へ進んでほしいと願うアンデレ。それをよそにピリポに出会ったイエス――

あ、ピリポ!

「俺について来い!」

44 ピリポはアンデレとペテロと同じく、ベツサイダ村出身だ。

45 つい今しがたイエスに会ったばかりのピリポもすぐにナタナエルを探し当てると――

「聞いてくれ!掟の書物に書かれていた方を見つけたんだ!!!

代々の預言者たちだって記してきたあの方だ!!!

丘の上のナザレ村のヨセフの子、イエスってんだ!!!」

46 「ナザレ村?はッ笑わせるなピリポ!ナザレ村ごときからそんな者が現れる訳ない」

「会えば分かる!」

47 イエスは自分のもとへ向かってくるナタナエルを見て口を開いた――

「彼は信頼に値する正真正銘のイスラエル人だ」――【旧約聖書で、イスラエルの元の名前はヤコブであり、その意味は“嘘・偽り”であり、ヤコブに例えられたのだ。 聖書:創世記27:35-36より引用 】

48 「と言っても私のことを知らないじゃあないですか」

「ピリポが話しをするよりも前に、イチジクの木の下ににいるのを見たさ!」

49 「先生!あなたこそ神の一人子ひとりご、イスラエルの王です!!!」

50 「おいおい、イチジクの木の下にいるのを見たと言っただけで信じるのか?

これからあなたが見るものは、こんなもんじゃあないぞ!

51 今から俺が言うこと、それは真実だ――

おまえたちはみな、天の窓が開きの上を

“天使が行き交う”――【聖書:創世記28:12より引用】

光景を目の当たりにする!!!」――【聖書:創世記28:10-17より引用】

水がワインに?!

1 3日後――

ガリラヤ地方カナ町でもよおされた結婚式に、イエスの母の姿が。 2 イエスとその仲間も共に招かれていた。

3 「あれま!」

式真っ只中にワインが切れたことを知ったマリヤは息子イエスにその事態を伝えに行った。

「ワインがもう切れちゃったけど・・・」

4 「母さん、俺に言ってどうするんだ?今はまだじゃあない」

5 母は召使いたちを見ると――

「彼の言う通りにするのよ」

6 そこには、ユダヤ人が<清めの儀式>に使う、大きな水瓶みずがめが6つほど置いてあった――【ユダヤ人は、食事の前や神殿での礼拝前、その他、特別なイベントの前には必ず手などを洗う、清めの儀式を行っていた】

水瓶みずがめはそれぞれ、80L~120Lほど水やワインを入れることができるもの。

7 ――水瓶みずがめを、水でいっぱいにするんだ」

「はい」

イエスの申し付けどおり召使いたちは、水瓶みずがめを水でいっぱいにした。

8 「そこから水をんで、幹事のもとへ持って行くんだ」

「はい」

イエスの申し付けどおり召使いたちは幹事に持って行った。

9 幹事はその水を味見した。

(どれどれ・・・・・・ん?!なぬ!!)

なんと!水がワインに変わっているではないか!もちろん、幹事はそのワインがどこから来たのか、知るよしもなかったが、召使いたちは、事の始終を知っていた。

幹事はすぐさま花婿はなむこを呼び寄せた。

10 「いやー参った!たいがいの人は、良いワインを最初に出しておいて、客が酔って味が分からなくなった頃に、安いワインを出すもんだが、まさか最上級のワインを最後までとっておいたとは!!!」

11 これは、ガリラヤ地方カナ町。

イエスが最初に行ったキセキだった。

これにてイエスの神がかった偉大さは“公”となった。

また、これを目の当たりにし、お供たちはイエスに確信した。

12 その後、イエスはカペナウム町へ向かった――【ここはガリラヤ湖北部の町】

イエスの母、兄弟たち、そしてお供も一緒だ。

彼らはそこに数日間滞在した。

商売道具と化した神殿

13 神殿のみやこエルサレム――

イエスは過越祭すぎこしさい目前に合わせて訪れた。

14 「!」

神殿の敷地内に入るやいなや、イエスが見た光景とは――

牛や羊、ハトを売る商人、机に座って両替商をする両替人たちなどなど。

15 ぎゅッ

イエスは、縄でムチを作ると――

パチンッ!!!

そのムチで牛や羊たちをその場から追い出すではないか!

そこで終わらない、両替人の前まで行くと――

どりゃー!

彼らの机を勢いよくひっくり返したではないか!

あたりは騒然。辺り一面に撒き散らされたお金。

16 そして、イエスはハト売りを睨みつけると――

「それをとっとと持ち出せ!父さんの家を商売の場にするなッ!!!」

17 ――!――

この光景を見ていた仲間たちの頭に聖書個所がよぎった――

「𝄞あなたの神殿への愛が、私を打ち砕く」――【聖書:詩篇69:9より引用】

18 「こんなことをする権利があなたにあると言うのなら、キセキを起こして証明しなさいッ!!!」

そう声をあげるのは、ユダヤ人たち。

19 「この神殿を壊してみろ、3日で建て直してやろう」

20 「んみ、3日?!この神殿を建てるに46年かかっているのですぞ!それを3日で建てられるだなんて・・・どの口がそんな事を言えたものでしょうか!」

21 だが実際イエスは自分の体を指して“神殿”と言ったのだった。

22 ――イエスが死から復活したあと、仲間たちはこの時の発言を思い出し、聖書とイエスのことばをよりいっそう固く信じたのだった――

23 イエスが神殿のみやこエルサレムを訪れたのは、過越祭すぎこしさいに参加するためだったが、そこにいる間に起こしたキセキを見て、大勢の人がイエスを信じたのだった。

24 しかし、イエスは人間の考え方を知っていたため、彼らを信用することはなかった。 25 人についての入れ知恵は無用。イエスは“人”を完全に把握していたからだ。

“生まれ変わる”の真の意味?

1 ――ニコデモ――

パリサイ派でも重役のユダヤ指導者である。

2 ある晩のこと、このニコデモがイエスを訪ねたのだ――

「先生、我々はあなたが神より遣われし方であると知っています。

神の助け無しにここまでのキセキを行うことなどできません」

3 「保証する、もう一度生まれない限り、神の国キングダムに入れはしない・・・!!!」

4 「ゔ、生まれる・・・?!

成人が、母の胎に戻り、生まれることが可能だというのですか?」

5 「信じろ!だれでも水と神の霊ホーリースピリットによって生まれ変わらないかぎり、神の国キングダムに入れはしない。

6 人間の親からは人間の生命いのちが生まれるだけです。 

だが、神の霊ホーリースピリットは、天から生まれる全く新しい霊的な生命いのちを与えてくれる。 

7 私から“もう一度生まれなければならない”と聞いて驚いてはなりません。

8 風は思うがままに、自由に吹く。聞こえても、どこから来て、どこへ行くのやら。 神の霊ホーリースピリットによって産まれた者もしかり」――【ギリシャ語源の魂は風という意味でもある】

9 「どうやったらそんなことが起こりうるので?」

10 神の国イスラエルを代表するほどの教師ともあろうものが、こんなことも分からないと?

11 現実、わたしたちが知っていること、また見たものを話しているというのに、あなたたち人間は信じようとしない。

12 この世のことを話してあなたが信じないなら、天のことを話したところでとうてい信じられないだろう。

13 天にいる神のもとへ昇ることができるのは、天から降りて来ただけだ。

14 モーセが荒野で青銅のヘビをかかげたように、もかかげられなければならない」――【聖書:民数記21:4-9より引用。神の民イスラエルがヘビに噛まれ、ひん死状態のとき、神は青銅の蛇を棒につけてかかげるよう、モーセに命じた。それを見た人すべてが、完治したのだ】

15 「そのおかげで、を信じるすべての人間が、永遠の命エターナルライフを手にするのだ・・・!!!

16 実に神は、一人子ひとりごをさえ惜しまず与えるほどに、世の人間を愛してくれた。

つまり、神の一人子を信じる者が、だれ一人滅びず、永遠の命エターナルライフを得るためだ!!!

17 神が一人子を遣わしたのは、この世を裁くためではなく、救うためだ!!!

18 この一人子を信じる者は無罪となり、信じない者の判決はすでに決まっている。

19 闇にあったこの世に光がしたのに、光ではなく闇を欲したからだ。

それもこれも彼らが過ちを犯して生きているせい――【光とは世に神への理解をもたらした全ての源コトバ たるイエスを指している】

20 過ちを犯す者は光を嫌う。光によって今までの過ちを暴かれたくないからだ。

21 だが、真理を追い求める者は喜んで光のもとに出る。 光に照らされて彼らは見る。父さんが彼らのすることなすことを改善するために働いてくれているのを」

神の子イエスと洗礼者バプテストヨハネ

22 このあと、お供を連れてイエスはユダヤ地方に向かった――

しばらくそこに留まり、洗礼バプテスマを授けた。

23 洗礼者バプティストヨハネもサマリヤ地方サリム町の北部に位置する水の豊かなアエノン町で洗礼バプテスマを授けていた。 そのため、洗礼バプテスマを受けるべく、人がそこを訪れた。

24 これは、洗礼者バプティストヨハネが投獄される前のことだ。

25 ある時、洗礼者バプティストヨハネの弟子と他のユダヤ人の間で、<清めの儀式>のことで議論が繰り広げられていた。

26 弟子たちは洗礼者バプティストヨハネのもとに来た――

「先生、ヨルダン川の向こうで一緒にいた方を覚えてますか?先生がすべての人に告げ知らせていた方です!彼も洗礼バプテスマを授けているようで、多くの人が彼のほうに流れているんですよ!」

27 「人は、神さんにもらった役割以上のことはできねぇ

28 あっしが救世主キリストさんじゃあないと言ったのを、あんたらも聞いたでござんしょう。 あっしは誰もがのもとへ行けるよう、ただ道を整えるために神さんに遣わされた身。

29 言うなればあっしは花婿はなむこの友人。花嫁が花婿はなむこのところに行くのは当然。友人はそれを見て喜び、彼の頼みは心よりこなしやす。 ありがたき幸せ。これがあっしの今の心境でやす。

30 の存在感が増し、あっしの影は薄くなるべし・・・!!!

この世の視点と天の視点

31 天より来られし者が、ほかのだれにも勝るは当然。

この世から生まれた者はこの世の視点で、天より来られし者は天の視点ではなす。

32 は、見たこと聞いたことをお話しになりやすが、そのおことば信ずる者の少なきこと。

33 あの方のことばを信ずる者、神さんが真理の源だと認めた証拠。

34 神さんに送られしあの方の口には、惜しみなく与えられた神さんの魂があったからこそ、いつもその言葉があった。

35 父さんは、その一人子ひとりごさんを愛すがゆえ、全知全能の権限を与えやした。

36 一人子ひとりごさん信ずる者、永遠の命エターナルライフ与えられし。

一人子ひとりごに従わぬ者、神の鉄槌てっつい討たれて滅ぶ運命よ・・・そこから逃げることなどできぬ!!!」

サマリヤ人の女

1 さて、イエスのところには、ぞくぞくと人が詰めかけ、洗礼バプテスマを受けた。

イエスのお供の数が、洗礼者バプティストヨハネを超え、それがパリサイ派の耳にはいり、噂しているのを知ったイエス。

2 もっとも、イエス自身は誰にも洗礼バプテスマを授けておらず、その仲間たちが授けていた。

3 これを耳にしたイエスはユダヤ地方を去ると、ガリラヤ地方へ向かった――

4 その道のりから、サマリヤ地方を通らなければならなかった。

5 サマリヤ地方スカル町に立ち寄ったイエス。

その町は、ヤコブが息子ヨセフに与えた地の近くにあり、

6 ヤコブの井戸と呼ばれる水汲みずくみ場があった。

よっこらしょっと・・・どさっ

長い道のりを歩き、疲れたイエスは、井戸のそばにぐったり腰をおろした。

さて、正午ごろ――

7 サマリヤ人の女が水をみに来た。

「すまん、一杯もらえるか!」

8 ――イエスの一味は食糧の買い出しで町に出ていたため、この時イエスは1人きりだった――

9 ――「あんたユダヤ人じゃあないか!一杯だって?あたしはサマリヤの女だよ!」

ユダヤ人はサマリヤ人を差別し、口をきこうとしなかった――【ユダヤ人はサマリヤ人の使った皿やコップなどを一切使わなかった。それは掟が外国人との付き合いについて厳しくあったためで、混血のサマリヤ人はなおさら見下されていたのだ】

10 「分かってないな!

神があなたのために用意したものがなにか。

一杯をお願いしているのがだれか。

知っていたら、あなたのほうからお願いし、私は命の水をあげているところだろうな!」

11 「あのー水汲みずくみを持っていないようですが・・・なにか?

井戸はすごい深いし、命のお水はどこから汲むんですかね~

12 だいいち、あなた!あたしたちのご先祖ヤコブ様よりも偉いってのかい!

ここはね、ヤコブ様から授かった由緒ゆいしょある井戸なんだよ。

ここからヤコブ様自身が飲んだのさ。

彼の息子たちや家畜たちだってみんなこの井戸から水を飲んだってのに、これよりいい水をくれんのかい!」

13 「この水を飲んでも、またのどが渇く。

14 俺があげる水を飲めば、二度と渇かない!

枯れない泉が心から湧き上がり、永遠の命エターナルライフへとつながるんだ・・・!!!」

15 「じゃあその水ください。そんな水あったら、のども渇かないし、わざわざ水汲みずくみに来なくてすむしさ」

16 「じゃあ行って夫を連れて来るんだ」

17 「夫いないのに?」

「確かに、間違ってはいない。 18 正確にはこれまで5人の夫がいたのに、同棲相手は夫じゃあないんだからな」

19 「よ、預言者でしたか! 20 だったら教えてください!あたしたちは代々この山で神を拝んできたのに、あなたがたユダヤ人は、エルサレム以外では神を拝めないと言ってますッ!」

21 「楽しみにしておけ!この山かエルサレムかなど関係なく父さんを讃える日がくる。

22 あなたたちサマリヤ人は、拝んでいる神を分かっちゃあいないが、俺たちユダヤ人は、知っている。 父さんがユダヤ人をとおして世界を救うとな!

23 父さんを真心から讃えるときは目前だ!

いや、今がその時であり、これこそが神の求める者だ!

24 神は魂なのだから、本当に神を讃えるのなら、魂を込めて讃えなければならない!」

25 「知ってますとも!神に選ばれし者、人呼んで救世主キリスト。彼が来れば、すべての答えを明らかにしてくれる」

26 「目の前じゃあないか。俺がそうだ・・・!!!」

27 ――「あれ?」

ちょうどイエスの一味が買い出しから帰ってきた。

イエスが女と話しているのを見て驚きはしたものの、誰も

女に――“何がほしいんだ?”

あるいは、イエスに――“なぜ彼女と話しを?”

と尋ねるものはいなかった。

28 彼女は水瓶みずがめを置いたまま、町へすっ飛んで身に起こったことを広めた。

29 「ねえねえ、来て、会ってごらんよ!!!あたしの過去を何もかも言い当てたんだよ!!!救世主キリストに違いないわ!!!」

30 この誘いに町中の人が、イエスに会おうと、ぞくぞく押しかけた。

31 ――女が町に行った間、お供たちはイエスに頼み込んでいる。

「先生、何か口にしてくれ・・・!」

32 「俺には、おまえたちが少しも知らないめしがある」

33 「はて、俺たちがいない間に誰かめし持ってきたのか?」

一味は互いに言った。

34 「俺のめしは、俺を遣えし方の望みの全う。

俺のめしは、彼に与えられし任務の全う。

35 種をまくと、誰もが

“収穫は4ヶ月先。夏が終わらなければ始まらない”と言う。

目を覚ませ!人の魂の畑を見わたしてみろ!

彼らは収穫されるのを待っている!!!

36 今でも、収穫する者は報酬を稼ぎ、永遠の命エターナルライフを受ける人の収穫物を天の倉におさめている。 だから、蒔く者も刈る者とともに喜ぶことができる!

37 “1人が種をまけば、1人が刈り取る”まさにまことのことわざのごとく。

38 俺はほかの人が苦労して種を蒔いた畑におまえたちを送る。

おかげでおまえたちは他の人が汗水たらしてできた実を収穫するんだ」

39 そのころスカル町のほとんどのサマリヤ人がイエスを信じていた。

例の女からこう聞いたからだ。

「彼はあたしの過去を何もかも言い当てたんだよ!!!」

40 町中のサマリヤ人はイエスのもとに集まった。それからもう少しだけこの町に滞在してほしいとイエスに頼み込んだため、 2日ほど町に残った。

41 その間に、さらに多くの人がイエスのことばを聞いて、信じるようになった。

42 村人は例の女に言った――

「私たちは、おまえさんが話してくれたことを聞いてイエスを信じたけど、今はこの方の言われることをじかに聞いて確信したよ!私たちの耳に狂いはない。彼こそが世界を救う救世主キリストだよ!」

死にません!

43 2日後、イエスはガリラヤ地方へ向かった――

44 イエスは以前に預言者は生まれ故郷でうやまわれないと言ったことがある。

45 ところがどうだ!ガリラヤ地方に足を踏み入れると、誰もがイエスを大歓迎した。

それもそのはず、彼らは過越祭すぎこしさいのとき、イエスが神殿のみやこエルサレムでしたことを見ていたのだ。

46 ガリラヤ地方を旅している間にカナ町を再び訪れた。

そう、そこは、イエスが水をワインに変えた町だ。

ところで、カペナウム町には王の重役である高官が住んでいた。彼の息子は重い病をかかえていた。

47 高官はイエスの評判を聞き、そのイエスがユダ地方を去ってガリラヤ地方にいるという情報を手に入れた。

そこで、イエスを探しあてると、カペナウム町に来て、まさに死にそうな息子を治して欲しいと懇願こんがんした。

48 「あなた方という人たちは、大きな奇跡やを見なければ、俺を信じようとはしない」――【イエスは以前、地元に帰ってきたときは、誰もイエスを敬わなかったのに、今となって地元民が彼を求め始めたからこう言った】

49 「ど、どうか先生っ!私の息子が死ぬ前に、私と一緒に来て下さい!!!」

50 「行きなさい。あなたの息子は無事です」

――高官は、イエスの言葉を信じ、家へ急いだ。

51 途中――

「ご主人さまー!坊ちゃまが!坊ちゃまの病気が治りましたー!!!」

駆けつけてきたのは高官の部下だった。

52 「い゙、いつからよくなり始めたんだッ?!」

「昨日の午後1時頃でしょうか、急に熱が下がりまして・・・ 」

53 「な、なんという・・・」

そう、一緒だったのだ。

――あなたの息子は死にはしないよ――

とイエスが言った時間と、息子の熱がひいた時間は、一緒だったのだ。

これをきっかけに、高官と召使いを含んだ一家全員がイエスを信じたのである!

54 これは、イエスがユダヤ地方からガリラヤ地方にやって来ておこなった、2つ目のキセキであった。

天使が水をかき回すプール

1 そのあと、ユダヤ人の特別な祭りに参加するためにイエスは神殿のみやこエルサレムへ向かった――

2 神殿のみやこエルサレムの<羊門>の近くには池があった。

屋根つきの5つの廊下に囲まれたその池はアラム語でベテスダと呼ばれていた――【またの名をベツサイダ。エルサレムにある神殿の北側に位置する池】

3-4 盲人、足の不自由な人、手足の麻痺まひした人など、たくさんの病人が池のそばの廊下に横たわっていた――【彼らは、水面が揺れ動くのを待っていた。 というのは、時おり池に現れる天使が水をかき回すことがあり、その時、最初に池に入った者の病が治ったからだ 】

5 そこには、38年間もやまいで歩けないでいた男もいた。

6 横たわる彼の姿を見たイエスは、長い間どんなに苦しんできたかが見てとれた。

「よくなりたいか?」

7 「せっかく水が動いても、水に入れるよう誰もおいらに手を貸してくれないんだ。 何とかして入ろうとしている間に、いつもほかの人が先に入っちゃうしね」

8 「立ちあがれ!その敷物しきものを持って歩け!」

9 イエスがそういうと、男の病気が治ったではないか!

男は自分の敷物を持って歩き始めたのだ・・・

これは休日サバスに起きたことだった。

10 ユダヤ人の指導者たちは腹を立てた――

「けしからん!!今日は休日サバスだというのになに敷物しきものを運んでいる、掟違反だっ!!」

11 「おいらを治して下さった方に敷物しきものを持って歩けと言われたんで」

12 「ほぉ、いったい誰がその敷物しきものを持って歩けと言ったのだ?」

13 (あ、名前を聞かなかったな・・・誰だったんだろう・・・)

男は誰かを知らず、イエスはその場をすでに去っており、ここにはたくさんの人がいたので探しようがなかった。

14 少し経ってからのことだった――

(おっ!)

イエスは神殿で例の男を見かけた。

「ほらみろ、すっかり元気じゃあないか!だが過ちからは、足を洗え・・・でなきゃ、前よりもひどいことが起きるぞ」

15 そう言われた後、男は前のユダヤ人指導者たちのもとへ行った。

「イエスです!イエス!!!」

そしてイエスが病気を治したことを告げた。

16 イエスがこれらすべてを休日サバスに行なうので、ユダヤ人指導者たちは、イエスを叱った。

17 「私の父さんが休まず働くのだから、私が働くのは当然です!」

18 (な、な、なに゙ぃぃぃ)

イエスのこの一言が、彼らの殺意に火をつけた。イエスが休日サバスに働き、掟を破っただけではなく、神を実の父と呼び、自分と神を等しく扱ったからだ。

子に授けられし神の権利

19 イエスはユダヤ人指導者たちに向かって続けた――

は1人じゃ何もできない。父親を真似るだけです。

20 父親はその子を愛し、自分がすること全てを子に見せる。

この男を治しましたが、これをはるかに超えたこと、みなさんをあっと言わせることを父さんは子をとおして起こしてくれる。 

21 父さんが死人を生き返らせて命を与えるように、も、思うままに人に命を与えるのだ。

22 また、父さんは誰にも制裁を加えない。裁きの全権限を、子に与えたからだ。

23 全ての人が父さん同様に子を尊敬するためだ。

父が子を送ったのだから、子を敬わない人は同様に父さんを敬っていないことになるのだ。

24 保証しよう、俺の言うことを聞き、俺を遣わした神を信じる人には、永遠の命エターナルライフがある。

彼らはすでに“死”を置いて、“いのち”へ入ったのだ。

25 保証しよう、死人が神の一人子ひとりごの声を聞く時が迫っている・・・いや、時はきた!そして、聞く者は生きるのだ!

26 命を吹き込むのは父さんであり、その権限を一人子ひとりごにも与えた。

27 この子が、であるがゆえに父さんは全人類をさばく権利も与えた。

28 驚くな、墓にいるすべての死人が彼の声を聞く時がくるのだ!

29 その声を聞いた彼らは墓から起き上がり、生前正しいことを行った人間は永遠の命エターナルライフを手にし、自己中だった人間は裁判を受け、神の鉄槌てっついを下される。

30 だが、自分の与えられた権限では何もできないが、神に言われたとおりにのみ判定する。だから私の判定は公平。 なぜなら、自分ではなく、私を遣わした方の意志を全うすることが私の本望だからです。

イエスの弁護

31 「私が自分について証言しても、それが正しいかどうか分からないだろう。

32 だが私について証言する方がおり、その方の証言はまちがいなく真実です。

33 あなたがたは洗礼者バプティストヨハネに使いを送ると、彼はあなたがたに真実を伝えました。

34 私に他人の証言は必要ないが、あなたたちが救われるためにヨハネが言ったことを思い起こさせよう。

35 ヨハネはまるでいつかは消えるロウソクのように、しばらくの間あなたがたはその光を楽しんだ。

36 だが、ヨハネのどの証言よりも勝る証拠がある・・・ 私の行いだ!!!

これらを行うようにと父さんに与えられた力を発揮しているのだから、私を遣わしたのが父さんであることがわかる。

37 あなたがたは父さんの声を聞いたこともなければ、見たこともないから分からないだろうが、私については父さん自らが立証りっしょうした。

38 ところがどうです。 あなたがたのうちには父さんのことばが生きていません。 神のことづけを伝えるために遣わされた私を、信じないのですから。

39 あなたがたが永遠の命エターナルライフを見つけようと、必死に調べているその聖書が指示しているのは私ですよ。

40 それなのに私のところに来ようとしないあなたがたは、永遠の命エターナルライフを受けることができないのです。

41 別にあなたや誰かから、ちやほやされたいわけではない。

42 だがあなたについては、よーく知っている。

神に対する愛のかけらもない。

43 私は父さんの代理として来たのに、あなたがたは喜んで迎えてはくれません。 ところが、ほかの人が、神から遣わされたのでもなく、ただ自分のために来ると、待ってましたとばかり、手をたたいて迎えるのです。

44 もっとも、あなたがたが信じられないのも、むりはありません。 互いにほめたり、ほめられたりすることは喜んでも、ただ1人の神からほめてもらうことになどまるで関心がないのですから。

45 あなたたちを父さんに訴えるのは、私じゃあない。

モーセのおきてのおかげで天国へ行けると思っているだろうが、実際、最後の審判ファイナルジャッジメントにあなたたちを訴えるのはモーセです・・・!!!

46 モーセは私について書いているのだから、もし、あなたたちが本当にモーセを信じているのなら、私を信じるはずです。

47 モーセの書いたものを信じられないのだから、私を信じられないのも納得がいきます・・・!!!」

5000人の食卓

1 その後、イエスはテベリヤ湖とも呼ばれるガリラヤ湖の向こう岸に向かった――

2 あとには大ぜいの群衆がついてきた。イエスが人知を超えた力で病人を治すのを見たからだ。

3 よっこらしょっと!

イエスは丘の上に登り、仲間たちとそこに腰を下ろした。

4 ユダヤ人の過越祭すぎこしさい間近だった――

5 イエスが顔をあげると、そこには自分のもとに集まってくるたくさんの人たち――

「なあピリポ、これ全員に食べさせるだけのパンをどこで買おうか?」

6 もっとも、これはピリポを試しただけで、どうするかは、もうとっくに決めていた。

7 「こ、こんなに大ぜいじゃ、俺たち全員の月給を足したとしてもパンくず1つしかあげられやしないぞッ!!」

8 すると、使徒の1人であるシモン・ペテロの弟、アンデレが口をはさんだ――

9 「この子が、大麦のパンを5つと魚を2匹持っているが、こんなに大ぜいじゃ、焼け石に水か?」

10 「みんなを座らせてきてくれ!」

「あ、ああ・・・」

群衆の数は男だけでも5000人はいた。

「さぁ、座ってください」

使徒たちの指示に従った人たちは皆、芝生の斜面にどしどし腰をおろした。

11 ガサっ――

そこで、イエスはパンを取り、神に感謝の祈りをささげてから、みんなに配った。 また魚も同様に。 みんなほしいだけ食べさせた。

12 ――ぷはー無理!もー食べらんない!!!

「さあ、少しもむだにしないよう、あまったパンと魚を集めてくるんだ」

13 言われた通りに余った食べ物を集める仲間たち――

食べ始めた時には、5つのパンと2匹の魚しかなかったはずが、 余った食べ物を集めると、 12個のかごがいっぱいになったではないか・・・

14 「あの方こそ、この世に来ると告げられた預言者に違いない!」――【聖書:申命記18:15-19参照】

イエスの行ったキセキを見た人は口々に言った!

15 群衆は熱狂してむりやりにでも、イエスを王にまつり上げる勢いで大騒ぎ!イエスはそっと抜け出し、ただ1人、山に登って行った。

水の上を歩く幽霊?

16 その日の夕方――

イエスの仲間たちは湖の岸辺に降りて行った。

17 もう暗くなったのに、イエスはまだ戻ってこない。

「行くか・・・」

そこで小舟に乗り込み、カペナウム町に向けてみずうみを渡り始めた。

18 ――ビューッ!バッシャーン!バッシャーン!

ところが、しばらくこいで行くうちに、風が出てきました。風はびゅうびゅう吹きまくり、みずうみも荒れだした。 それも、だんだんひどくなる一方。 

19 小舟に乗り込み、こぎ進めること5、6Km。

「な、なんだ・・・」

一味はみずうみの上を歩いて向かってくる人影を見て縮み上がった。

よく見るとイエスではないか!

20 「落ち着け、俺だよ、俺!」

21 「イ、イエスかぁ・・・」

イエスだと分かり次第、一味は小舟に歓迎した。

そして気づけば、小舟は反対岸に着いていた。

向こう岸に残った群衆のイエス探索

22 翌朝――

一晩ひとばん過ごした群衆は、イエスが小舟に乗らず、仲間たちだけが先に出発したことを知っていた。さらには、イエス一行の小舟が1隻しかない事も見て、イエスはまだこちらにいると思っていた。

23 イエスが感謝の祈りをささげ、みんなでパンを食べた場所の近くに、都市テベリヤから数隻の小舟が来ていた。 

24 ――「おい、どうやら、ここにはもういないみたいだ!」

イエスと一味がいないことを知った群衆は、イエスを探すために、小舟に乗ってカペナウム町へと向かった。

イエス、命のパン

25 みずうみの反対側にいた群衆はイエスを見つけた。

「先生!いつこちらへ?!」

26 「なぜ俺を探す?キセキを目の当たりにしたからか?

いや、お腹いっぱいパンを食べさせてもらい良い思いをしたからだ。

27 でもな、この世のめしってのはやがて腐敗する。

そんなめしのためじゃあなく、永久に新鮮かつ、永遠の命エターナルライフをもたらすめしのために働くんだ。

父さんに認められたにのみ、そのめしを与える特権がある・・・!!!」

28 「神がを送ってくれるまでに、私たちは何をすれば?」

29 「神がみなさんに望んでいることは、ただ一つ。

すでに送られてきたを信じることだ・・・!!!」

30 「あなたがなら、その証拠に、どんなキセキを見せてくれるのですか?信じるのはそれを見てからですね。

31 私たちの先祖は、荒野でマナを与えられました。また、聖書には“彼は天国からのめしを食べさせた”とありますので」 ――【聖書:詩篇78:24より引用】

32 「はっきり言っておくが、天からめしをみなさんの先祖に与えたのは、モーセではない。そして、真のめしも私の父さんが天から与えてくれる。

33 神から与えられた真のめしとは、天国から降りて来てこの世に生命いのちを与えるのだ・・・!」

34 「ど、どうか、これからは、そんなめしを下さい!!!」

35 ・・・!!!

私のもとに来てお腹を空かす人はおらず、俺を信じる人は、決して渇きはしない!!!

36 前にも言ったが、私にできることはもうその目で見たというのに、信じやしない。

37 父さんが選んだ人は、私のもとへ来ます。

そして、私のもとに来る人は、誰であれ、迎え入れよう!

38 私は神の意志を背負い、天より降りてきました。

私ではなく、神の意志を全うするために!

39 “神が与えてくれた人をなんぴとたりとも失ってはならない”

“この世が終わる日に彼らを生き返らせなければならない”

これぞ、私を遣わした方が、私に背負わせた意志!!!

40 誰であれ、一人子ひとりごを見て、信じて従う者には永遠の命エターナルライフがある!彼らをこの世が終わる日に生き返らせること。

これぞ、父さんの意志!!!」

41 「“天国より降りてきためしとは”だと!!!」

これを聞いてイエスの文句を口にし始めるユダヤ人がちらほら。

42 「あいつはイエスだぜ?あいつのおやじも、母親も知っている。たかだかヨセフんとこのせがれのくせして、“天から来た”だと?」

43 「グチグチ言い合うのをやめなさい!

44 私を遣わしたのは父さんであり、私のもとへ人を引き寄せるのもまた、父さんです。

私はそんな人たちをこの世が終わる日に、一人残らず生き返らせる!

だが、父さんに引き寄せられずに私のもとへ来ることはできません。

45 預言者のお告げにあるとおり。

“神がすべての人に教える”――【聖書:イザヤ書54:13より引用】

父さんから聞いて学ぶ人こそが、私のもとへ来ます。

46 父さんを見た人がいると言っているわけではない。

父さんのもとから来た者しか目にしていないのですから。

47 断言しましょう!

私を信じて従う者には永遠の命エターナルライフがあると!!!

48 命を与えるめしは、この私だからです!!!

49 あなたがたの先祖が荒野で食べた、神より与えられしマナという名のめしでは、死をまぬがれることはできませんでした。

50 だが、天から下ったこのめしを食べる人が死ぬことはない・・・!!!

51 私が、その、天から下って来た、生きためしです。

このめしを食べる人はだれでも、永遠に生きる。

このめしは、私の体。

この身をささげよう、人類が生きるために!!!」

52 「自分の体を私たちに食べさせるですって?!」

――ザワザワザワザワ――

ユダヤ人は互いに議論した。

53 ――「保証しよう、の肉を食べ、その血を飲まなければ、本当の意味で生きることはできません。

54 私のからだを食べ、その血を飲む者は永遠の命エターナルライフを手にし、この世が終わる日に私がよみがえらせる。

55 真のめしは私の肉、真の飲み物は私の血です。

56 私の肉を食べ、わたしの血を飲む人はみな、わたしの中で生き、わたしもその人の中で生きる。

57 私は、私をお遣わしになった、生ける神の力によって生きている。同じように、私を食べる人は、私によって生きるのです。

58 私は、あなたがたの先祖が食べた、死を免れないようなめしじゃありません。

私は天から下っためしであり、食べる人はいつまでも生きる・・・」

59 これはカペナウム町のユダヤ集会所シナゴグでイエスが教えたことの1つである。

イエスのもとを離れる人々

60 「こんな難しい道理、誰が受け入れる・・・!!!」

――ザワザワザワザワ――

イエスについて来た人たちの多くがそう言った。

61 自分についてきた人たちがぶつぶつ文句を漏らしていることは、イエスにつつぬけだった。

「この道理に文句があるのですか?

62 そんなことじゃあが天に帰るのを見たらどうなる?

63 私の道理は、魂のめし。魂を元気にする!

身体を養うものは、魂と縁がなく、魂を養うのは、魂!――【神の霊ホーリースピリットのことだ】

64 それなのに、この中には、これを信じることができない人がいる・・・」

イエスは初めから、信じない者がだれで、裏切る者がだれかを、知っていたのだ。

65 「これが、“父さんの助けなしで俺のもとに来ることはできない”と言った理由だ」

66 ついていけないわ・・・

イエスがこれらについて話し終えたころには、大勢のお供が見切りをつけ、行動を共にしなくなった。

67 そして、イエスは十二使徒のほうを向いた――

「おまえたちも行くか?」

68 一番に反応したのはシモン・ペテロ――

「師匠!俺たちがどこに行くってんだ!!!あんた以外に永遠の命エターナルライフへと導くことばはないってーのに!

69 俺たちはあんたを信じてんだ!神に遣われし者だってことも知ってる!」

70 「おまえたち12人を選んだのは俺だ・・・だが、悪魔が1人紛れ込んでいる・・・!!!」

71 このとき、イエスはシモンの子、イスカリオテ出身のユダを指していた。彼は十二使徒の1人だったが、のちにイエスを裏切り、敵の手に引きわたしたのだ・・・

仮庵祭かりいおさい祭りとイエスと兄弟

1 このあと、イエスはガリラヤ地方の村から村へとまわった。

イエス暗殺を企てるユダヤ人指導者たちを懸念し、ユダヤ地方は避けた。

2 ユダヤ人の伝統的な祭りの1つ、仮庵祭かりいおさいが近づいていた――【ユダヤ教三大祭の一つ。ユダヤ人の祖先がエジプトを脱出したとき、荒野に幕屋テントをはって住んでいたことを記念し、仮設の家を建てて泊まり、お祭りした】

3 そこで、イエスの弟たちが持ちかけてきた。

「はやくユダヤ地方のお祭りに行って、そこにいる兄貴の生徒にキセキを見せたらどうだい。

4 有名になりたいなら、こんな隠居なところでやっててどうすんだ。

兄貴がそんなに偉くてすごいんだったら、世界に見せつけたらいいじゃないか!!」

5 こう押しつけがましく言うのも、弟たちでさえイエスを信じていなかったからだ。

6 「まだ俺の時じゃあないが、おまえたちはいつ行ったって平気さ!

7 人の悪行を指摘するから俺は世に憎まれる。だがおまえたちに憎まれる要素はない。

8 行って楽しんでこい!俺は行かない・・・が来てないからな」

9 そう言うとイエスはしばらくガリラヤ地方に残った。

10 イエスの弟たちが祭りに向かったあと、イエスも祭りに行ったが、誰にもばれないように参加していた。

11はどこですか・・・?」

イエスを血眼になって探すユダヤ指導者たち。

12 祭りには、人が山のように集まり、陰でこそこそとだが、どこもイエスの噂で持ちきりだった。

「彼は聖い方です」

という声もあれば、

「いいや、みんな騙されているだけだ」

という声もあった。

13 しかし、ユダヤ指導者たちを恐れ、誰も表立ってうわさする勇気はなかった。

掟を守る?休日サバスの活動は?

14 祭りも半ば折り返したころだった――

イエスは神殿付近でおおやけに教え始めた――【祭りは全部で7日間】

15 ユダヤ指導者は目を見開いた。

「な、なんと!我々のような英才教育を受けていないというのにどうやってここまでの知識を身につけたのでしょう・・・」

16 「私を遣わした神の教えであり、自分で考え出したわけではありません。

17 神が望むとおりに生きたいと願う人は、この教えが私からではなく、神からきていると分かる。

18 自分の意見を見せびらかすなら、褒められたい一心でしかありません。

だが、私を遣わした神の教えに称賛を集めるなら、その人の教えにうそはなく、信頼ができます。

19 モーセに掟を与えられたんじゃあないんですか?

なぜ掟を破る?守っていると言うなら、なぜ私を殺そうとする?」

20 「悪魔に犯されましたか!誰もあなたを殺そうだなんて思っていませんが!」

群衆は強く反応した。

21 「私が休日サバスにひとつ、

キセキを起こすとみんな目の色を変えてましたよ。

22 それにも関わらず、モーセに与えられた掟のひとつ、

割礼かつれい休日サバスに施していますね。

では、必要に応じて掟を破っているのはあなたがたです。

休日サバスなのによく赤ん坊に割礼かつれいしているではないか。

――割礼かつれいは、モーセの先祖から始まったものである――

23 それなら割礼かつれいという掟を守るためなら、休日サバスだって関係ないことになる。ではなぜ、私が休日サバスに人の身体を治したことに腹を立てる?

24 客観的に判断するのはやめなさい。

本当に正しいのは何か、を基準に判断するんだ」

救世主キリストの身元は分からないはず?

25 神殿のみやこエルサレムの住民が口にしていた――

「あれは、ユダヤ指導者が殺そうとしている男だ。

26 でもなぜ、公衆の面前で教えているというのに、放っているんだろう。

もしかしたら、指導者たちも彼が本当に救世主キリストだと認めたんじゃあないのか。

27 だけどさ、本当の救世主キリストはどこから来るかわからないんだぜ。 俺たちは彼の身元を知ってるじゃないか」

28 そこで、神殿で教えていたイエスは大声をあげた――

「そうだ!!あなたがたは私の生まれも、育ちも知っている気でしょう!!だが、私を遣わした方の意志で、私はここに来た!!そして、私を遣わした方についてあなたがたはなにも分かっていません!!

私は彼に送られ遣わされました!!!

29 私は彼の元から来たからこそ、彼を知っているのです!!!」

30 これを聞いた人たちは、頭に血が上り、イエスを捕まえようとした。

だが、だれも指一本触れることができなかった。まだ、神の計画の時ではなかったからだ。

31 そんなこともありながら、より多くの人がイエスが救世主キリストだと信じ、こう言った――

「ありえない、本当に救世主キリストが、この方より多くのキセキを行うと思うか?」――【イエスが救世主キリストで間違いないと言っていたのだ】  

逮捕!いや、逮捕される時ではない?

32 「なに?民衆が?」

この情報がパリサイ派の耳に入った。

祭司とパリサイ派は、イエスを逮捕すべく、神殿警察官を送り出した。

33 ところがその人たちに対しイエスは――

 「まだです。いずれ私を遣わした方のもとへ戻りますが、もうしばらくはあなたがたといる予定です。 34 その時、あなたがたは私を捜しますが、見つけることができません。 また、私のいる所に来ることもできません」

35 このことばに、ユダヤ指導者たちはすっかり面食らいました――

「この男は、いったいどこへ行くつもりでしょう。ユダヤ人が住む、外国にでも雲隠れするのでしょうか。 ひょっとして外国人さえ教えるつもりでは。

36 彼いわく、“私を捜すことになるが、見つけることができない”

また、 “私のいるところに来ることはできない”ですって。 何を意味しているのでしょう?」

イエスから飲む生きた水

37 仮庵祭かりいおさいで最も大切な最終日――

イエスは立ち上がり、祭りにぎわっている民衆に大声で大胆に語りかけた―― 

「だれでも、のどが渇いているなら、私のところへ来て飲みなさい!!!

38 聖書にあるとおり、誰でも私を信じるなら、心から生きた水が川のように流れでる!!!」

39 イエスは神の霊ホーリースピリットのことを言ったのだ。 神の霊ホーリースピリットは、イエスを信じる人すべてに与えられることになっていたが、この時はまだだった。 イエスがまだ、天にある栄光の座に戻っていなかったからだ。しかし、イエスを信じていた人は神の霊ホーリースピリットを受けることを意味していたのだ。

イエスについて別れる意見!

40 イエスのことばを聞いた人は――

「この人は、本当に預言者だ!!!」

41 ある人は――

「この人こそ救世主キリストだ!」

その他は――

「ガリラヤ地方から救世主キリストは現れないよ」

42 聖書には、救世主キリストがダビデの子孫で、ベツレヘム町から誕生するってあるからな」

43 こんなぐあいに、イエスについてあーでもなければこーでもないと意見がわかれた。

44 中には、逮捕したいと思う者さえいたが、手を出すまでには至らなかった。

「信じるものか!」かたくななユダヤ人

45 神殿警察官は祭司とパリサイ派のもとにもどった――

「なぜイエスを連れてこなかったのですかっ!」

46 「あれほどまでに素晴らしいことを言う人に会ったことがありません!」

47 「あなたたちまで騙されたのですか!

48 われわれユダヤ指導者やパリサイ派の中で、あいつを救世主キリストだと信じている者が、1人でもいますか?

49 そりゃあ、無知な連中は頭から信じきってるかもしれませんがね。

あの民衆に掟の何がわかるのですか。バチあたり者めが!」

50 しかし、そこには、あのニコデモの姿が!そう、夜ひそかにイエスを訪ねたユダヤ指導者だ――【ニコデモはパリサイ派であった。聖書:ヨハネ3:1-21を参照】

51 「おことばですが、事情聴取と取り調べも行わずに有罪だと決めるのは、合法的ではありませんな」

52 「さては、あなたもガリラヤ地方出身ですか!聖書をしっかり読みなさい!ガリラヤ地方からモーセのような預言者は生まれません!!!」 ――【聖書:申命記18:15より引用】

53 こうして、一同は散会し、めいめい家に帰ったのだった。

不倫の女

1 そして、イエスはオリーブ山へ戻った。

2 その翌日――

早朝から神殿の境内けいだいにはイエスの姿が。

たちまちその周りに人が押しかけ、黒山くろやまの人だかり。

イエスは腰を下ろし、教えはじめた。

3 その最中に、掟の学者とパリサイ一派が不倫の現場で捕えられた女を引っ立ててきた。 彼らは、あっけにとられて見つめる人々の目の前に、女を突き出した。

4 「先生、この女は不倫の現場でつかまったんですよ。

5 掟では、こういう不届き者は石で打ち殺すことになってますが、どうしたものでしょう」

6 (ふっふっふ)イエスが人の味方であることを知っていた彼らは、イエスに掟に反したことを言わせて訴えるつもりだったのだ。

ところがイエスは、体をかがめ、指で地面に何か書きはじめるだけだった。

7 けれども、彼らは引き下がらない。あくまで問い続けるのだ。

そこで、イエスは、体を起こした――

「わかりました。この女を石で打ち殺しなさい。

だが、最初に石を投げるのは、今まで、一度も、過ちを犯したことのない者ですよ」

8 そして、すぐに体をかがめ、また地面に何かを書き続けた。

9 すると、ユダヤ指導者もパリサイ一派も、ばつが悪そうに、年長者から順に1人、2人と去っていく。

とうとうイエスと女だけが、群衆の前に取り残された。

10 イエスは体を起こすと―― 

「あれ、あなたを訴えた人たちはどこに行った?

あなたを罰する者は1人もいなかったのか」

11 「はい、先生・・・」

彼女はまだ怯えていた。 これから起こることを恐れて。

「そうか、俺もあなたを罰さない。さあ行け!もう二度と罪を犯すんじゃあないぞ!」

イエスが希望である証人は2人

12 すると、先ほどから集まっていた人たちを再度教えはじめた――

「私は世の希望の光。私についてくる人が、闇の中で生きることはない。生命いのちを注ぐ光を手にしているからです・・・!!!」

13 「お断りです。自分の話なんていくらでも盛れます。あなたの話が正しいとあなた以外誰も言っていないのにどこに根拠がある」

パリサイ一派が突っかかった。

14 「ええ、自分の話ですが、私はどこから来て、どこへ行くかを知っているからこそ、保証できる。あなたがたがそう言うのは、私がどこから来て、どこへ行くかを知らないからです。

15 あなたは人の測りで私を位置づけするが、私は誰も位置づけしない。

16 もし、位置づけたとしても、私の評価に狂いはない。

私を遣わした父さんと一緒に判定しているからです。

17 あなたがたが大切にする掟では、2人の証言が一致すれば、事実と認められることになっています。

18 だとしたら、私と私をお遣わしになった父さんで、りっぱに2人の証人がそろいます」

19 「どこに父君がいるのです?」

「私を知らないで父さんを知れるわけがないでしょう。

私を知っていれば、言わずとも父さんを知ることができます」

20 こうした話がなされたのは、神殿の境内けいだいでも献金箱の近くにいたにも関わらず、だれ1人、イエスを逮捕する者はいない。まだ、その時ではなかったからだ。

あなたはだれ?理解に苦しむユダヤ指導者

21 イエスは続けた――

「私はもうすぐ、いなくなります。あなたがたは必死で私を捜しても、結局は、過ちがゆるされないまま死ぬ・・・!!!私が向かう所へは、決して届きません」

22 ユダヤ指導者たちは、思った―― 

「彼が行く所へ私たちは行けない、と・・・はて、この人は自殺でもするつもりですか」

と首をかしげていた。

23 そこでイエスは―― 

「いいですか。あなたがたはここ、下で生まれ、私は上から来ました。 

あなたがたはこの世に属すが、私は違う。

24 あなたがたは、犯した過ちをゆるされずに死ぬ。

そう、であることを信じない限り、有罪のまま死ぬ!!!」――【ここで用いられているとは、旧約聖書で救世主キリストを暗示している。聖書:出エジプト記3:14、イザヤ書41:4、43:10より引用】

25 「では、いったいあなたは誰なのです?」

「私が誰か、初めっから話していますが・・・ 26 あなたたちの汚点あげようと思えばいくらでもできるが、よしておく。私を遣した方から聞いたことしか、人にはしゃべらないので・・・彼は真理しか口にしない」

27 「?」

それでも彼らにはまだ、イエスが神について話していることが分からなかった。

28 「私が引き上げられてはじめて、であると気づくでしょう。そして、私が自分の権限で行動せず、自分の考えで教えたのではなく、すべてが父さんからきたのだと。

29 私を遣わした方が私の味方です。

彼の意志を背負って生きるので、見捨てられることはない」

30 これを聞いて、より多くの人がイエスを信じたのであった。

神の子?悪魔の子?

31 そこで、イエスを信じたユダヤ人に言った――

「あなたがたが私の教えに従いつづけるなら、仲間だと認めよう。

32 あなたがたは真理を悟り、その真理があなたを自由にする!!!」

33 「おことばですが、我らはれっきとしたアブラハムの子孫であり、奴隷におちたことなどない。なぜ自由にするとなどおっしゃるのですか?」

34 「いいや、曲がった生き方をする者は誰でも罪の奴隷だ

35 奴隷は仕えている家族と一生を過ごすことはないが、息子は一生を過ごす。

36 よって、息子が自由にして初めて、自由の身になるのだ!

37 確かに、あなたがたはアブラハムの子孫です。だが、私の教えを受け入れたくないあなたがたは、私を殺したいと思っている。

38 せっかく、父さんかみが見せてくれたことを話してあげても、自分の父に習って生きている」

39 「我らの父はアブラハムですッ!」

「いや、父がアブラハムなら、彼の見本に習います。

40 ところが、どうです。神から聞いた真理を伝えた私を殺そうとしているではありませんか。そんなことアブラハムはしたことがないですよ。

41 つまり、父に習っているのです・・・」

「私たちは、父を知らない家庭に生まれたわけではありません。神様が私たちの唯一の父です!!!」

42 「神があなたの父なら、私を愛します。

神のもとから来たからです。

私の権限ではなく神に遣わされ、今、ここに、いるのですから。

43 私の言うことがわからないのは、受け入れる気がないからです。

44 あなたがたの父は悪魔です。悪魔の子が、悪魔のしたいことを喜んでまねても、不思議ではない。悪魔は初めから人殺しであり、真理を嫌っているのですから。悪魔には真理のかけらもない。うそで、できているのですから。 そう、悪魔はうそつきであり、うその父です。

45 私が真理を語っても、信じないのはそのためです。

46 あなたがたの中で、わたしの罪をたった1つでも指摘できますか?真理を話しているのに、なぜ私を信じない?

47 神の子どもならだれでも、神のことばを受け入れる。

あなたがたが神のことばに聞き従わないのは、神の子どもではないからです・・・!!!」                    

俺が救世主キリスト

48 「いや、あなたが低俗なサマリヤ人でしょう!!

悪魔に犯されて頭がおかしいのでしょう!!

どうです、なにか間違っていますか!!!」

49 「悪魔にかれてませんよ。神を敬う私をなぜ、見下す?

50 敬意をはらってもらいたいとは、思ってませんが、私に敬意をはらってほしいと思っている方はいます。

天地の裁判長です・・・!!!

51 約束しよう、私の教えに従い続ける者が死ぬことはない!!!」

52 「これであなたが悪魔に取りつかれていることがはっきりしました!!!信仰の父アブラハムや偉大な預言者も全員死んだというのに、“私の教えに従う者は死なない”などと、どこの口が言っているのですか!!!

53 我々の父アブラハム様より偉いとでも?!

アブラハム様も預言者も死んだというのにですか!!

いったいあなたは何様だ!!!」 ――【ユダヤ人の信仰の父。アブラハムは信仰者第一号である】

54 「自分に名誉を与えても、なんの価値もありません。 

私に名誉を与えてくれるのは、父さんだというのに、 

あなたがたは呼ばわりしています・・・

55 本当の意味では知らないのに。 

私はよく知っています。 

知らないと言えば、あなたがた同様のうそつきになりますが、知っているのが現実で、彼の意志に従っているまでです。

56 あなたがたの先祖アブラハムは、私が来る日を今か今かと待ちわび、実現した今は大喜びしているところです」

57 「な、なに゙?50才にも満たぬあなたが、アブラハム様を見たとよく言えたものです!!!」

58 「アブラハムが生まれるずっと前からなのだ・・・!!!」

59 堪忍袋の緒が切れたユダヤ人は、イエスを殺そうと石に手を伸ばした。

そうしている間に、イエスはすばやく隠れ、神殿付近から離れた。

生まれつきの盲人が開眼かいがん

1 さて、道を歩いていた時のこと、イエスは生まれつきの盲人が目についた。

2 イエスのお供が尋ねた―― 

「先生、どうしてこの人は、生まれつき目が見えないんだ? 

本人が罪を犯したからか?それとも両親が・・・?」

3 「どっちでもない。生まれつき盲目なのは、神のすばらしさを証明し、神に称賛を集めるためだ。

4 俺を遣わした方に与えられた仕事を、俺たちは“日中”の間に全うしなければならない。“夜”は迫ってきている。そして、“夜”に仕事ができるものはいない。

5 この世に俺がいる限り、希望の光は俺だ・・・!!!」

6 ペッ

イエスは地面にツバを吐き、泥をこねると、盲人の目に塗った。

7 「さあ、シロアムの池に行って、洗い落とすんだ」――【シロアムとは“送られた”という意味があった】

 盲人は言われたとおりにすると、見えるようになって戻って来たではないか!

8 「お、おい!あいつ、いつも座って物乞ものごいしてる盲人か?!」

知人や、近所の人たちはたまげて互いに言った。

9 こちらで“そうだ”と言えば、あちらで“いや、違う”と聞こえる。

「あいつのはずはない。だがよく似てるな!」

と誰もが思った。すると当のこじきは――

「なに言ってんだい。 おいらだよ!!!」

10 人々はあっけにとられた・・・

「いったい全体どうしたんだい!!どうやって見えるようになったんだよ」

誰もがこう矢つぎばやに尋ねた。

11 「イエスという方が、泥をこねて、おいらの目に塗ったのさ。

シロアムの池に行って、泥を洗い落としなさいと言われたんで、そのとおりにすると、見えるようになったんだよ!!!」

12 「その人は今どこにいるんだい!!!」

「さあ」

質問攻め!元盲人とパリサイ派

13 彼らは、その元盲人をパリサイ一派のところへ連れて行った。

14 ところで、この日は、たまたま休日サバスだった――

15 「どれどれ、どうやって見えるようになったのですか?」

「“あの方”がおいらの目に泥を塗り、洗うと見えるようになりやした」

16 これを聞いたパリサイ派のある者は――

「あの人は神に属しませんね。休日サバスの掟を守らないのですから!」

ときめつけ、ある者は――

「おことばですが、罪人にすぎない人間にこんなキセキを行うことはでません」

と意見は真っ二つに分かれた。

17 しかたなく、その盲目だった男に投げかけた――

「では、目を治された本人に聞きましょう。あなたは彼をどうお思いで?」

「彼は神に遣われし預言者ですよ」

18 ユダヤ指導者たちは、未だにこの男が盲目だったことを、どうしても信じられなかったので、とうとう両親まで呼び出した――

19 「この男はあなたの息子なんですね?本当に生まれつき見えなかったのでしたら、どうやって見えるようになったのでしょうか?」

20 「は、は、はい!この子は私たちの息子で、生まれつき目が見えません・・・ 21 ですが、どうして見えるようになったのか、

どなたがこの子の目を治したかは、少しも存じません。 

ど、どうぞ本人から直接お聞きくださいまし。 

自分で答えられる年齢なんですから・・・」

22 こう両親が答えたのはユダヤ指導者を恐れてだった――

“イエスが救世主キリストだ”と言う者は、だれかれ区別なくユダヤ集会所シナゴグから除名されると公表されていたからである。

23 だから、両親は“大人なのだから本人に聞いて”と答えたのだ。

24 ユダヤ指導者たちは、男をもう一度呼びだした――

「いいですか・・・神様のためにも真実を語りなさい!

あやつが悪党だということは調べがついているのですから」

25 「さあ、あの方が悪人かどうかはわかりませんがね。 

これだけは、知ってやす。

見えなかったおいらが!!!」

26 「ならあやつは何をした?どうやってあなたの目を治したのですか?」

27 「さっき答えたじゃないですか!お聞きにならなかったのですか。もう一度聞きたいとは、どういうことでしょう。あの方の弟子にでもなるおつもりで?」

28 「なに゙!!!きさまこそがあいつの弟子のくせに。われわれはモーセの弟子!!! 29 神様はまちがいなく、モーセにお語りになったが、あやつはどこの馬の骨かわかるものですか!!!」

30 「これは驚きました・・・おいらの目を治したのに、あの方がどこから来たか分からないとおっしゃる。 31 神様は罪人に耳を貸さず、その心に従う者だけに耳を傾けることぐらい誰でも知っていることじゃありませんか!

32 世の初めからこのかた、生まれつきの盲人の目を開けた人など、聞いたこともありやせん。

33 神様から遣わされた方でなければ、こんなことは絶対にできません!!!」

34 「このろくでなしめっ!我々を教えようとでもいうのかっ!」

ユダヤ指導者はどなりつけたあげく、ユダヤ集会所シナゴグから男を追い出し、彼の出入りを禁止したのだった。                

開かれる視覚と閉ざされる視覚

35 元盲人の男が集会所シナゴグから追い出されたと聞いたイエスは、彼を探し当てた――

「あなたはを信じるか?」

36 「信じたいッ!!!ですから、それがどなたなのか教えてください!」

37 「もう会ったじゃあないか!あなたと話しているのがだ」

38 「師匠!信じます!!!」

男は頭を下げてイエスを讃えた!

39 「俺はこの世を審査しんさしに来た!

俺は心が盲目になっている人の目を開き、見えると思い込んでいる人を盲目にしに来たのだ!!!」

40 「今なんと?私たちが盲目だとでも言いたいのですか?」

近くにいたパリサイ派の人の耳にはいったのだ。

41 「もしあなたがたが本当に盲目だったら、罪に問われないで済んだでしょうに。 

だが、あくまで何もかもわかっていると言いはる間は、有罪だ・・・!!!」

羊飼いの声を聞きわける羊

1 「羊の囲いの中に、門から入らず、さくを乗り越えて忍び込む者は、強盗に違いありません。

2 羊飼いなら、堂々と門から入って来ます。

3 門番も羊飼いには門を開けてくれます。羊飼いの声を聞くと、羊は回りに駆け寄って来ます。羊飼いは自分の羊の名を一匹一匹呼んで連れ出すのです。

4 羊飼いが先頭に立ち、羊はそのあとについて行きます。羊飼いの声を知っているからです。

5 知らない人にはついて行きません。聞き覚えのない声を聞くと、逃げ出します」

6 聞いていた人たちは、イエスがしたなぞかけの心がさっぱりわからなかった。

羊を死ぬほど愛す羊飼い

7 「私こそが羊の出入りする門です。

8 私より前に来た人はみな、どろぼうか強盗。

本当の羊は、彼らの言うことに耳を貸しませんでした。

9 私はまるで門。この門から入る者は救われます。また、安心して出入りし、必要なものすべてがそこにある。

10 強盗は、盗んだり、殺したり、滅ぼしたりするために来ます。しかし私が来たのは、生命いのちを、あふれるほど豊かに与えるためです。

11 私はまた、良い羊飼いです。良い羊飼いは羊のために人生を捧げます。

12 ただ雇われた人であれば、狼が来るなり、羊のことなど見向きもせず、自分だけ、真っ先に逃げ出します。

羊の持ち主でも、羊飼いでもないからです。

こうして狼は羊にとびかかり、群れを追い散らしてしまうのです。

13 雇い人は、ただ、お金で雇われており、羊になんの想いいれもないので、平気で逃げてしまうのです。

14 私は良い羊飼いであり、自分の羊を知っていますし、羊も私を知っています。

15 父が私を知るように、私も父を知っているのと同じです。

そして私は羊のために人生をささげます。

16 このほかに、別の囲いにも羊がいます。 その羊をも導かなければなりません。やがてその羊も、私の声に注意深く聞き従い、1人の羊飼いのもとに1つの群れとなるのです。

17 私が、再び生命いのちを得るために、生命いのちを差し出すからこそ、父は私を愛しています。

18 だれも私の意に反して、私を殺すことはできません。 

自分から進んで、しかも無償で生命いのちを差し出すのです。

私には、命を捧げる権力、そして生き返る力があるからです。そう父さんに言われました」

19 すると、またもやユダヤ指導者たちの意見が真っ二つに分かれた。

20 ほとんどの人が――

「耳を貸さないでください!あやつは悪魔にりつかれていかれているのですよ!」

と息まいたが、 21 一部の人は――

「いいや、とても悪魔にりつかれた者のことばとは思えませんな。 だいいち、悪魔に盲人の目を治すことはできません!」                   

神に遣われし男への反発!

22 季節は冬――

神殿のみやこエルサレムでは宮清祭ハヌカが始まった――【ユダヤ三大祭の一つ。昔、外国人に乗っ取られ、異教の神を讃える場所にされたエルサレム神殿を、ユダヤ人が取り戻し、神を讃える場所とするために清めたことにちなむ。毎年12月に行われる祭である】

23 エルサレム神殿・ソロモンの回廊にいたイエス――【ソロモンの回廊は神殿の一部。12mにもなる立派な柱が685本そびえ立ち、廊下の長さは500mにもなる】

24 ユダヤ指導者たちが絡み、イエスのまわりを取り囲んだ―― 

「いつまで気をもませるつもりです?キリスト様なら、はっきりそう言ったらいいでしょう」

25 「そのことだったら、もう話しましたが、信じませんでした。 

父の権力で何度もキセキを行なったでしょう。このキセキが十分私を物語っています。

26 それでも、あなたがたは私を信じません。私の羊の群れに属していないからです。

27 私の羊は私の声を聞き分けます。私は彼らを知っているし、彼らも私にはついて来ます。

28 私の羊に永遠の命エターナルライフを与えるので、絶対に死にません。私の手の内にいる限り、だれも私の手から彼らを奪うことはできません。

29 誰よりも偉い父さんが私にくれた群れなのですから。  

誰にも私の羊を父さんの手からさらうことはできません。

30 父さんと私は1つです・・・!!!」

31 ユダヤ指導者はまた、イエスを殺そうと石に手を伸ばした。

32 だが、その前にイエスが口を開いた――

「あなたがたが目にした、私のすばらしい行いすべては父さんの力。父さんが行ったすばらしい出来事のどれを見て、私を殺そうと思うのですか?」

33 「なにも良い行ないを責めてるわけではない!!!

神様を侮辱したからです!ただの人間のくせして、神同等とぬかしおって!!!」

34 「あなたがたの大切にしている掟の中で、

”𝄞あなたがたは神々である” ――【聖書:詩篇82:6より引用】

と神が言っているではないですか。

35 誤りのない聖書が、神のことばを受けた人々を表して神々と呼んでいますが。

36 とすれば、なぜ私が“神の子である”と言って冒涜したと責めるのですか? 私は神に選ばれ、この世に送られた者。

37 父さんの意志を私が実行していないなら、

私を信じなくてかまいません。

38 だが、もし私が父さんの意志を実行しているなら、私がすることなすことを信じるべきです。

私を信じられなくとも、私がなすことを信じるべきだ。

そうすれば、父が私の中にいて、私が父の中にいることが分かるでしょう」

39 彼らが、またも逮捕しかねない勢いなので、イエスはうまくその場を切り抜け、エルサレムをあとにした――

40 その後、ヨルダン川を渡り、洗礼者バプティストヨハネが洗礼バプテスマを授け始めたあたりに滞在した。

41 ここでも、大勢の人が、あとからあとからイエスを訪問しにきた。

「ヨハネは一切キセキを行なわなかったが、ヨハネがこの方について話したことは、何もかもそのとおりになった!!!」

42 こうして、さらに多くの人が、イエスこそ救世主キリストだと信じるようになったのだった。

ラザロの死

1 あるところに病気を抱えたラザロという男がいた。

それは、例のマルタ、マリヤ姉妹が住むベタニヤ村だ。

2 マリヤはイエスの足に高価な香油を注ぎ、それを髪でぬぐった例の婦人だ。さて、病気になったラザロは、このマリヤの兄弟なのだ。

3 そこで、マリヤとマルタはイエスに使いを送った――

「師匠、あなたが目をかけたラザロが重い病気にかかっています」

4 「この病気は、ラザロが死んで終わりとはいかない!

神に栄光を返すために起きているのだから。

そして、それは神の子への栄光とつながるのだ!」

5 イエスは、マルタとその妹、そしてラザロを心から愛していた。

6 イエスが滞在先を発つと思いきや、もう2日間滞在した。

7 2日たつとイエスはお供に声をかけた――

「ユダヤ地方に戻るぞ」

8 「おっ、おい、先生!本気で言ってるのか?ついこの前、ユダヤ指導者に石で打ち殺されそうになったばかりだぞ?」

9 「日は12時間でている。そうだろ!

日中に歩けば、世の明かりで、つまずき、倒れることもない。

10 ところが夜は違う。夜まで待てば、つまずいてしまう。

明かりなしで歩くからだ」

11 「友達のラザロが眠っているんだ、起こしてやらないとな!」

12 「でも師匠!眠れるなら、よくなるんじゃ・・・」

13 このとき、イエスが本当の意味でラザロが眠っていると言ったのかと思っていた仲間たち。だが、イエスはラザロの死を意味していた。

14 「ラザロは死んだよ」

今度は率直そっちょくに。

15 「その場に居合わせなくてよかった・・・よかったな、おまえたち!これでおまえたちは私を信じるようになる。さあ、行くぞ!」

16 「問答無用、俺たちも行くぞ!そこでイエスと死のうじゃあないか!」

ここで、双子のトマスが仲間の士気をあげた。

蘇りを信じる!マルタとマリヤ姉妹

17 ベタニヤ村――

一行がベタニヤ村に着いてみると、もう手遅れだった。ラザロはすでに墓に葬られ、4日もたっていた。

18 ベタニヤ村は神殿のみやこエルサレムから3キロ程しか離れていなかった。

19 ユダヤ人たちが大勢、お悔やみに詰めかけていた。 

マルタとマリヤがなぐさめられているところだった。

20 イエスが訪問していることを知らされた。

マルタはそれを聞くと、取る物も取らず、迎えに駆けつけた。

ところが、マリヤは家の中にじっと座ったままだった。

21 「師匠!あなたさえいたなら、ラザロは死なずにすんだのに。

22 いや、でも今からでさえあなたの願いでしたら、神様はなんでもしてくれる!」

23 「ああ、ラザロは生き返る・・・!!!」

24 「はい、この世が終わる日には、必ずすべての人がよみがえるんだもんね」

25 「俺が、蘇りであり、生命いのちだ。俺を信じる者は、たとえ死んでも、生き返る。 26 俺を信じて生きるなら、本当の意味では死なない。マルタ、これを信じるか?」

27 「うん!師匠こそが、この世に来ると約束された救世主キリストであり、神の子!!!」

マリヤの涙にイエスの心がうなる

28 マルタは、家に戻り、マリヤをわきへ呼んで耳うちした―― 

「先生が来て、あんたに会いたいって!」

29 ――すたッ!

聞くやいなや、すぐにイエスのもとへと向かったマリヤ・・・

30 さて、イエスはまだ村に入らず、マルタが出迎えた場所で待っていた。

31 マリヤをなぐさめていたユダヤ人たちは、彼女がそそくさと出て行くのを見て、きっと墓へ泣きに行くのだろうと思って、なぐさめようとあとについて行った。

32 マリヤは、イエスのところまで来ると、くずれるように足もとにひれ伏した。 

「ぐすっ、ああ師匠さえいてくれたら、ラザロは、ラザロはまだ生きていたのに・・・」

33 イエスは、目の前でマリヤが泣き伏し、彼女の身内もいっしょに嘆き悲しんでいるのを見て心がうなった。

34 ――「ラザロをどこに置いた?」

「こちらです・・・」

35 イエスの目に涙があふれだした。

36 「見ろ!心底ラザロを愛しておられたんだ」

イエスの涙を見て、そんな風に言うユダヤ人もいれば、

37 「盲人の目を開けることができたイエスは、もっと早く来てラザロを生かしておくことはできなかったのかね」

と、ひがみを言うユダヤ人もいた。

ラザロ復活!

38 心うねるイエスは、墓に着いた。それは洞窟式の墓で、入口は円盤状の大きい石で閉じられている。

39 「石をどけるんだ」

イエスが人々をうながすと、

「で、でも!もうひどい臭いがしますよ!弟が死んでから4日もたってるのですから」

と、あわてて押しとどめるマルタ。

40 「忘れたかい?信じるなら、神の偉大さを目の当たりにすると言ったのを」

41 人々は言われるままに石を取りのけた。イエスは天を見上げると――

父さんよ。願いを聞いてくれてありがとう。

42 もちろん、いつも聞いてくれることはわかっている。

ただ、ここに立っているみんなにも分かるようにこう言っている。

あなたが俺を遣わしてくれたと、信じてもらいたいからだ」

43 ――「ラザロ!!!出てこいッ!!!」

イエスは大きな声で命じた。

44 な、な、なんと!!!布でぐるぐる巻かれたミイラ状態のまま、ラザロが出て来たではないか!顔も布で包まれたまま・・・

人々はあっけにとられていると――

「さあ早く布をほどいて自由にしろ!」

イエス逮捕の令状

45 多くのユダヤ人がマリヤを訪問していたため、これを見てその多くが、イエスを信じるようになった!

46 しかし――

「何の用ですか?」

「実は例の男が・・・」

「なにぃ・・・」

パリサイ派たちのところへ行き、事細かに、このことを報告する者たちもいた。

47 そこで、祭司やパリサイ派は、この“問題”を協議するため、さっそく議会を召集した。これはたいへんな議論になった。 

「どうしましょう?あの男がたくさんのキセキを行っております。

48 野放しにすれば、国民が一人残らずあの男を信じるようになりますぞ。 

そんなことにでもなったら、ローマ軍が踏み込み、神殿とユダヤ政府を乗っ取られますぞ・・・」

49 すると、その年のユダヤ最大権力者、大祭司カヤパが口を開いた――

「みなさんは能無しですか! 50 全国民が滅びるより、あの男1人に死んでもらった方がいいに決まってるではないですか。こんなこともわからないだなんて」

51 イエスが全国民の代わりに死ぬことを、ほかでもない大祭司カヤパが預言したのだった。大祭司カヤパが考えだしたのではなく、無意識に神の霊ホーリースピリットに導かれたのだ。

52 これは、イエスが、ユダヤ地方ばかりか、世界中に散らされているすべての神の子たちのためにも死んでくれるというお告げだったのだ。

53 この時から、ユダヤ指導者たちは、イエスを殺す、うまい計画を知恵をふり絞って練り始めた。

54 そんなこともあって、イエスはおおっぴらに活動するのをやめ、神殿のみやこエルサレムをあとにした。

そして、荒野に近いエフライム村で、しばらく仲間たちと身を潜めた。

55 あと少しでユダヤ地方の過越祭すぎこしさいという時――

世界中のユダヤ人が神殿のみやこエルサレムに集まってきた。 

みな祭りの始まる前に清めの儀式をすませようと、数日前には着くように出かけて来るのだ。

56 世界中のユダヤ人がこの祭りを機会にイエスと会いたがっていた。

神殿のあちこちでは、

「イエスは祭りに来ると思います?」

と、しきりにうわさし合う声が聞こえる。

57 一方、祭司やパリサイ派は令状をだしていた。 

――逮捕のため、イエスを見かけた者は直ちに届け出よ――           

イエスの埋葬を整えるマリヤ

1 過越祭すぎこしさいの6日前――

イエスが生き返らせたラザロがいるベタニヤ村に着いた。

2 「イエスが来たぞ!宴だー!!!」

さっそく夕食会が用意された。マルタは給仕に当たり、ラザロはイエスといっしょに食卓に着いていた。

3 そこへマリヤが、500mLの香油のつぼを手に、入って来た。

それは、ナルドから作った純粋な香油で、とっても高価なものだ。

マリヤはイエスのそばに歩み寄ると、その香油をイエスの足に注ぐではないか! 

それから、ていねいに髪でぬぐうと、たちまち家中にすばらしい香りがたちこめた――【ナルドの香油:ナルドという植物から作った香油。インドの山地から輸入された高価なものとして知られていた】

4 ところが、仲間の1人、イエスを裏切ろうとしていたイスカリオテのユダが不満げな顔で、これに強く反応した――

5 「おいおい!その香油は年給に値するぞ!売って、貧しい人たちに恵んでやればよかったのに。かーもったいない!」

6 ユダがこう言ったのは、貧しい人を思ってではなかった・・・

仲間の会計係を担当していた彼は、ちょくちょくねこばばしており、金目的だったのだ。

7 「彼女を止めるな!今日この日のためにとっておいて正解だ。マリヤは、俺の埋葬まいそうの準備をしてくれたのだ・・・!!!

8 貧しい人たちは、いつも近くにいて、いつでも助けてあげられる。だが、わたしはもう、それほど長くいっしょにはいられない」     

祭司たちのラザロ殺害計画

9 「おいっ!聞いたか!あのイエスが、ベタニヤ村にいるらしいぞ!」

エルサレムの市民は、イエスがいると聞いて、どっとラザロの家に押しかけた。 

イエスに会うためばかりか、一度死んで生き返ったラザロを、一目見たいと思ったからだ。

10 これには、祭司たちも頭をかかえ込み、いっそのことラザロも殺そうと計画しはじめるではないか・・・

11 ラザロに起きたことが理由で、大ぜいのユダヤ人が、ユダヤ指導者の宗派を脱退し、イエスに従うようになったからだ。  

権力者にも止められないイエス

12 翌日――

過越祭すぎこしさいのために、神殿のみやこエルサレムに集まっていた多くのユダヤ人たち。イエスがここ、神殿のみやこエルサレムに来るということを聞き、 13 ヤシの木の枝を持って、イエスを王として歓迎するために出て来た――【ヤシの木の枝は軍の勝利を讃えてふるものだった】

彼らは迎えながら声を上げた――

バンザ~イ!神に栄光あれェ~♪

我が君の名によって来られる方にさちあれェ~♪

今こそ、その王国が建ちあがる!天の神に栄光あれェ~!

えい、そら、わっしょい!!――【聖書:詩篇118: 25-26より引用】

14 旧約聖書にあるとおり、子供のロバを見つけ、それにまたがったイエス――

15 シオンのみやこよ、恐れるな

見よ!おまえの王が来た

彼は子ロバに乗ってやってくる――【聖書:ゼカリヤ書9:9より引用】

16 この時、仲間たちはまだ、この出来事が預言どおりに起こっていたとは思ってもいなかった。

イエスが栄光に満ちて天にのぼったあと、この出来事が聖書の預言どおりだったことに気づいたのだった。

17 群衆の中には、イエスがラザロを生き返らせた現場を目撃した人たちの顔も多々あった。彼らは事件の一部始終をふれ回っていた。

18 こんなに大ぜいの人がイエスを出迎えたのも、実を言えば、そのすばらしいキセキのことを聞いたからだったのだ。彼らはこれを神がイエスとともに働く確かなと見ていた。

19 この有様に、パリサイ一派は、とうとうを起こした。 

「なんてことだっ!!!我らの計画は失敗だ・・・

見なさい!みんな、あの男について行った!」

1つの種から生まれる多くの生命いのち

20 神殿のみやこエルサレム――

過越祭すぎこしさいにはギリシャ人やユダヤ人以外の人も祝いに来ていた。

21 彼らはガリラヤ地方ベツサイダ村出身のピリポのところへ来て、

「ぜひともイエス様にお会いしたいのですが」

と頼み込みこんだ。

22 ピリポはまず、アンデレにそのことを話し、2人でお願いしようということになった。

23 「いよいよ、が栄光に輝くときがきた!!!

24 畑にまかれる1粒の種のように、俺も地に落ちて死ななければならない。 

そうしなければ、いつまでたっても、1人のまま、1粒の種のままだ。 

だが、死ねば、多くの新しい実が生じ、新しい生命いのちが豊かに実を結ぶことになる。

25 誰でも自分の人生を自分の為に生きようものなら

だが俺のために人生を捧げる者は、人生を!!!

そう、永遠の命エターナルライフを手にするのだ!!!

26 誰でも、俺に仕えたいなら、ついて来い!ああ、俺の家来は、いつでもどこでも俺と行動を共にしなければならない!!俺に仕える人に“父さんが”花を持たせてくれる・・・!!!」

天から響く神の声

27 「だが、今いったい、俺はどうしたらいいか・・・ 

父さん、 行く手に待ちかまえる苦難から救ってくれと祈るべきか。 

違う、この苦難をくぐるためにこそ、俺は来た!!!

28 父さん、なんであれ、さらなる称賛があなたに集まる方向に」

「――既に私の栄光を示した。今一度示そう――」

29 この声を聞いた群衆はかってに想像をめぐらし、

「雷が鳴ったのだ」

と思う者もあれば、

「天使が語りかけたのだ」

と言いはる者もいるというしまつだった。

30 「この声が聞こえたのは、俺のためではなく、おまえたちのためだ。

31 さばきの時が来ている。この世の支配者悪魔王サタンは追放される。

32 俺が上げられた時、すべての人を俺に引き寄せよう」

33 イエスは自身の死にざまを暗示したのだ。

34 「あなたが死ぬですって?救世主キリストは絶対に死なないと聖書にあるじゃあないですか!なぜが天にあげられなければならないなどと言うのですか?いったいとは誰のことですか?」

35 「もうほんのしばらくの間、があなたと共にいる。 

明るい間に歩くのだ。そうすれば闇が追いつくことはない。 

闇を歩むものに行き先は見当たらない。

36 光がある間に光を頼りにし、できるだけ信頼を築くのだ。 

そうすれば、光に属すことができる!!」

この話しを終えたとき、イエスは誰にも見つからぬように身を隠した。        

イエスを信じても従えない人

37 イエスがあれほど多くのキセキをしたにもかかわらず、大部分の人は、イエスを救世主キリストとは信じなかった。

38 それは旧約聖書の預言者イザヤのお告げが実現するためだった――

主君よ。彼らに語った時、だれが、我々のことばを信じたか

誰があなたの力を本当に目の当たりにしたか――【聖書イザヤ書53:1より引用】

39 人が信じられなかったことについて、預言者イザヤはこうも言っている。

40 神は彼らの目から光を奪い、彼らの頭を閉ざした。

目には明らかではなく、頭では理解できないように。

もし、悟ったなら、私のもとへ来る。

そうしたら、癒してあげよう――【聖書:イザヤ書6:10より引用】

41 預言者イザヤは、イエスにある圧倒的で究極の栄光を見たから、お告げをしたのだ。

42 実際、大勢の人がイエスを“信じ”はした。

その中にはたくさんのユダヤ指導者もいた。 

ただ、パリサイ派にユダヤ集会所シナゴグから除名されるのを恐れて、そのことを打ち明ける気にまでなれず、密かに信じていたのだ。

43 神に好かれる以上に、人に好かれたかったのだ。

イエスの教え

44 おおやけの場で大胆不敵に話しはじめたイエス――

「私を信じて従う者は、私を遣わした神を者だ!!!

45 私を見た人は、私を遣わされた神を見たからだ!!!

46 私は、この暗い世に輝く希望の光として来た!

暗やみでさまよっている人が、私を信じることで闇から解放されるためだ!!!

47 私は、良し悪しをさばくためではなく、救いに来た!!!

だから私のことばを聞きながら従わない人がいても、彼らの過ちをとがめるのは私ではない。

48 だが、俺を信じることを拒み、俺のことばを受け入れない人は、最後の審判ファイナルジャッジメントの日に、俺のメッセージに基づいて神の鉄槌てっついが下る。

49 なぜなら、このメッセージが私が考え出したことではなく、父さんに言われたことを伝えたからだ。私の一言一句が父さんのことばだ!!!

50 父さんの言うことがみなさんに永遠の命エターナルライフをもたらすことを確信しているから、 父さんに言われたとおりのことを言うのだ!!!」         

最も偉い方が人の足を洗う

1 過越祭すぎこしさいの前に、イエスは、いよいよ、この世を去って父のもとに帰る最後の時が来たと覚悟を決め、仲間たちを最後まで徹底的に愛した。

2 夕食の間―― 

悪魔はすでに、シモンの子、イスカリオテのユダに、今夜こそ、かねてからの計画を実行に移す絶好の時だという考えを、吹き込んでいた。

3 イエスは、父なる神が自分をすべての万物の上に立たされたことを知っていた。また、自分が神のもとから来て、神のもとに帰ろうとしていることも知っていた。それらすべてを知ったうえで、 4 イエスは夕食の席からゆっくり立ち上がり、上着を脱ぎ、手ぬぐいを取って腰に巻いた。

5 そして、たらいに水を入れて何をするかと思えば、弟子たち1人1人の足を洗い、腰の手ぬぐいでふき始めるではないか!――【これは最も身分の低い召使いの仕事として知られていた】

6 シモン・ペテロの番になった。 岩のペテロは言った―― 

「なぜだ師匠!俺の足を洗うだなんて!」

7 「今はわからないだろうが、分かるときがくる」

8 「わからなくて結構!そんな、俺にはもったいないことさせるわけにはいかない!!」

「俺が足を洗わなければ、俺の仲間じゃあない」

9 「そ、それなら、足だけと言わず、手も、それに頭も!!」

これには、ペテロもすっかりあわてて叫んだ。

10 「風呂に入った者は、足だけ洗えば、全身きれいになる。

おまえはきれいだが、みんながみんなではない・・・」

11 イエスは、だれが裏切り者かとお見通しだったので、

“みんながみんな、きれいではない”と言った。

12 仲間たちの足を洗い終えると、また上着をきて、席に戻り、改めて尋ねた―― 

「俺が今したことがわかるか。

13 おまえたちは俺をともとも呼ぶ。それはかまわない。

そのとおりなのだから。

14 その、主君でも先生でもある俺が足を洗ってあげたんだ、おまえたちも互いに足を洗い合うのだ。

15 俺は模範を示した。俺がしたとおりにするのだ。

16 使用人は主君より偉くなく、遣わした主君より使者のほうが偉いということもない。

17 わかったなら、実行しろ!これこそが祝福の道なのだから。

18 おまえたち全員に、言っているわけではない。おまえたちを選んだのは、この俺なのだから、一人一人がどんな人間かよく知っている。

だが、

“俺と同じかまの飯を食う者が、俺を裏切る”

とある聖書のことばは実現しなければならない・・・

19 起きる前に話しておこう。その時になれば、であると信じられるように。

20 約束しよう、俺が遣わす者を心から受け入れる人はだれでも、俺を受け入れたのだ。 そして、俺を心から受け入れることは、俺を遣わした父さんを受け入れるのだ・・・!!!」

裏切り者はいったい?

21 ここでイエスは、込み上げる悲しみに襲われた――

「残念ながら事実だ・・・おまえたちの1人が俺を裏切る・・・!!!」

22 仲間たちは、だれのことか見当もつかない。きょとんとして顔を見合わせるばかりだった。

23 ところで仲間の1人がイエスの胸によりかかっていた。彼はイエスがとても愛している男だ――【筆者でもある使徒ヨハネが自分について言っているのだ】

24 だからか、シモン・ペテロが隣の人に、こっそりだれか聞いてくれと合図してきた。

25 そこで彼は、イエスの耳まで近寄った。

「師匠、だれがそんなことを?」

26 「今から俺がこのパンをスープにひたし、あげる者がそうだ・・・」

イエスはパンをひたすと・・・

「!」

シモンの子、イスカリオテのユダに与えた!

27 ユダがそのパンを手にした途端に、悪魔王サタンがユダの心に入り込んだ・・・

そこで、イエスはユダを見た――

「やるならとっととやりなさい!」

28 食卓に着いているほかの仲間は何のことやら、さっぱりわからなかった。

29 ユダが一味の会計係だったので、おおかた、食べ物の代金の支払いか、貧しい人に金を恵んでくることぐらいだろう、と思っていた。

30 イエスカリオテのユダは、わたされたパンを食べると、ぱっと席を立ち、夜の闇に飛び出して行った。

授けられる新たなる指令

31 ユダが姿を消してすぐだった―― 

が栄光に輝く時が来た!の身に起こることをとおして神に称賛が集まる!

32 を通して栄光に輝く神は、に花を持たせてくれる。

33 息子たちよ、ともに過ごせるのも残りわずかとなった。

おまえたちは俺を捜すが、ユダヤ指導者にも言ったように、おまえたちが俺の行く場所に来ることはできない・・・

34 そこで、新しいめいを授ける。 

――俺がおまえたちを愛したように、互いを愛せ――

35 、誰が見ても俺の弟子だと分かる!!!」

ニワトリが三度鳴く前に・・・

36 さっそく、シモン・ペテロが尋ねた―― 

「師匠、いったい、どこへ!」

「今は、おまえがついて来れない場所だ。後になったら来るがな」

37 「だが師匠、なぜ今ついてっちゃいけない?あなたのためなら死ぬ覚悟だ!」

38 「本当に俺のために死ねるか?おまえは朝のニワトリが鳴く前に、三度、俺を知らないと言いはるのが現実だ・・・!!!」

仲間の心の準備をさせるイエス

1 「なにがあっても、あわてるな!俺を信頼し、神に任せろ!

2 父さんの家にはたっくさんの部屋がある!! 

うそなら言わない。俺はそこへ、おまえたちの居場所を用意しに行くんだ!!

3 用意ができたら、迎えに来る!俺が住む場所へ、ともに住むためだ!!

4 おまえたちはすでに、俺が行く場所への道を知っている」

5 「えっ、師匠の行き先もわからないのに、どうやってその道がわかるって言うんだ?」

反応したのは、トマス。

6 「真理と生命いのちである、俺が道だ!!! 

俺を通らずして、父さんのもとに行けるものはいない!!!

7 俺を知ったからには、父さんを知った。いま、目にしているのだから」――【神のもととは、天国である】

8 「師匠の父さんを見せてくれ!俺たちはそれだけで十分だ!」

ピリポが口をはさんだ。

9 「俺のお供であるおまえたちとこんなにも長くいたんだ。

だからピリポ、おまえは俺が誰だか知っている。

俺を見た者は、父さんを見たからだ!!!

それなのに父さんを見せてくれとはなにごとだ。

10 父さんの中に俺がいて、俺の中に父さんがいることを信じられないか?いいか、俺が教えたことは、俺が考えだしたわけじゃあない。 

俺の中に住む父さんが、俺をとおして働いているのだ・・・!!!」

11 父さんの中に俺がいて、俺の中に父さんがいると、言うのだから信じろ!これで物足りないなら、俺が見せたキセキを思えば、信じられるはずだ。

12 約束しよう、俺を信じる者はだれでも、俺と同じキセキを行なうばかりか、それ以上のキセキさえ行なう!俺が父さんのもとに行くからだ。

13 俺の名によって願い求めるものはなんでも叶えよう! 

子をとおして父さんは称賛の的になる。

14 叶えてやろう!俺の名によって願うのなら、なんでも!!!」  

神の霊ホーリースピリットの約束

15 「俺を愛するなら、俺の意志を継ぐ。

16 おれが父さんに頼むから、父さんはもう1人の助け主を送ってくれる。

彼は、おまえたちを決して離れず、永遠の助け主となる!

17 助け主とは、すべての真理へと導いてくれる神の霊ホーリースピリット

世に属す人間は、彼を見たことがなければ、知りもしないため、彼を認めようとしない。 

だが、おまえたちは彼を知っている。彼はおまえたちと共に住んでおり、おまえたちの内に住んでくれる。

18 俺はおまえたちを見捨てたり、孤児のように1人にしない。 

必ずおまえたちのもとへ帰ってくる。

19 もうすぐ、俺はこの世を去るが、おまえたちとはいっしょだ。

俺が生きるがゆえに、おまえたちは生きる!

20 俺が復活する時、おまえたちは、父さんの中に俺がいて、俺の中におまえたちがいて、またおまえたちの中に俺がいることがわかるようになる!

21 俺を上辺ではなく真に愛するものは、俺のことばを知っているだけでなく、俺のことばに従う。こんな人を父さんも俺も愛す。そして、彼らには俺の存在を現わそう」

22 「師匠、世の人間には姿を現さず、どうやって俺たちにだけ姿を現わすっていうんだ?」

そう尋ねるは、ユダ――【イスカリオテのユダではなく、ヤコブの息子ユダである】

23 「俺を愛す人は俺の意志を継ぐ。そんな人に父さんは微笑む。

そんな人のところに父さんと俺は行き、いっしょに住む。

24 逆に俺を愛さない人が俺の意志をつぐことはない。

俺は、自分で考え出したことを話しているわけじゃあない。 

俺を遣わした父さんが教えてくれたことを話しているのだ。

25 おまえたちといっしょにいる間に、これらについて教えたが、

26 今度は助け主がすべてを教えてくれ、俺が話しておいたことを思い出させてくれる。 この助け主とは、父さんが俺の名によって送る、神の霊ホーリースピリットだ!!

27 おまえたちには、俺にしかない“安心”を授けよう。

俺が与える安心は、世が与えるとは比べものにならない。

だから、焦るな。恐れるな。

28 “俺は行くが、また戻る”と言ったのを覚えているだろうが、 

俺をほんとうに愛しているなら、俺が父さんのもとへ行くことを喜ぶはずだ。

父さんは俺より偉いからだ!

29 俺がこの先のことを前もって話しておいたのは、

それが起きたときに、おまえたちに確信してもらうためだ。

30 もう、あまり多くを語る時間もない。 

この世の支配者がもうすぐ来る。

彼らに俺を統べる力はない。

31 だが、俺が父さんを愛すがゆえに、その意志を全うするのを、世に知らしめる必要がある!!!

さあ、出かけるぞ」

イエスがぶどうの木。人は枝

1 「俺はほんとうのぶどうの木、俺の父さんはぶどう園の農夫。

2 父さんは、実のならない枝をみな切り落とし、実のなる枝は、もっとたくさんなるように、余分な枝を刈り込んで整理する。

3 父さんはいっそう強く、役立つ者にしようと、すでに、おまえたちの枝を整理してくれた。俺が与えた命令という、枝切りばさみを使って、きれいに手入れをすましたのだ。

4 俺のうちに生きるよう心がけろ。また俺が、おまえたちのうちに生きられるようにするんだ。枝はみきにつながっていなければ、実を結べないのと同じようにおまえたちも、俺から離れたら、実を結ぶことなどできない。

5 そう、俺がぶどうの木で、おまえたちはその枝なのだ。 

人が俺のうちに生き、俺もその人のうちに生きていれば、その人は実をいっぱい結ぶ。俺を離れては何もできない。

6 俺から離れる者はだれでも、役に立たない枝のように投げ捨てられ、枯れてしまう。最後には、ほかの枝といっしょに積み上げられ、焼かれてしまうのだ。

7 もし、俺のうちにとどまり、俺の命令に従うなら、何でも求めろ!必ず叶えられる。

8 実をいっぱい結び、俺の弟子であることを証明しろ! 

そうすれば、父さんにもっと称賛が集まる。

9 父さんが俺を愛してくれたように、俺もおまえたちを愛した。

俺の愛のうちに生きるのだ!

10 俺のめいを守るなら、俺の愛の中で生きることができる! 

俺が父さんめいを守り、父さんの愛の中で生きるように!

11 このことを話したのは、あふれる喜びを共に味わいたいからだ。

12 俺の命令は、

――俺が愛したように、愛し合う――

13 同志のために命を投げ出す以上の愛はない!

14 俺の命令に従うなら、俺の同志。

15 これからはおまえたちを使用人とは呼ばない。 

主君は使用人に秘密を打ち明けたりはしないからだ。

俺は、父さんから聞いたことをすべて打ち明けたんだ・・・

これからはおまえたちを同志と呼ぼう!!!

16 おまえたちが俺を選んだのではない。 

俺が、おまえたちを選んだのだ!そして任命した。 

だから、おまえたちは行って、いつまでも残る、すばらしい実を結ぶ。 

また、俺の名を使って父さんに求めるものは、何でも叶えられる。

17 念を押そう!俺が下した命令は、互いを愛すことだ」

この世界、それともイエス、どちらに属する者になる?

18 「おまえたちは、世間の人にひどく憎まれるからだ。 

だが、忘れてはいけない。おまえたちより先に、俺が憎まれたのだから。

19 おまえたちが彼らと一つ穴のむじなであったら、世間も、おまえたちを愛しただろう。だが、そうではない。 

俺が、自分で選び、世間から連れ出したのだ。だからこそ、世間はおまえたちを憎むのだ。

20 “使用人は主君より偉くはない”と言ったのを、覚えているだろう。 

俺を迫害した人たちが、おまえたちを迫害して、何の不思議がある。 

しごく当然のことだ。俺の言うことを聞く人なら、おまえたちの言うことも聞く。

21 世間の人は、俺の仲間だというだけで、あなたがたを迫害する。 

俺を遣わした神を、全く知らないからだ。

22 俺が来て、何も話さなかったのであれば、彼らは無罪だ。

だが今はもう、罪の言いわけは許されない。

23 だれでも俺を憎む者は、俺の父さんをも憎む。

24 俺があれほどのキセキを行なわなかったのであれば、彼らは有罪と宣告されることもなかっただろう。 

だが実際は、キセキをはっきり見たにもかかわらず、俺を憎み、俺の父さんを憎んだ。

25 こうして、“彼らは理由もなく、わたしを憎んだ”という、救世主キリストについての預言は、そのとおり実現したのだ。

26 だが、俺はおまえたちに、助け主、すなわち、すべての真理の根源である神の霊ホーリースピリットを遣わそう。 

彼は、父のもとから来て、俺のことを、何から何まで教えてくれる。 

27 おまえたちもまた、俺のことをすべての人に語らなければならない。 

初めから、俺と一緒にいたからだ」

試練に向けた心の準備

1 「これを話したのは、おまえたちにこれからどんな局面があろうとも、その確信が奪われないためだ!

2 覚悟しろ。ユダヤ集会所シナゴグから除名され、いのちまでつけねらわれる身になるからだ。事実、おまえたちを殺すことで、神への奉仕を果たすのだと、とんでもない思い違いをする時が来る。

3 父さんをも、俺をも知らない人がやりそうなことだ。

4 いいか、おまえたちの心を備えるために言ってるんだ。これらのことが起きたとき、俺の忠告を思い起こせるように」

神の霊ホーリースピリットの働き

「今までおまえたちから離れることについて一切口にしなかったのは、まだもう少し共にいなければいけなかったからだ。しかし、今離れるべき時が来た。

5 だが今は、俺を遣わした神のもとに行かなければならない。 

それでもおまえたちは、俺が何のためにそこへ行くのか、知りたくないようだ。 

だれ1人、どこに行くのか尋ねもしないではないか。

6 ただもう、俺の話を聞いて、悲しみで胸が張り裂けんばかりなのだろう。

7 だがほんとうは、俺が行くのは、おまえたちにとって最高なことなのだ。 

俺が行かなければ、助け主は来ない。 

行けば、必ずくる。それというのも、俺が、彼を遣わすからだ。 だから、励まされるんだ!

8 助け主が来ると、世間の過ちを認めさせる。だれが有罪であり、だれが神に認められ、だれが、神の裁きを受けるかを教えてくれる。

9 俺を信じないがゆえに、彼らが罪人であることを助け主が自覚させる。

10 神に認められた者が誰なのか、彼らの推測がまちがっていたことを助け主が思い知らせてくれる。

認められた者が俺であることは明白。 なぜなら、俺が父さんのもとに行くからだ・・・!!!その時になったら、誰も俺を見ることはない。

11 また、そんな罪人に助け主は、 裁かれるべきなのが、ほんとうはだれなのかを明らかにする。

さばきから救われるのは、この世の支配者がすでにさばかれたからだ。

そう、実際彼らの王は、すでに裁かれた――【悪魔王サタンのことだ】

12 ああ、話しておきたいことは、まだまだ、たくさんある。

それなのに、今のおまえたちには、理解できないことばかり・・・。

13 だが、真理である神の霊ホーリースピリットが来る。 

彼の指導を受けて、おまえたちもいつか、すべての真理を知る。 

神の霊ホーリースピリットは、自分の考えを述べたりはしない。 

ただ、聞くままを伝えてくれる。やがて起こることについても話してくれる。

14 また、俺から受け取ったことをおまえたちに伝えることによって俺に栄光をもたらす。

15 父さんの知識は俺が持っているものでもある。だから神の霊ホーリースピリットが俺から受け取ったことをおまえたちに伝えると言ったのだ」

悲しみが喜びに変わるとき

16 「じきに、俺は去る。もはや俺を見ることはできないが、またすぐに、俺を見る!」

17 一味の何人かが互いにひそひそしていた――

「いったい何のことだろう。 “じきに、俺を見なくなり、またすぐに、俺を見る”とか、“父さんのもとに行くから”とか、どういう意味か分かるか?」

18 「あと、“もうすぐ”ってのもな・・・いったい何を言おうとしているかさっぱりだ」

19 仲間たちが質問したくて、うずうずしていると―― 

「何をひそひそ言い合っている。そんなに俺の言うことがわからないか?

20 いいか。俺の身に起こることで、この世は、それ見たことかと大喜びし、おまえたちは悲しむ。 だが、やがて俺に再会する。その時、悲しみは大きな喜びに変わる。

21 苦しんで子どもを産む母親の喜びと同じだ。

今の今までの激しい苦しみは、うれしさのあまり足が地につかないほどの大きな喜びに変わり、痛みも何もかも、まるでうそのように忘れてしまうのだ。

22 今は悲しみでいっぱいだろう。だが俺は、もう一度おまえたちに会う。 

その時おまえたちは、だれにも奪われない喜びにあふれるのだ。

23 その時には、俺に何1つ求める必要はない。俺の名によって直接父さんに求めれば何でも、与えてくれる!

24 今までこのように求めたことがないのは分かっている。

だが、これからは俺の名によって求めろ!!

そうすれば与えられ、おまえたちは究極で最高な喜びに満ちあふれるのだ!!!」

世に完封勝ち

25 「俺はたとえを使って話したが、そんな必要はなくなる時が来る。 

その時には、父のことを何もかもはっきりと話そう。

26 その時、おまえたちは俺の名前で願い事をする。 

俺が代わって、どうぞ願いを聞き届けてやってくれと父さんに頼む必要はなくなる。

27 俺を愛し、俺が父さんから来たことを信じるおまえたちを、父さんも心から愛してくれるからだ。

28 そう、俺は父さんのもとからこの世に来た。 

そして、またこの世を去り、父さんのもとに帰るのだ」

29 「それならもうたとえがなくてもわかる!少しもなぞめいたところはない。

30 あなたは何もかも、知っている。あなたは俺たちが質問をするまえにその質問に答えてくれる。 それだけで、神様に遣わされた方だとわかります!」

31 「やっと信じるのか?

32 よく聞け、もうすぐでおまえたちは、ばらばらに追い散らされ、一目散に家へと逃げ帰る。いや、その時はもう来ている。俺は取り残されるが、1人じゃあない。父さんがついているからだ。

33 お前たちも、心配せずに、安心するんだ。こんなにも、念には念を入れて話したのは、そのためなのだから。

確かに、この世では苦難や悲しいことが山ほどある。でも、勇気を出せ!わたしはすでに世に勝ったのだ!!!」

祈り・・・父さんへの心の声ねがい

1 ひとしきり語り終えると、イエスは天を見上げた。 

父さん、いよいよだ。息子があなたに称賛をもたらすため、あなたの花を息子に持たせてくれ!

2 地上のすべての人を支配する権力を、俺にくれたのだから。 

こうして、あなたから任せられた1人1人に、永遠の命エターナルライフを与えてくれるのだ。

3 唯一で、まことの神であるあなたと、この地上にあなたが遣わした俺を心から知ること、それが永遠の命エターナルライフへの道だ。

4 俺は、何もかも、あなたに言われたとおり全うし、地上であなたの栄光を現わした。

5 父さんよ。今こそあなたの前で、俺の栄光を現わしてくれ。 

世界が造られる前に、いっしょに持っていたあの栄光で、俺を輝かせてくれ。

6 あなたのことはすべて、この人たちに話した。彼らはこの世にいたが、あなたが世から選び出し、俺に与えてくれた。実際にはいつもあなたのものである彼らを、俺に与えてくれた。彼らはあなたのことばを守った。

7 いま彼らは、俺の持っているものはみな、あなたからの贈り物であることを知っている。

8 俺が、あなたの命令を伝えたからだ。彼らはそれを受け入れ、確かに、俺があなたのもとから、この地上に遣わされて来たのだと納得し、信じている。

9 お願いがある。もちろん、世のためではなく、あなたが俺に与えてくれた者たちのためだ。何と言っても、彼らはあなたのものなのだから。

10 彼らはみな、俺のもの、また、あなたのもの。 

あなたは彼らを、他のすべてのものといっしょに、俺に与えてくれた。 

だから、彼らは俺の栄光なのだ。

11 俺は世を去り、あなたのもとに帰る。彼らをあとに残して・・・。 

ああ、父さん。この人たちが1人も脱落しないように守ってやってくれ。 

彼らには俺が誰なのかを知ることによって得る力が必要だ。あなたが言ったように、イエス、ただ1人の救世主キリスト、そしてあなたの息子だということ。

俺たちが1つであるように、彼らも1つとなれるように。

12 俺がいっしょにいた間は、あなたの家族として、一人一人を父の名で守った。 

滅びないように、いつも見守った。ただ地獄の子は別だ。 

彼1人だけが滅びた。聖書にあるとおり・・・・・・

13 今俺は、あなたのもとへ帰る。彼らの心が俺の喜びでいっぱいになるようにと、いっしょにいる間は、できるだけのことを話した。

14 あなたの命令も伝えた。するとどうだ。世間の人は彼らを憎んだのだ。 

俺同様、彼らもこの世と調子を合わせようとしないからだ。

15 彼らをこの世から取り去ってくれとは願わない。ただ、悪魔王サタンから安全に守ってやってくれ。

16 俺同様に彼らも、この世に属さない。

17 彼らがあなたに仕えられるだけの家来へと鍛えあげてくれ。あなたの真理のことばで。

18 あなたが俺を世に遣わしてくれたように、俺も彼らを世に遣わす。

19 俺は彼らのために、この身をあなたにささげる。

彼らがあなたに認められるために!そして彼らがあなただけに従うように!

20 この人たちのことだけでなく、この人たちの証を聞いて、俺を信じるすべての人のためにも祈る。

21 父さん、お願いだ!あなたと俺が1つであるように、彼らも1つの心、1つ思いとなるように。 あなたが俺のうちにおられ、俺があなたのうちにいるのと同じように、彼らをも俺たちのうちにおらせてくれ。それを見て、あなたが俺を遣わしたことを、世間が信じるように。

22 あなたがくれた栄光を、俺は彼らに与えた。俺たちが1つであるように、彼らも輝かしい一致を保ってほしかったからだ。

23 俺が彼らのうちにおり、あなたが俺のうちにいて初めて、みな完全に1つになるのだ。その時、世間は、あなたが俺を遣わしたことを知り、俺だけでなく彼らをも愛していることを、認めざるをえなくなるのだ。

24 父さんよ、俺のお願いを聞いてくれ。俺の仲間を一緒に天へ引き上げてくれ。彼らは俺に属している。俺の栄光を見させてあげてくれ。あなたが世界を造る前から俺を愛していたがゆえに与えてくれた栄光を。

25 父さん、あなたは何事においても正しい。 

世間はあなたを知らない。だが、俺はあなたを知っている。 

この仲間たちも、俺を遣わしたのはあなただと知っている。

26 俺が教えた。これからも教える。あなたの大きな愛が彼らをつつみ、俺も彼らのうちにいられるように」              

ナザレのイエスはこの私だ!

1 話し終えると、イエスは仲間たちと出かけ、ケデロン谷を横切り、そこにあるオリーブ園に行った。

2 なにかあれば、仲間に会いにこの場所を訪れていたイエス・・・裏切りのユダもよく知っていた場所だった。

3 「あっちだ・・・」

あかあかと燃えるたいまつやランプを手に、武器を引っ下げた一隊が、オリーブ園に押しかけてきた。

祭司とパリサイ派がユダにつけた一個大隊の兵士と神殿警備員たちだ!

4 イエスはこれから自分の身に起こることを知りながらも、自ら進みでた。

「探しているのは誰だ?」

5 イエスを兵士たちの手に下す役を担っていたユダも彼らと一緒だ。

「ナザレ村のイエスだ」

「私がそうだ!!!」

6 ヒッ!

イエスの威風堂々とした応答に完全防備の兵士たちは後ずさりし、ばたばたと倒れこんだ。

7 「探しているのは誰だ?」

「ナザレ村のイエスです」

8 「私がイエスだと言ったはずだ。目当てがこの私なら、他の者たちには関係ない。彼らを帰らせなさい」

9 “俺に与えられた人たちを、1人も失わない”とイエスが言ったとおりになるためだった。

10 と、その時!

にゃろォォォ・・・スパっ・・・

シモン・ペテロが剣を引き抜き勢いよく振りかざした。

ぼとッ・・・

地面に落ちたのは大祭司の部下、マルクスの右耳だ。

11 「剣をしまえ!俺は父さんがくれた苦しみの杯サカズキを飲まなきゃならねぇ!!」   

送検・・・アンナスのもとへ

12 ユダヤ兵隊長、そして兵士やユダヤ人警備員たちがイエスを縛り上げた。

13 そして当時の大祭司カヤパの義理の父、アンナスのもとへ連行した――

14 カヤパと言えば、 “全国民より1人が死ぬほうが得策です”

と言った男である。

ペテロ、大祭司の門突破

15 イエスの後を追いかけたのはシモン・ペテロと大祭司と知り合いの仲間1人。

そのおかげで、うまいぐあいに大祭司の屋敷の中庭に入り、イエスを追った。

16 岩のペテロは門の外で待つしかなかったが、大祭司と知り合いだった仲間が来て、扉の番をしていた女と話しをつけ、岩のペテロを屋敷の中へ連れて入った。

17 ほっとしたのもつかの間、門番の女は、まじまじとペテロを見た――

「あなた、の弟子では?」

「う、とんでもない!」

打ち消すように答えたペテロ。

18 その日は寒かった――

炭火を囲いだんをとる男たちの背中にまぎれ、岩のペテロも何食わぬ顔で、いっしょに立って暖まっていた。

大祭司の尋問

19 中ではいよいよ、大祭司がイエスに、仲間たちのことや、教えの内容について尋問していた。

20 「私はすべての人に公共の場で教えてきました。いつもユダヤ集会所シナゴグや神殿で教えてきたのですから。ユダヤ指導者のみなさんも、聞いていたではないですか。隠れて教えたことなどない。 

21 どうして、そんな質問を?私の話を聞いた人たちに尋ねればすむというのに。ここにも何人かはいるでしょう。私が何を言ったか、その人たちがよく知っています」

22 ――ボゴッ!

「大祭司に向かってその口のきき方はなんだ!」

そばにいた護衛の1人がイエスを殴った。

23 「何か、まちがったことを言ったというのでしたら、ここにいるみんなの前で 何がまちがっていたのか教えてください。もし、私が言ったことにまちがいがないなら、なぜ殴る? 正しい人を殴る法律はないはずですから」

24 こうしたやりとりのあと、アンナスはイエスを、縛ったまま、大祭司カヤパのところに送った。

ニワトリが鳴く

25 焚き火のそばで体を温めていた人がシモン・ペテロに気づいた。

「あれ!あんたもやつの一味じゃあねぇか!」

「う、冗談じゃない!」

26 「あっ!お前があの男と一緒にオリーブ園にいたのを見たぞ!」

次に気づいたのは、ペテロに耳を切られた男の親類にあたる大祭司の部下だ。

27 「違う!やつと一緒になんているか!!!」

コケコッコ~~~~!!!

その時、雄鶏ニワトリの鳴き声が響きわたった・・・

ピラト総督の尋問

28 大祭司カヤパの取り調べは、夜明けに終わった――

今度はローマ総督の番。訴える人たちは、イエスをローマ総督官邸まで連れて行ったが中へは入ろうとしない。

そんなことをしたら、身が汚れて、過越祭すぎこしさいで食べる子羊が食べられなくなるからだ――【ユダヤ教の掟では、異教徒の家に入ることは、たいへん汚らわしいことだったのだ】

29 それで、ピラト総督はわざわざ外に出てきた――

「この男が何をした?」

30 「彼は相当な悪党です。そうでなければ、ここまで連行いたしませんとも」

31 「だったら、おまえたち自身の掟で裁判すればよかろう!」

「我々の掟によれば、彼は死刑でございますが、ローマの法律では、我々にその権利がございません」

32 こうして、自分がどのような方法で処刑されるか、イエスが前もって話していたことが、起きようとしていた――【つまり、ユダヤ人の掟ではなく、ローマの法律により十字架刑がかせられることを指す。ローマの法律では、ローマ市民以外の犯罪者の処刑方法が十字架刑だったからだ】

33 ――ピラトは官邸内に戻ると、イエスを呼び寄せた。

「ふむ、おぬしはユダヤ人の王なのか?」

34 「あなたがそう思うのですか、それとも誰かにそう言われたのですか?」

35 「なに、私がユダヤ人だとでも言うつもりかっ!お主をここへ引っ立てて来たのは、お主たちユダヤ人と祭司どもだぞ。いったい何をしでかした!」

36 「私の王国はこの世の王国とは違う。同じなら、私をユダヤ指導者たちに引き渡さぬよう、私の仲間は血を流して戦ったはず。そう、この世に私の王国はない・・・!!!」

37 「王ということだな?」

「そう言っているのはあなたです。私は真理を伝えるため、この世に生まれてきました。真理に属すものは、私に従うのです」

38 「真理とはなんだ?」

ピラト総督は吐き捨てるように言うと、ユダヤ指導者たちのところへ行った――

「あの男は無実だ。 39 しかし、過越祭すぎこしさいに囚人を1人釈放する伝統行事は承認している。このユダヤ人の王を釈放するのはどうだ?」

40 「違います!バラバの釈放を願います!」

「・・・バ〰ラ〰バ!バ〰ラ〰バ!!バ〰ラ〰バ・・・・・・!!!

ユダヤ指導者はなんとあの反乱者バラバの釈放を望むではないか・・・。

ずたずたにされるイエス

1 ピラトはイエスを引き渡し、ムチ打ちを命じた。

2 ――「よしっと・・・この方がよっぽど王様らしいわぃ!ハハハハッ!」

ムラサキ色のガウンを着せ、鋭いとげが無数にあるイバラでまれたかんむりを頭にかぶせた兵士たち。

3 ――「おーこれは、これは!ユダヤ人の王殿ではございませんか!」

「コラッ、おまえたち!ユダヤ人の王に敬礼けいれいせんか!」

「プ・・・ブワッハッハッハァ—!」

ドスッドシ、ゴキ・・・・・・・

イエスのもとに集まり、さんざんからかったあげく、何度も何度もイエスの顔を殴った。

4 ピラトはもう一度外に出てきた――

「見ろ!いま、おまえたちのもとへイエスを引き渡す。だがいいか!私の目に彼は無罪だ!」

ユダヤ指導者に念を押した。

5 すると奥から、いばらかんむりで額から血を流し、紫のガウンをまとってイエスが出てきた・・・

「これがその男だ!」

ピラトはユダヤ人指導者たちに向かって言った。

6 「殺せ〰!!十字架で殺せ〰!!!」

イエスを見て吠えるユダヤ指導者たちと神殿の警備員たち。

「なっ!彼は無罪だぞ!そこまで言うなら、おまえたちの手で十字架につけろ!」

7 「我々の掟では、死刑です!!!自分を神の子と言ったのです!!!」

8 それを聞いて、ピラトは恐ろしくなった――

9 官邸の中に戻り、イエスに尋ねた――

「お主は・・・いったいどこから来た?」

「・・・」

口を開かないイエス。

10 「この私を無視するか?私の命令ひとつで、お主を釈放することも、十字架につけることもできるのだぞ」

11 「いや、神から与えられた権限でなければ、あなたには何の手出しもできない。ですから、私をあなたに引き渡した者はとんでもない過ちを犯したのです」

12 この後、ピラト総督はなんとかしてイエスを釈放しようとした。

しかし、それに反対するユダヤ人指導者――

「釈放なさるおつもりで?誰であろうと、自分を王とする者は反乱者ですよね?!とすれば、あなたはローマ帝王カイザルの敵ということになりますぞ!!!」

13 これを聞いたピラト総督は、イエスを敷石ガバタと呼ばれる場所へ連れていき、裁判の席に着いた。

14 それはちょうど、過越祭すぎこしさい前日の正午――

「さあ、お主らの王だ!」

ピラト総督はユダヤ指導者たちに告げた。

15 十字架に連れてけ〰!連れてけ〰!!十字架にかけて殺せ〰!!!

叫び続けるユダヤ指導者たち・・・

「お主たちの王だぞ?十字架にかけて殺したいのか?」

「我々のローマ帝王カエサルだ〰〰!!!」

祭司たちがこう答えると。

16 (ぬ゙ぅ・・・) これでは、しかたがない。ピラト総督も折れて、十字架につけて処刑するよう兵士に命じてイエスを引き渡した。

罪状書き:ユダヤ人の王・ナザレのイエス

17 イエスは、十字架を背負わされ、エルサレム市外のどくろゴルゴダの地、つまり処刑場へ引っ立てられて行った。

18 ――カンッ、カンッ、カンッ、べチャッ・・・・・・

たどり着くと、イエスの手足に太い釘が打ち込まれ、十字架にはりつけられた。

右にも左にも1人と、イエスの両側にも犯罪者が釘づけにされた。

19 ――ゴンッゴンッゴンッ

イエスの頭上に罪状書きが掲げられた。

――ユダヤ人の王・ナザレのイエス――

この罪状書きはピラト総督が決めた。

20 処刑場はみやこから近く、しかも、罪状書きはヘブル語、ラテン語、ギリシヤ語で書いてあったので、大ぜいのユダヤ人が読んだのだった。

21 「これは納得がいきません! “ユダヤ人の王”ではない、“自称ユダヤ人の王”と書き直してください!!!」

ピラト総督に抗議する祭司たち。

22 「私が一度書いたことは変えぬ」

ピラト総督はしらっとあしらった。

23 イエスを十字架に釘づけにしたあとすぐのこと――

「この布は俺がいただくぜ!」

「じゃあこっちは俺が・・・」

兵士たちは、イエスが身に付けていた服を、4等分して分け合った。

下着もそうしようとしたが、よく見ると縫い目がない。

24 「こいつは裂くわけにいかないな。よし、くじで決めよう」

これで聖書にあるお告げが実現した――

「𝄞彼らはわたしの着物を分け合い

下着をくじ引きにした」――【聖書:詩篇22:18より引用】

兵士たちは、まさにこの言葉のとおり行ったのだった。

25 十字架のそばには、イエスの母マリヤ、おば、クロパの妻マリヤ、マグダラのマリヤが立っていた・・・

26 イエスはそこに立つ母と、愛弟子を見ると――

「彼を見て、かあさん・・・これより彼があなたの息子です・・・」

母親、そして愛する使徒の1人を見てつぶやく

27 「これより彼女はあなたの母だ・・・」

その日以来、その弟子は、イエスの母を自分の家に引き取った。

十字架での完勝

28 その後、イエスは全てが完了したことが分かると――

「のどが渇いた・・・」

このことばで、聖書のお告げの一つが実現した。

29 イエスのかかる十字架の近くには、酸っぱいぶどう酒がたっぷり入ったつぼがあった。

兵士たちは海綿スポンジをぶどう酒にひたし、ヒソプの木の枝の先っぽにつけてイエスの口元に差し出した。

30 イエスがそれを口にした直後――

「完勝!!!」

そう叫ぶと、頭を落とし、息を引き取った。

31 まずいことに、翌日は特に特別な休日サバスだった。 ユダヤ指導者たちは、どうしても、死体を翌日まで十字架にかけっぱなしにしておきたくない。

そのためピラト総督に、受刑者たちのすねを折って早く死なせるよう取り計らってほしい、と願い出た。そうすれば、取り降ろせるからだ。

32 さっそく兵士たちが来て、イエスといっしょに十字架につけられた2人の男のすねを折った。

33 最後に、イエスのところに来て見上げると、死んでるのを確認したため、すねを折るのはやめにした。

34 ザシュッ!――

ところが、兵士の1人が何を思ったのか、いきなり槍でわき腹を突き刺すではないか!

すると血と水が流れ出た。

35 この一部始終を、私は確かにこの目で見た。それをありのままに、正確に報告している。正確性からみんなにしっかり信じてもらいたいからだ。

36 これで聖書のことばが実現した――

「彼の骨は一つも砕かれない」――【聖書:出エジプト記12:46、詩篇34:20、民数記9:12より引用】

37 「彼らは自分たちが刺した方を見る」――【聖書:ザカリヤ書12:10より引用】

アリマタヤのヨセフとニコデモがイエスを埋葬

38 このあと、イエスを信じていながら、ユダヤ指導者たちを恐れ、それを隠してきたアリマタヤ出身のヨセフが、勇気を奮い起こした――

「イエスの死体を私に引き取らせてください」

「よい」

ピラト総督の許可を得ると、すぐ刑場に駆けつけ、死体を降ろした。 

39 前に、夜中にこっそりイエスのもとを訪れたニコデモも、アロエを混ぜ合わせて作った没薬の防腐剤を30kgほど用意してきた――【没薬(天然ゴムの樹脂で、古代の防腐剤)】

40 2人はいっしょに、ユダヤ人の埋葬の習慣に従い、香料をしみ込ませた長い亜麻布でイエスの体を包んだ。

41 イエスが十字架につけられた場所の近くに、木の生えている園があり、そこに誰も埋葬されたことのない、新しい墓があった。

42 もうすぐ特別な休日サバスが始まるため、急がなければならない。2人は近くにあったその墓にイエスの遺体を埋葬した。

復活の伝令

1 日曜日になってすぐ――

まだ辺りが暗い中、1人の墓に向かう者の姿が・・・マグダラのマリヤであった。

「え?」

「入り口の石が開いてる・・・」

墓に着いたマリヤが見た光景。それは墓をふさいでいたはずの大きな円盤状の石が転がされ、ぽっかり空いた入り口の大きな穴・・・

2 驚いたマリヤは、息せき切ってシモン・ペテロと私のところに駆けつけた――

「た、大変よ!イエスの遺体が!!!だ、誰かがイエスの遺体をとってったわ!!!」

3 岩のペテロともう1人の使徒は一目散に墓へ向かった――

4 一緒に走り始めた2人だったが、もう1人の使徒の方がペテロよりも足が速かったので、先に墓に着きました。

5 先についたので、かがんで中をのぞくと、見えるのは無造作に床に置かれた亜麻布。

中には入らなかった。

6 続いてシモン・ペテロが駆けつけ、ためらわず中に入った。彼も床にある亜麻布を見つけた。

7 そこからやや離れた所に、イエスの頭に巻いたはずの布がそのままの形で置いてあるのを見た。

8 先についていた使徒も中に入り、からになった墓を見て、なにかすごいことが起きていると信じた。

9 この時、使徒2人はまだ、イエスが必ず復活すると書いてある聖書のことばを、理解していなかったのだ。

マリヤの疑い

10 2人は家に帰った――

11 同じころ、マリヤは墓に戻り、外に立って泣いていた。ところが、泣きながら墓の中をのぞき込むと・・・

12 イエスの遺体があった場所にはなんと白い衣をまとった2人の天使が座っているではないか!

イエスの頭があった場所に1人。イエスの足があった場所に1人だ。

13 「どうして泣いている?」

「誰かが・・・誰かがあるじの遺体を持って行ってしまったようで・・・どこに行ったのやら・・・」

14 こう答えてふり向くと、だれかが立っている・・・

イエスだ!!! 

しかし、マリヤはまだ気がついていない。

15 「どうした、泣いたりして!誰か捜してるのかい?」

「遺体を移したのはあなたですか?私が引き取りますので、どこに置いたかだけ教えて下さい!!」

マリヤは、庭園の管理人だと思ったのだ。

16 「マリヤ」

――!――

マリヤは振り返った。

先生ラボニ!!!」――【アラビア語】

17 「俺にすがりつかないように!まだ父さんのもとに帰ってないのだから。

それよりも、仲間のところに行って

“俺とおまえの父さんのもとへ帰る。俺とおまえの神のもとへ帰る”

と伝えるんだ」

18 ――マグダラのマリヤは、急いで仲間のもとへ帰った。

「先生に会いました!!!」

そして、彼女はイエスに言われたことを伝えた。

神の霊ホーリースピリットを吹き込む

19 その日曜日の晩――

一緒に集まっていた仲間たちは、ユダヤ指導者たちを恐れ戸に鍵をかけていた。

すると突然・・・!!

彼らの間にイエスが現れたのだ!

「おっす!」――【平和があらんことを】

20 すると、イエスは手とわき腹の傷を見せた。

「おぉ・・・!!!そっそれは!!!」

仲間たちは王を見て、どんなに喜んだか!

21 ――イエスは満面の笑顔で。

「平和があらんことを!

父さんが俺を送り出したように、俺もおまえたちを送りだす・・・!!!」

22 ふぅーっ

イエスは仲間たちに息を吹きかけた。

「受け取れ、神の霊ホーリースピリットだ!

23 おまえたちが赦すなら、だれの罪も赦される。

おまえたちが赦さない罪は赦されない」

イエスの風穴に指を入れたふたごのトマス

24 十二弟子の1人で、ふたごのトマスは、この時、その場にいなかった。

25 それでみんなが、

「ほんとうだ!師匠に会ったんだ!」

と口をすっぱくして話しても、本気にしない。  

「イエスの手の釘あとを見、この指をそこに差し入れ、この手をイエスのわき腹に差し入れでもしなければ、信じるもんか!」

頑として、こう言いはる。

26 それから8日たった―― 

その日も、仲間たちは集まっていた。今度はトマスもいっしょだ。 

戸には、かぎがかかっている。

「おっす!」

突然、前の時と全く同じように、イエスが一同の中に立っているではないか!

27 するとまずイエスは、ふたごのトマスを見た―― 

「ほら、俺の手を見て指を入れてごらん。俺のわき腹に手を入れてみるか。 

いつまでも疑っていないで、信じたらどうだ」

28 「ああ、我が王、我が神よ!!!」

感きわまって、ふたごのトマスは叫んだ。

29 「俺を見て信じるか。究極の祝福は、俺を見ずに信じる者にある!!!」

執筆理由・著者ヨハネの目的

30 この本に記したキセキのほかにも、イエスが起こしたたっくさんのキセキを仲間たちは見た。

31 しかし、これらのことを特に書いたのは、あなたがたが、イエスは神の子であり、救世主キリストであると信じるため、また、そう信じて永遠の命エターナルライフを得るためである。 

大漁!イエスだ!

1 このことがあってから、ガリラヤ湖のほとりで、もう一度、イエスは仲間たちの前に現われた。その時のいきさつはこうだ――【別名:テベリア湖】

2 シモン・ペテロ、ふたごのトマス、ガリラヤ地方のカナ町出身のナタナエル、私と私の兄ヤコブ、それにほか2人の仲間がいっしょにいた。

3 「俺は漁に行く」

とシモン・ペテロが言いだした。 すると、みんな、

「それじゃあ、おれたちも」

というわけで、そろって出かけた。小舟に乗り込み、漁が始まった。 

ところが、一晩中かかっても、雑魚1匹とれない。

4 もう夜明けというころ、だれかが岸辺に立っているのが見えた。 

ぼんやりかすんでいるので、だれかは、わからない。

5 「おーい!魚はとれたかー!」

その人が声をかけてきた。

「いやー、全然だー!」

6 「なら舟の右側にあみを下ろしてみな!たくさん獲れっぞ!」

さっそく、そのとおりにすると―― 

(んぬっ!)

重くて引き上げられないほど、たくさんの魚がかかった!

7 その時だ。

――!――

私は気がついてペテロに言った。

「おい、ありゃ師匠だ!」

それを聞くとペテロは、裸だったので、あわてて上着をはおり、さっと水に飛び込んだ。

8 舟に残った私たちは、100メートルほど離れた岸辺まで、魚ではち切れんばかりのあみを引いて、進んだ。

9 着いてみると、炭火がおこしてあった。

その上では魚がいいぐあいに焼けており、パンもある。

10 「今とった魚を少し持って来てくれ」

11 こう言われて、シモン・ペテロがまっ先に飛んで行き、あみを陸に引き上げた。

数えてみると、なんと、大きな魚が153匹。 しかも、あみはどこも破れていない!

12 「さあ、食べよう」  

誰もあなたは誰ですか、と尋ねて恥をかくような思いをしたくなかった。それほどはっきり、わかっていたからだ。

13 イエスはそばに来て、パンと魚をめいめいに配ってくれた。

14 イエスが死から復活して、仲間の前に現れたのは、これで三度目だった。

愛しているか三度聞かれるペテロ

15 食事がすむと、イエスはシモン・ペテロを見つめていた。 

「ヨハネの子シモン。俺を愛すか?」

「はい、王よ。愛しているに決まっているじゃあないか!」

「なら俺の小羊を養うのだ」

16 「ヨハネの子シモン。俺を誰よりも愛すか?」

「はい、王よ。愛しているに決まっているじゃあないか!」

「なら俺の羊を養うのだ」

17 「ヨハネの子シモン。ほんとうに俺を誰よりも愛すか?」

三度こんな尋ね方をされてペテロの心は痛かった。 

「王よ!すべてを知っているのはあなたじゃあないか!!愛しているに決まっている!!!」

「なら俺の羊を養うのだ」

18 「若かった時は、したいことをし、行きたい所に行っただろう。だが、年をとると、そうはいかなくなる。おまえは自分の手を伸ばし、ほかの人が、行きたくもない所へあなたを引っ張って行くのだ」 

19 こう言うのには訳があった。ペテロがどんな死に方をして、神の栄光を現わすかを、知らせようとしたのだ。

それから、

「俺について来い」

と言った。

20 ペテロが何げなくふり向くと、イエスが特に目をかけておられた弟子が、ついて来るではないか。あの最後の晩餐の時、イエスに寄りかかって、

「師匠、裏切り者はだれなんだい?」

と尋ねた弟子だ。

21 仲間の後ろにいた彼に目をとめたペテロが聞いた。 

「師匠、彼はどうなんだ?」

22 「もう一度戻って来るまで、彼に生きていてほしいと俺が思っていたとしても、あなたとはなんの関係もないだろう。人のことは気にしないで、ただ俺について来ればいいのだ」

23 このことから、その弟子は死なないといううわさが、イエスの仲間内に広まった。 

しかし、イエスはそう断言したわけではない。 

ただ、

「もう一度戻って来るまで、彼に生きていてほしいと、俺が思ったとしても、あなたとはなんの関係もないだろう」

と言っただけである。

24 その弟子とは、実は私のことだ。私はこれらの出来事を、見たとおり、ここに記録した。 

この記録が正確なことは、私たちみんなが知っている。

25 イエスが人生を通して行ったことはここに書き記したこと以外にもたーくさんある。

その全てを書き記せって?良いだろう。だが、その本を保管するにはこの世界じゃあ場所が足りない。